U-17W杯決勝戦のオーダーと勝敗予想
「新テニ」も来月号からいよいよ決勝戦に向けての最後の仕込みということで、今回は改めて出場メンバーの決定戦の流れなどを踏まえて、決勝戦のオーダーと勝敗を予想してみます。
もちろん順番や結果が変わっても全然構わないし、むしろこんな私ごときの予想など許斐先生にはどんどん裏切っていただきたいので、無駄であることは承知の上です。
とはいえ、やはりドイツ戦のあのガチガチの決戦を見た後ということもあって、あれ以上の盛り上がりを決勝戦で生み出せるのかはどうしても気になってしまいます。
でも、わざわざドイツを決勝ではなく準決勝が描いたということは何かしらの意味があってのことだと思うので、スペインがどんなテニスをしてみるかも予想してみましょう。
スペイン戦のテーマは「滅びの先に生まれる新しい概念」
おそらくですが、ドイツ戦が「天衣無縫VSアンチ天衣無縫」「無限の進化VS究極の完成」というところにあり、日本側がアンチ天衣無縫でドイツ側が天衣無縫ユーザーが殆どというテーマを描き切りました。
何よりも旧作からずっと引っ張っていた「天衣無縫の極み=矜持の光」という規格外の力として描かれていたものを格を下げずに物語の中に収め切ったのは見事です。
そして平等院VSボルクで「天衣無縫の先」として描かれる「究極の完成品」である現役最強のボルクと「無限の進化」を続けて強くなる平等院鳳凰という対比も描かれています。
決勝のスペイン戦はここで完成した新テニのテーゼを更に上の高みへと押し上げていくものになるのではないかという風に私は見ているのです。
個人的に思うスペイン戦全体のテーマは「滅びの先に生まれる新しい概念」であり、それを見せる為の伏線ではないでしょうか。
見てもらえれば分かるように、スペイン代表のメンバーたちはドイツのマッシブなガタイのいい連中と比べて、華奢で中性的・ミステリアスな存在感を醸し出しています。
ドイツが分かりやすい「強さ」の象徴であるならば、スペインは「神秘」の象徴であり、越前リョーガ以外は今の所どんなプレイスタイルのどんな性格の選手か全貌を露わにしていません。
その越前リョーガも「能力剥奪」が具体的にどんなものかの描写はないので、いまの時点では何とも言えない不穏な空気感が漂っているのではないでしょうか。
それを踏まえて思うのはドイツ戦とは違う新機軸の抽象度が高いテニスの概念を許斐先生は生み出そうとしていることが伺え、それが楽しみでなりません。
これまでのテニスが「天衣無縫」「能力共鳴」「阿修羅の神道」「集中爆発」といった割と可視化されていて、なおかつ宗教や哲学がベースにあるものでした。
しかし、スペイン戦では更にそこを超えた高度な抽象概念の戦いに突入する感じがあり、それを描く為にわざわざ決定戦を行ったのではないでしょうか。
そうなると、決勝戦に選ばれたメンバーはそういう方向に進化できる、或いは進化の余地が残っているメンバーが選ばれたことになります。
スペイン戦のオーダー予想
オーダー予想は以下の通りです。
S3 跡部VSロミオ
D2 大曲・遠山VS???
S2 リョーマVSリョーガ
D1 越知・毛利VS???
S1 徳川VSメダノレ
大穴 不二VSバンビエーリ
今の所、フラグが立っているのはシングルスの3人、すなわち跡部とロミオ、越前兄弟、徳川とメダノレのみであり、ダブルスにはどんなメンバーが来るか予想がつきません。
また、ファンの間では不二とバンビエーリの対決が大穴であり得るのではないかと噂されているので、そちらも併せて入れておきます。
少なくともドイツ戦で平等院が徳川と越前に日本を託した時点で、S1とS2がそれぞれ徳川カズヤと越前リョーマになることはもう決定済でした。
なので後は他がどうなるかですが、先月号の最後に跡部様とロミオがフラグを立てていたので、S3も一応フラグは立っています。
しかし許斐先生は下手すればそのフラグを早めに消化したという例もあるので、あくまでもこれは予想に過ぎず本戦でこのようになるとは限りません。
必ず裏をかいてくることや王道をズラして描くことが予想されますので、暫定的なものとして「こうなるだろう」という叩き台だと思っていただければ幸いです。
では以下試合の内容や勝敗を予想してみましょう。
S3 ●跡部VSロミオ○(スペインの勝利)
まあこれに関してはもう跡部様が勝つルートは正直考えにくいです、現時点では少なくともロミオに勝てるという気配は微塵も感じられません。
だって本気出した入江に0-5でぼろ負けしていて、もう少しで負けそうってところだったわけで、ここから決勝で大幅に強化してもそれはそれでワザとらしいでしょう。
しかも「どんな屈辱も受け入れる」と書いている以上、跡部様の自尊心や手塚の呪縛ごと諸々この試合で崩れ去ってしまうことが考えられます。
それぐらい現状は跡部様にとって厳しいものとなっているわけであり、精神的にも肉体的にもボロボロなので、ここで勝つのは無しです。
D2 ●大曲・遠山VS???○(スペインの勝利)
ここも正直厳しい、決定戦ではとにかく遠山が足を引っ張っている描写が目立ち、天衣無縫も封じ込められているのでそろそろ限界です。
また、そもそも大曲先輩とのコンビ自体が即席で遠山にとってのベストパートナーとも思えないので、その意味でも勝ちは考えられません。
遠山は越前とは逆に勝ちまくるよりも負けることで強くなるというかませ犬にはちょうどいいキャラで、負けても遠山の格は下がらないでしょう。
それにいい加減天衣無縫を馬鹿の一つ覚えみたいに使うのも終わりにして欲しいので、この試合でそこを壁としてスペインに突きつけて欲しいです。
S2 ○リョーマVSリョーガ●(日本の勝利)
ここはもうリョーマがリョーガに勝利する以外のルートは考えられません、越前リョーマは勝って勝って勝ちまくってこその越前リョーマなので。
越前兄弟のドラマは初期からきちんと丁寧にレールを敷いていて、先生の中でも特別でしょうからまずここでデカい進化が予想されます。
不二との再戦で天衣無縫や光る打球まで全てを無効化されて負けかけているので、ここで決勝に向けての強化フラグが入るでしょう。
記憶喪失は流石にやらないと思いますが、能力剥奪をリョーマがどうやって無効化してその先に行きリョーガを救済するかがドラマの見どころです。
D1 ○越知・毛利VS???●(日本の勝利)
ここも正直負ける理由が見当たりません、決定戦の流れを見ていると越知も毛利も隙がないし負傷しているとはいえ平等院・鬼に勝利しています。
強いて言えば「能力共鳴」「同調」ならびにそのアウフヘーベンはドイツ戦で描き尽くしているので、ここでは更なるダブルスの可能性があるのではないでしょうか。
いい加減ダブルスも更に上の可能性が欲しいですし、今更越知と毛利を負けさせても物語上は何のメリットもないのでここはストレートに勝ちます。
旧作の黄金ペアみたいに試合があっさり気味に描写されて終わる可能性も十分に考えられますが、一体どうなるのか予測がつきません。
S1 ○徳川VSメダノレ●(日本の勝利)
S2と並んでここも大一番で勝つでしょう、「義で世界を獲る」という目標がはっきりしている以上、ここでそれを果たさないと意味がないので。
決定戦を見てもデューク渡邊という大きな壁は超えていますし、また平等院と何かしら強化フラグのようなものは立てていたので、リョーマ同様強化されるでしょう。
心配なポイントは徳川の負傷ですが、徳川はまあ負傷してナンボみたいなところがあるので、是非阿頼耶識かその先を開眼して欲しいところです。
平等院に日本を託された2人が世界をしっかり獲ってこそ物語としては美しく終わるのではないかなと思います。
大穴 不二VSバンビエーリ(決着つかず)
ここは正直予想がつきませんが、なぜ不二とバンビエーリなのかというと「229」という数字やバンビエーリの「自分時間」が不二と重なる要素があるためです。
また不二周助にとってもシングルスで白石以来となる格上の強者相手の戦いは久々だと思うので、不二にも何かドラマは用意して欲しいところ。
狐火球を見せていたことからまた更に上の技も出してくるのではないかと思いますが、バンビエーリがこれをどう無効化するかも見てみたいです。
不二はまだまだこれからがスタートだと思うので、どうなるかはわかりませんが、あの越前に勝ちかけたのですからそろそろ強者の仲間入りはして欲しいかな。