林田氏

くだらない話をつらつらと書いていきます。大体はフィクション。きままに、ひまなときに、日…

林田氏

くだらない話をつらつらと書いていきます。大体はフィクション。きままに、ひまなときに、日常を切り取って。 Twitter http://www.twitter.com/hysd_empty

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くだらない話

ここで話すのは、しょうもない男の、くだらない、ありふれた話だ。誰だってそんな話のひとつやふたつくらいはあるだろう。そんな程度の話だ。 あれはもういつの日だったか、たしか冬が終わる頃だったろう。男は、女を見た。男には既に連れがいたし不倫や浮気なんて誰がやろうと構いやしない、自分には関係の無い話だと思っていた。その女を見るのは2度目だった。なんのことはない。仕事の関係で移動になった上司の移動先がその男の地元だったという話なだけだ。仕事で世話になった上司なのだから女が既婚であろう

    • くだらない話 其の肆

      ここで話すのは、しょうもない男の、くだらない、ありふれた話だ。どこまで行っても在り来りで、何も出来ない男のその話だ。 男は逃げ出していた。 どこへ逃げたのか、何から逃げたのか、何故逃げたのかは、男にもわからなかった。いや、ただ分かりたくなかっただけなのかもしれないと今になって思う。 齢27で何もかもを手に入れてしまった。元来家庭は裕福であったし、家族からも、周りからも愛されていた。男には愛する女がいたし、友人と呼べる存在も大勢いた。若くして出世し、地位も、名誉も、金も手

      • くだらない自己紹介

        こんばんは、こんにちは、おはようございます。 私のnoteを見てくださりありがとうございます。 適当に、つらつらと自己紹介してまいります。 林田といいます。くだらない体裁をたどたど書いてるだけなので歳も仕事も言っても仕様がないと思うので割愛します。 ナゼジコショウカイスルノダ。 基本はフィクションの短編ノベルを好き勝手書いているので、たまには現実の整理もした方がいいのかと思って書いています。小説の自己分析とか。 今までの「くだらない話」をお読みになった方はおわかり

        • くだらない話 其の三

          ここで話すのは、しょうもない女の、くだらない、ありふれた話だ。どんな女でも女は女だし、いつだって女の敵は女だ。女であれば大概の人間は通る道だろう。そんな程度の話だ。  女は煙草に火をつけた。紫煙をくゆらせながら、もう20年程も前のことを思い出していた。 女が20を過ぎる頃、男ができた。その男は別段恰好が良かったわけでも口説き上手だったわけでもなかったが、どこか惹かれるものがあった。何に惹かれていたのかは今となっては思い出せそうにもない。ただの若気の至りだったのか、学生の恋

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        くだらない話

          くだらない話 其の二

          大粒の雨の中、男は血を流して倒れていた。男はもうすぐ死ぬはずである。息たえだえに、視界が霞み、どこまでも白い闇に包まれている感覚であった。長かったこの戦争も終わろうとしている。男の命と共に。 「やっと終わるのか……長かった…な」 声にもならない声で男はそう呟く。周りには誰もいない。あるのは屍の山と雨の音、そして遠くで鳴り響いている撤退の怒号だけだ。まあどうせ死ぬんだから動いても仕方ないな。そう思って男は死に場所をそこに決めた。 そろそろ男の意識がなくなりそうな頃だ。そん

          くだらない話 其の二