見出し画像

「テニスの王子様」における指導力の高い人物(中学生編)

突然ですが、今回は「テニスの王子様」という作品の中で指導力の高い=師匠向きの人物について語ってみようかと思います。
歴代のジャンプ漫画に必ず1人はいる「師匠」キャラですが、「テニスの王子様」でもこの「指導力」はかなり大きい要素となるのです。
どんなに優れた才能を持ったテニス選手の卵であっても、やはり良い環境で良い師匠に出会わなければその才能が開花することはありません。
今回はまず中学生編ということで、各学校の中から「この人物は指導力が高い!」といえるキャラクターを抜粋してみることにします。

指導力の高い人物とはどんな人材のことか?

「名選手名監督に非ず」という言葉がある様に、テニスが上手いプレイヤーと指導力・育成力が高い人物が必ずしも一致するとは限りません。
それは逆も然りで名監督だから名選手であるとは限らないともいえ、偏に「指導力が高い」と言ってもその内実は色々あります。
その指導法も様々あって、いわゆる「人間性」に重きを置く「先生」タイプと「技術力」に重きを置く「コーチ」タイプの2種類に分かるでしょう。
また、「自主自立を促す」タイプと「手とり足取り教える」タイプでも違うので、この辺りのことも踏まえながら見ていきます。

分布図の見方

まず指導者分類ですが、横軸がいわゆる「指導法」であり、左側が人間性を重視する「先生」タイプで右側は技術力を重視する「コーチ」タイプです。
そして縦軸ですが、上は選手が自発的に行うことを重視する「自主性重視」、そして下は手取り足取りきめ細やかに指導する「規律重視」となっています。
この4つの分類を基に分布図を作成していきますが、誰を候補として挙げるかというと中学生の中で「指導者」らしきことをしているタイプです。
具体的には各学校の部長・副部長・参謀辺りになりますが、ベースにあるものはあくまでも「指導者としての描写があるか?」を基にしています。

また今回はあくまで「中学生」のみであり「監督」や「先生」はこの範疇には含まないものとして除外致します、じゃないと公平性がないので。
次期部長と呼ばれている海堂・日吉・財前辺りも指導者の候補からは外すことになります、劇中に指導者としての描写が皆無だからです。
分類はあくまで私見なので絶対のものではありません、「ここはこうなんじゃないか?」という意見があればドシドシコメントをください。

分布図からわかる傾向


まず何が凄いって不動峰の橘さんがマップの中央に位置しているということであり、これが良くも悪くも許斐先生にとっては扱いにくいのではないかと。
橘さんの何が優れているといって、たった半年足らずで無名校だった不動峰を全国ベスト8にまで導いたことであり、こんなことが出来る人はそうざらに居ません。
青学・立海・四天宝寺のように優れた才能が結集しているチームは別として、ほとんど無法地帯で治安が悪かったテニス部をあそこまでのものに仕上げたのは見事です。
しかし、その分チームに合わせて自分のレベルを下げないといけなかったため、本気を出すのがどうしても遅くなっていたことが挙げられます。

また、橘部長に神尾たちが依存していたことに気付いて自分達で強くなろうと思ったのも遅すぎで、それを不動峰は関東大会終盤で千歳に弱点を指摘されたことで気づくんですよね。
よく「ザコバナさん」なんて蔑称で呼ばれることが多い橘さんですが、名選手にはなり損ねた感はあっても名監督にして名コーチといえるのではないでしょうか
人間性と技術力、そして規律と自主性のバランスにこれだけ長けている部長は他にはおらず、荒れ果てた大地の不動峰の連中をここまで磨き上げた功績だけでも相当なものです。
それを手塚も「たった半年でここまでのチームに……不動峰中、強くなるぞ」と言っていたことからもわかります。

さて、後は強豪校を見ていきますが、まずは自主性重視の六角の葵と四天宝寺の白石が目立ちますが、2人の違いはやはり技術力の指南の有無にあるでしょうか。
白石は「アノトキノボクラ」でも描かれていますが、チーム全体を強くするために最初はチーム全体に基本に忠実なテニスを教えて基礎力を底上げしていました。
またそこからは選手の自主性任せにもしていますが、反面規律の面でかなり緩すぎるため、もう少し統制を厳しく取れる人が欲しかったところです。
白石って青学でいうなら手塚・大石・乾の役割をほぼ1人でやっているような状態ですから相当な負担ですが、四天宝寺の校風がいいのか部員の才能には恵まれていますね。

次に氷帝と立海ですが、共通項はどちらも完全な実力主義で技術力に特化した指南をしているところであり、これは次期エースである日吉と赤也の育成法を見ればわかります。
立海ビッグ3は人間性はもはや捨てたというべき厳しさですが、その代わりに「勝つためのテニス」の究極版をしっかり叩き込んでおり、層が全体的に厚いのがいいところです。
「手塚が7人」というだけあって、新テニでもジャッカルと柳生以外のメンツは何だかんだ日本代表に選ばれていますから、相当の猛者揃いであることには違いありません。
この点どうしても苦しいのが氷帝であり、完全に跡部様の一極集中になってしまっていて、ここがどうしても大きな差が出てしまったところかと思います。

そして主人校の青学はやはりトータルバランスに優れていて、選手の自主性重視で技術力に長けた手塚規律重視で論理的な練習メニューを考える参謀の乾、そして人間性を重視する副部長の大石という見事な采配。
実力的にはもちろん不二周助や越前リョーマなどの天才によって支えられていますが、彼らはあくまで「名選手名監督に非ず」を体現した存在であり指導者向きではありません。
だからこそ理念を押し出して青学をトップに導くカリスマ部長・下を掬い上げつつチームを効率よく導く参謀・そして選手のメンタルケアや細かいフォローが出来る人間性あふれる副部長が必要です。
この3人が青学を引っ張る土台をきちんと作り上げた上で残りのメンバーたちが自由闊達に自分のプレイに打ち込んでおり、そりゃあ全国優勝するわけです。

そして山吹とルドルフですが、山吹が人間性重視でルドルフが技術力重視ではあるものの、やはり上位の強豪校ほどの突出した指導力がないのが難点でしょうか。
まあ六角もそうなんですけど、六角の場合はオジイ効果もあってルドルフ・山吹よりは層が厚いかと思われます、青学とも仲良いですしね。
四天宝寺は六角・山吹・ルドルフのいいところを全部組み合わせた完全上位互換として描かれている感じがあって、「もう1つの青学」という感じです。
手塚と千歳、越前と遠山みたいに立海とは別の意味で青学と対になるキャラクターがいるのも特徴的ではないでしょうか。

他にも技術力重視の立海と氷帝、人間性重視の四天宝寺、そしてそれら全てをハイブリッドに併せ持つ青学という感じで、その1ランク下に六角以下の強豪校でしょうか。
因みに技術力重視といえば比嘉中の木手もそうですが、あそこもやっぱり人間性に欠けるところが多く、そりゃあ青学に5タテを喰らうわけです。

ということで、今回は中学生の指導者タイプの分類をしてみましたが、指導者を分類すると各学校のカラーが見えてきて面白いですね。
因みに左下のゾーンは誰もいませんでしたが、ここにはおそらく今回除外した監督(竜崎・オジイ・オサムちゃん)が入るかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?