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①東芝めん打ち機 SE-400/昭和の「家電製麺機」を愛でる会

『昭和の「家電製麺機」を愛でる会』というマガジンで4台をレビューしたうちのひとつになります。

東芝めん打ち機 SE-400

トップバッターは「明日をつくる技術の東芝」、「電球から原子力まで電気の総合メーカー東芝」でおなじみの東芝が生んだ家電製麺機、「東芝めん打ち機 SE-400」

発売時期はこちらの情報によると昭和51年のようです。なんと50年近く前の製品ということですね。東芝がまだ東京芝浦電気だった頃の商品です。


外観

痛みの少ない段ボールの中には、鮮やかなイエローの筐体。

水と粉を混ぜるニーダー部分と、「のす」と「きる」と書かれた製麺機能が一体化されています。

入手状態は箱あり、説明書なし
東芝新世紀シリーズだそうです
ほぼ未使用のグッドコンディションと思われます
鮮やかなイエローが眩しい筐体
味わい深いイラストの「※ご使用時にはおはがしください」シールに、26800円と値段が書かれていました
上から。左上が「きる」、左下が「のす」
のすときの厚み調整ネジ
説明書はありませんが、標準配合が貼られていました
フタを開けた状態
鋳物製麺機のように、切り刃やローラーが金属ではなくプラスチックなので洗えるのがポイント。ただし金属パーツも多いので、メンテナンスがしやすいかと言われると謎
切り刃には櫛刃がセットされている。麺の切り幅は約2ミリの一種類のみ
生地をのすローラー部分
粉と水を混ぜるニーダー部分
ニーダーの羽根にはゴムが詰まっていました。粉を回すためのパワーを与えるためでしょうか。乾電池を握って殴ると攻撃力が増す、みたいな

生地を捏ねる

それでは実際に使ってみましょう。
可能な限りパーツをばらし、洗浄してから使用しました。

この家電製麺機で作るメニューは、標準配合が書かれたうどんです。
「強力粉150g+薄力粉250g+水160cc+塩大さじ1(18g)」
塩分量約10%の打ち水で、総加水率は44.5%、水だけなら40%。
手打ちとしては少し固め、鋳物製麺機であればやや柔らかめの水分量となっています。

ニーダーに粉を入れる
説明書がないので何分やればいいのかは不明
かわいいメスシリンダーがついているが、塩と合わせて170ccを超える打ち水を作るにはギリギリすぎるので、計量した水を別の容器に移して塩を溶かします
ニーダーの回し方がわからなかったのですが、フタを閉めて上から押すと回転することが判明
打ち水を少しずつ入れて攪拌する
何度かゴムベラで全体をかき混ぜました
全部の水を入れてしばらく回した状態。トータル7分ほどで水回し終了

ニーダーを使って水回しをしてみたのですが、400gの生地を作る仕様なら、もうちょっとサイズとパワーに余裕があるといいかなという感じでした。
あるいは説明書を読んで、正しい手順でやればもうちょっとよい状態の生地になったのかも。

手作業でのす必要があるっぽい

残念ながら説明書がないため正しい工程がわからないのですが、この生地を「のす」と書かれた部分に入れて薄くしていきます。

ただ、このままでは「のす」に入れられないので、手作業で入り口の幅と厚さに合わせた形にしてあげる必要がありそうです。手回しの鋳物製麺機ユーザーならお馴染みの作業ですね。

この製麺機に「手打風」と書かれていますが、手打ち風というか、一部手打ちです。意外とアナログ。

ここに入る麺帯(めんたい)を作らなければいけないようだ
仕方がないので麺棒で成型する。水回しの状態がイマイチかも
「これが昭和の家電製麺機なのか……。僕はこの作業をどんな気持ちでやればいいんでしょう」とプロダクトデザイナーの辻村氏
通常のうどん作りとはちょっと違って、投入しやすいように縦長に伸ばします

電動ローラーでのす

生地の形が整ったところで、ローラー幅の厚み調整ダイヤルを一番厚い状態にして、電源を入れてローラーを回し、そこにボコボコの生地を送り込みます。ちなみにローラーの間隔はとても狭いのですが、負荷がかかると少し広がる仕様っぽいです。

手作業の工程が入ったことで、この機械を見くびってしまいましたが、生地がウィーンと平らに成型されて出てきたのを見て、その場にいた全員が「これは便利だ!」と大喜び。モーター最高。

当たり前ですが鋳物製麺機のようにハンドルをグルグルと回す手間がないんですよ。そっと支えているだけで均一な厚さになって出てくるのだから超楽ちん。

より力のいる複合圧延も試してみましたが、全然ヘッチャラでした。電動の製麺機、素晴らしいじゃないですか!

入口にギリギリ入る厚さだけど、入ってしまえばスイスイと吸い込まれていく
これは楽だ!
複合圧延を繰り返して、生地を滑らかにしてみました。この工程がマニュアルにはどう書いてあるのかが気になります
電動の素晴らしさに目覚めた辻村氏

生地がきれいになったところで、ダイヤルでローラー間隔を少しずつ狭くして、お好みの薄さまで調節します。この辺りの作業は鋳物製麺機と同じでいいでしょう。

その昔、船釣りで電動リールを使う人は釣りの楽しさがわかっていないと思っていましたが、いざ電動リールを使ってみると、巻き取るという力作業を外部委託することで、より釣りの楽しみを享受できたことを思い出した。

アトラスの電動パスタマシンを使うと、手動の鋳物製麺機に戻れなくなるという怖い話を聞いたことがありますが、まあそうだよなと納得です。

きれいに伸びた!

麺線に切る

伸ばした麺帯に打ち粉を打つか迷いましたが、掃除が大変になりそうなので、とりあえずそのまま「きる」と書かれたほうの入口へと投入。

プラスチック製の切り刃で麺がちゃんと切れるのか不安でしたが、まったく問題なくきれいな麺線が出てきました。切っているところが箱の中で見えないため、なんだか手品みたいです。あるいはシュレッダー(シュレッダーは製麺機をヒントに発明されました)。

プラスチックの切り刃でも切れるもんですね
少し裁断面の角が潰れている気もしますが、全然許容範囲
出てきた麺を適当な長さにカット。やっぱり打ち粉をしておけばよかったと反省

試食

たっぷりと沸かしておいた熱湯に打ち立ての手打ち風うどんを入れて、適当な茹で時間で茹でて、料理上手な辻村氏が用意してくれた塩味のスープでいただきます。

食べてみるとツルツルでおいしい!
断面が正方形に近い細麺なので、いわゆる「うどん」という感じではないのですが、これはこれで無かんすいラーメンっぽくていいのでは。
麺とスープの相性バッチリ。ガチ中華の店で出てきそうです(中国の麺は、かんすいが含まれない場合が多いらしい)。

この機械で作ったからこその味、という部分は正直あまりない気もしますが、とにかくおいしい一杯となりました。

たっぷりのお湯で茹でます
辻村氏に仕上げていただいた
ツルツルの細麺がうまい!

動画

麺作りの様子を動画にまとめました。チャンネル登録してね。

総評

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