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#03 SABAEについて想う事


「美しいアイウェアを作れる技術を次世代に繋げていきたい」と考えています。

僕は商品を企画する中で中国を始めとしていろんな国でモノづくりをさせていただきました。その中でも日本の鯖江という眼鏡の産地をリスペクトしています。

いくつか魅力を上げると
「丁寧で仕上がりが圧倒的に綺麗」
「企画に対しての再現度と自由度が高い」
「Titaniumを始めとした難しい素材を加工できる」
等付加価値の高い上質なアイウェアを作れる世界一の産地だと思っています。
Ttaniumを成形できるのはココと中国のごく一部でヨーロッパは出来ませんし、磨きも一級品です。アメリカやヨーロッパのブランド品はその技術を欲して鯖江で眼鏡の製造拠点にするブランド(身近なところでDITA、OLIVER PEOPLES、Jacques Marie Mage、TOM BROWN他)が多数あります。

技術が培われてきた背景として、豪雪地帯の為冬に農家の方がやる事がなくて内職として始めた事がきっかけで家内制手工業の体制が特徴としてあり。工程毎に職人化していきました。技術が高い一方で、多くの会社を通すので納期がかかりコストが高いというデメリットがあるのも事実です。

コモディティ化して技術的な差が小さくなってきた昨今では競争力が落ちてきています。

現地を訪れるとこんな声をよく耳にします。

「半導体メーカーが人気で若いヒトが集まらないんですよ」
「〇〇が廃業しました」
「○○の仕事で買い叩かれました」
「これ以上の規模は受けられないんですよ。。」

後継者が不足し、技術が失われ、年々取引高が減少している関係で、製造キャパも下がっているという状況がかつて世界の鯖江と尊敬を集めた産地の現状です。

ではなぜ今の様な状況に陥っているんでしょうか?

さまざまな見方がありますが、国内市場が変わって高付加価値品(高単価品)の需要が減ってしまった事に尽きると思っています。
鯖江は国内需要をベースに世界中に眼鏡・サングラスを輸出しておりましたが、JINSをはじめとするSPA業態の参入により市場が変化し今では国内の50%以上が上位5社の低価格眼鏡小売ブランドで寡占し生産拠点は労働力が安価で大量生産に向く製造ラインを持つ中国に移転していきました。(結果、日本の技術を習得して帰国した中国の工場経営者は今では高級車を乗り回しています)
これは自然な流れとして受け入れるべき状況ではあると思います。
ここで問題なのは、国内産地の投資が停滞し進化が止まり活力が失われてしまったという点なのではないかと思います。
コモディティ製品が量産化し低価格化していく事は家電製品や他産業をみても当然の流れである一方で、この産地の技術を活かしてアップデートした製品を生み出す動きが自分の眼にはあまりない様に感じます。

ちなみに直近鯖江はインフレで好景気のアメリカからの注文が殺到して大混乱に陥っています。しかし儲かっていないと言います。
これは生産キャパシティーが年々下がっている中にそのキャパを超える注文が入っている状態が原因です。
担い手がおらず設備投資もできない状況にいきなり注文が殺到しても対応出来ないわけです。
おかげさまで納期は伸びて注文から1年かかり、コストも高くなっています。

おそらくこのままで行くと緩やかに特殊な技術は失われ、眼鏡業界からチタンの眼鏡が減少していくことになると思います。

生産者さんのニーズを紐解くと要は需給の平準化して長期的見通しが立つ状態がまずベースにないと進化にすることに目が向かないという事の様です。

僕はこの課題に対して産地からオンラインで世界へ直接発信する「産地デジタル直売スキーム」が一つの解決に繋がる可能性を感じています。
ブランドを確立し、直接世界中に流通できる状態を構築すれば。
需給が安定し且つ値崩れを起こしづらい状況を作れるかも?

眼鏡はオンライン化の難しい商材ですが挑戦していきます!


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