2011.11.13 Sunday方程式思考と鶴亀算思考

(昔書いたブログ記事を再掲)

私自身が海外の人たちとガッツリと仕事をするようになって10年ほど経ちますが、仕事で取り組む問題へのアプローチの仕方に、日本人と欧米人の間での大きなギャップを感じていました.各事例としてはわかるものの、その文化的な背景がイマイチしっくりこなかったのです。

ところが、子供がアメリカの学校に行くようになって実感できたことがあります。方程式と鶴亀算の違いというべきか、フレームワークを作ってから解くのと近似を繰り返して解くのとの違いというべきか、そういった違いです。アメリカの学校では、方程式的な考え方を早いうちから訓練している印象があります。方程式自身を学ぶのも早いです。

方程式を利用するときは、わからないものをある文字で表現しつつ、まずは問題の全体像を定式化します。その後、わからない部分を周りから解きます。それに対して鶴亀算では、一定の仮定をおいて矛盾を見つけ、それを解決できるパラメータを探します。

欧米の仕事の仕方は、ある仕事を始める前に、延々と議論をして、あるべき姿をきちんと話してから着手しようとします。日本の場合は、ゴールはある程度は見えているものの、それほどきちんと意識化しようとせずに仕事が始められ、仕事をしていく中で微修正が加えられてゴールに達します。

どちらの方法が優れているということはないです。欧米主導のソフトウェア開発法でも agile methodology といって、繰り返しながら少しずつゴールに達するアプローチも普通にとられるようになりました。もっともこれはトヨタのかんばん方式を参考にしているのですけれど。
日本のやり方だと、仕事を進めていくうちに何が解くべき問題だったかわからなくなり、いたずらに労働時間が長くなることもあります。逆に、欧米流だと延々議論をして一向に実作業に着手できないことも少なくありません。手を動かさないと本当の問題の所在が分からないことも多いのです。

正しい方程式が立てられれば、解くのは機械的です。数学の方程式の場合はMathematicaのような数式処理ソフトがあれば解けるタイプのものは解けますし、実社会における方程式はあとはその道の専門家を集めて部分問題を解いてもらうことができます。

苦労するのは、正しい方程式を立てる方、あるいはふわっとした問題をきちんと定式化する部分です。近似のアプローチですと問題定式化の部分と解決の部分が渾然一体となって解決部分のアウトソースがしにくいですし、センスのないまたは問題を解いたことがない人が定式化すると解けない方程式になったりします。

方程式の解き方はおそらくアプリなどを使って学べるようになるでしょうけれど、立て方はどうすれば身に付くのか、この問題は難しそうです。

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