『おれとぼくらのあどべんちゃー』が「最良のデジモンアドベンチャー」とした場合の原作との相違と02編での課題
今回は私がデジモンシリーズの二次創作で初めて「公式を完全に超えた!」と思えるアズマケイさんのデジモンアドベンチャー無印の『おれとぼくらのあどべんちゃー』をベースに原作との相違点と02編での課題を洗い出してみましょう。
私は基本的に二次創作というものは認めていないのですが、デジモンシリーズみたいに原作が無茶苦茶でとっ散らかってるジャンルは下手な公式よりもファンが独自に作り上げた二次創作の方が面白かったりします。
実際に海外も含めていろんなデジモンの二次創作を読ませて貰ってますが、熱心なファンの作るものの方が公式を超えていて面白いといったことがごまんとある、良く言えば好き放題できる、悪く言えば無法地帯のジャンルです。
そんな中に正に神の一手を投じてくれたのが同じ大輔&ブイモン推しの小説ですが、大輔とブイモンを無印組に入れて奇跡の紋章をゲットさせるだけで次々と原作では起こり得なかった奇跡が発生しています。
原作との相違点も含めてまとめてみました
高石タケルの私小説ではないためキャラ描写に差がない(原作は高石タケルの私小説なので脚色が入っている)
選ばれし子供たちとパートナーデジモンの真の目的が明確(原作は行き当たりばったりでゴールまではたどり着けず)
ヤマトと空の迷走と闇落ち回避されている(原作では大輔が居ないためにこの2人が迷走してしまい精神崩壊寸前)
太一が原作以上に不器用なシスコン(原作だと後半は冷徹な正論マシーンだったので、そこをいい感じに軌道修正)
大輔とブイモンの暗黒進化(Vテイマーの古代種とオーバーライト設定なので奇跡の紋章がとんでもなく難易度高い)
エテモン・ナノモン・ヴァンデモン・ピコデビモンなどの案内人・サポート役が生存(原作だと全員暗黒勢力にやられて死亡→攻略本や案内人不足)
ダークマスターズ編で四聖獣が復活した影響でウォーグレイモンとメタルガルルモン以外も究極進化可能(原作はこの支援が得られずに2体しか進化できない)
大輔とブイモンがいるので「暗黒の浄化」という願いが可能に(原作はこれが不可能だったのでただ殺すしかなくツケが02で祟ることに)
ゲンナイとホメオスタシスが原作と比べて仕事を頑張ってる(原作では怠慢と蒙昧もいいところなやっつけ仕事っぷり)
大輔とタケルが親友になり、ヒカリ・賢との関係性も良好(原作02ではあり得なかった人間関係における奇跡が発生)
大輔と賢が完全体進化でジョグレス体になったのでオメガモンへのジョグレスが可能に(原作ではウォーゲームまで待たないといけない)
オメガソードによるオールデリートでアポカリモンの救済と転生が可能に(原作では強制封印したために根本的な解決ができず)
冒険は終わっても紋章を解放する必要も別れる必要もない(原作だと3年待たないといけない02の世界線が早い段階で実現)
……今更ですが、無印一体どんだけハードモードな冒険だったんですか?『ドラゴンクエスト7』じゃあるまいし、本当に勘弁してください。
あれですかね?関弘美をはじめとする原作の『デジモンアドベンチャー』(1999)を作った人たちは「攻略本も最強の武器も支援も全てない状態でクリアできるのか?」という縛りプレイをやってたドM集団だったんですか?
しかも「02」以降は主人公がきちんとロイヤルナイツのデジモンを登場させているのに無印だけそれがないままというのも変でしたし、何よりアポカリモンに対するあの雑な勝ち方が気に食わなかったんですよね。
だいぶ以前に見かけた「デジモン」の感想ですが、私は「02」から入ったのでどうしても無印に対して違和感しか覚えませんでしたが、アポカリモンの本質と向き合わずに一方的に「レベルを上げて物理で殴る」みたいな解決が大嫌いでした。
もちろんそれだったらそれで徹底した覇道として描けばいいものを、中途半端に綺麗事風を装って自分たちの破壊活動を正当化しているように見えてしまったのが余計に欺瞞に感じてしまったところだったのかもしれません。
この意見は当時無印信者ではない人の忌憚のない感想としてはとても貴重なもので、原作を作る側がおざなりにしてしまった部分をアズマケイさんが全部解消して最良に限りなく近い世界線を実現したというわけです。
これはスーパー戦隊シリーズでもそうなんですが、基本的に「封印」という形で結末を迎えた「ジュウレンジャー」「カクレンジャー」「ゲキレンジャー」では根本的な解決にはなりません。
スーパー戦隊シリーズでいうと最良の世界線はやはり生まれ年の『電撃戦隊チェンジマン』(1985)と最高傑作の『星獣戦隊ギンガマン』(1998)なんですが、これらのどっちも十分な支援を受けて戦えています。
最近配信を終えた『侍戦隊シンケンジャー』(2009)でもそうでしたけど、封印って一時的には解決したとしても結局は「敵を倒して浄化する」というのを先延ばしにしてるだけなんですよね。
そして時代が下ってそれが原因で物事が肥大化して後世が余計なツケを払わされるという……。
宇宙海賊バルバンは宇宙の星々を食い荒らして宝石に変えてきた多士済々の荒くれ者の集まりであり、それを倒すには最低でも黒騎士&ゴウタウラス・ギンガの光・鋼星獣・知恵の樹モークの助力が必要となります。
物語序盤でヒュウガが離脱したためにリョウマが星獣剣を継承してアースを覚醒し、五星獣も来てくれたはいいものの、故郷であるギンガの森の支援も受けられない状態での戦いではありました。
それでもやれたのは復活に備えて3000年もの間臨戦態勢で準備してきたからであって、これを戦闘訓練も予備知識も準備もなくゼロの状態からど素人の小学生8人と8匹に「さあクリアしてみなさい」です、無茶でしょそれ。
スーパー戦隊でもそんな世界線存在したかしないかレベルで酷かったのですから、そりゃあ最高傑作扱いはできないし、アズマケイさんがここまで矛盾を解き明かした以上公式が何と言っても原作無印はF(駄作)です。
アニメのデジモンアドベンチャーは後半に入るとチンロンモンが復活しゲンナイも青年になるために後半で十分な支援が得られますが、これを無印でも再現できなかったのかと未だに思います。
少なくとも無印の問題点は全部解決しており、むしろこっちが史実のデジモンアドベンチャーだと思いますが、これで02編でクリアすべき課題は以下に絞られました。
ディアボロモン(ウォーゲームと違い被害を悪化させず一瞬で解決)
ミレニアモン関連(デジモンカイザー問題は全てミレにアモンの謀略)
デーモンとの決戦(大輔とブイモンの「奇跡」の本領発揮、超究極体との戦い)
アーマゲモンとの決戦(大輔の奇跡によりインペリアルドラモンとオメガモンがジョグレスし超究極体へ)
この4つですが、3つ目を除けばあれだけ支援が充実した世界線であれば余裕でクリアできますが、原作だとダゴモンの海に送り返すしかなかったデーモンとの決戦編が最大の試練です。
ここを乗り越えないと「Vテイマー」の神話を再現したことにならないのですが、最終回で新たにチコモンが誕生したので、おそらくは大輔と異なるチコモンのテイマーがアルフォースブイドラモンの持ち主でしょう。
アズマケイさんが実現するかはわかりませんが、これでテイマーが四ノ宮リナでチコモンがブイブイに成長してたら大リナが完全に成立してヒカリもタケルも賢も京も伊織も、そして太一もヤマトも空も大輔奪われてピンチですね。
だけどこの線で行く02編が間違いなく最短ルートでデジタルワールド28年戦争にせずに済むでしょうし、そこまでしないといけない程にアニメ版の世界は暗黒勢力の侵略が進み過ぎていましたし。
この世界線の「02」は資金も何もかもがカンストした「強くてニューゲーム」状態になるでしょうから、「Tri.」「ラスエボ」「THE BEGINNING」路線になる心配はなさそうです。