【罪の余白】映画のあらすじと感想
第三回野生時代フロンティア文学賞受賞作 芹沢央著による 【罪の余白】の映画です。
高校のベランダから転落して死亡した香菜(吉田美佳子)。
自殺か事故かわからないまま、
父親の安藤聡(内野聖陽)は苦悩し、仕事を辞める。
母親を病気で亡くしてから、男手一つで育ててきた安藤には、香菜の死は最後の砦のような存在だった。
ミッション系高校で起きた事故(自殺)
奇しくも父親の安藤は大学で行動心理学を教えていた。
確かに父親1人では、香菜の全てを守り切れなかったかもしれないが、
それでも香菜の死は全く予期しないものだった。
香菜には親友が二人いたと、後日日記で知る。
親友・・・
日記のところどころに
「サキやマホが怒っている」ことに不安を持つ香菜の日常がパソコンの日記から伝わってくる。
サキやマホとはどんな人なのかを安藤は知りたがるが、
相手が未成年なので高校に近寄ることもできない。
そして酒に溺れる安藤。
ある日、クラスメイトの笹川七緒から
少しだけ情報を得るが、
笹川七緒は真面目でおとなしい典型的で敬虔なクリスチャンだったので、クラスメイトからはその存在を無視されていた。
何度も
「あの日、ベランダで香菜か落ちたときに何があったのか?」の安藤の問いかけにも、
普段からクラスメイトとは一線を引いていたためにそれ以上のことは知らないと繰り返すところが真面目な七緒らしい。
でも、七緒は
「サキさんはクラスに君臨する女王」のようなニュアンスの言葉を安藤に残す。
香菜は自殺だったのか?
事故だったのか?
クラスにイジメはなかったのか?
女子のイジメは判断が非常に難しい。
一見仲良く見えても、その実はパシリ扱いだったり、
自分たちに都合の良いときだけ仲良しになるというパターンもある。
笹川七緒が言っていた「サキさんはクラスの女王」という言葉が、
この映画の要である。
明るく勉強ができ、誰もが振り向く美貌と、
裕福な家庭、
そのような生徒をだいたいの担任は
「良い生徒」と位置付ける。
香菜はいつもサキの顔色を伺いながらも、他人からは特別視されているサキのグループから外れるのを恐れて何も言えない。
この二人の間にイジメがあると、誰が判断できるだろうか?
サキは罰ゲームと称した「ベランダに5秒立つ」というサキの命令を断れなかったのだ。
サキは同級生はおろか、大人の心を読み操るサイコパスである。
未成年、証拠無し、手掛かりなしのなか
、安藤は一切の酒を辞め、本格的にサキに近づいていく。
サキから本当のことは聞けるのか?
彼女を罪に問えるのか?
行動心理学者対心を操る美貌の少女。
勝つのはどちらなのか。
実際にありそうなこの映画の内容は、
親も子どもも見るべき作品だと私は思う。
【○○するべき】という言葉をそもそも私は好きではない。
だが、この映画はR13ではあるが、
ちょうどその頃の年頃の子どもが遭遇する出来事でもある。
実際、サキが香菜にベランダに行けと命令するシーンは、
サキが一言も、口に出していないにもかかわらず、香菜は操り人形のようにベランダに立つシーンは胸を引き絞られるような痛みを感じずにはいられない。
イジメを受けている子は、
はっきりとNoを言える、そして
その学校からは離れることも視野にいれて欲しいと思う。
学校だけがこの世の全てではなく、
本当の親友ならば、住む場所が変わっても、幾つになっても親友であることは変わらない。
そのことを強く知って貰いたいと思った映画です。
アマゾンプライムその他で無料で見られます。
ラストは敢えて書きませんのでご興味を持たれた方は見てください。
今日も読んでくれてありがとうございます✨🙏✨