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2024年の3選

ここ数年、書く時間がうまくとれずにいたけど、2024年はすこし書量(しょりょう)が回復した。そこで書いた記事3選のほか、読んだ本3選や印象に残ったニュース3選、いい天気だった日3選などを紹介します。
ちなみにどれも3選なのは、むかし仕事で上司に「何かをまとめる際は常に3つだ。根拠はないが、2や4ではいけない。3が大事なんだ」と熱く語られて、何言ってんだこの人、と思いつつ妙に印象に残っているからです。


よく読まれた記事3選

インターネットで書いた記事の中でも、よく読まれたものです。

16年前に住んでいた学生寮に泊まる

大学生の頃に住んでいた学生寮に、特別に泊まらせてもらった記事。年の初めから、こんな体験できていいの!?と舞い上がった。これからも過去にすがりながら生きていきたい。noteにこぼれ話も書いています。

いるはずのない親戚がXで見つかった話

Xで偶然見つけたポストから始まるnote。内容が複雑すぎて、口頭では未だに説明できない。
身近に潜む謎っていいですよね。こういう話がいろんなところにあるのではと思う。この記事でnote創作大賞を受賞したので、もらった賞金で年明けに親戚と寿司を食べる予定です。

真夜中の本屋ダンジョン

ジュンク堂池袋本店さんに一泊させてもらった話。ライターをやっていると、いろんなところに一泊させてもらえて嬉しい。
深夜にたくさんの大人が動いているというプレッシャーと、4人の撮影を同時並行で行なってまとめる過程が大変だったけど、それを余裕で上回る最高体験だった。Podcastで裏話も話しています。


気に入っている記事3選

自分で気に入っている記事を紹介します。

トイレットペーパーをずっとカラカラ回している人

トイレの個室で、トイレットペーパーをずっとカラカラ回してる人の正体に迫った記事。初めて挑戦してみたテイストだったので楽しかった。4/1に公開したらエイプリールフールだと勘違いされて悲しかった。
前述の「いるはずのない親戚が〜」もだけど、日常にはちっさいミステリーがたくさん潜んでいて、そういうのを見つけるともっと日々が豊かになると思う。今後も卑近ミステリーを追いかけていきたい。

【検証】デアゴスティーニの創刊号だけ見て何ができるかわかるか?

デアゴスティーニの創刊号をたくさん集めた記事。座談会は3時間で終わったのに、おまけコンテンツに50時間かかったので印象に残っている。
ちなみに先日久しぶりに出社したところデスクに新作のデアゴスティーニが置かれていて、「近所の本屋にあったので買いました。あげます」と同僚からメッセージが届いていた。「デアゴスティーニ創刊号 蒐集家」としての地位を築いていきたい。

広告だらけの羅生門

羅生門にたくさんPR注記をつけてみたnote。ただそれだけのnote。思いつきで書いたのが楽しかった。
題材を羅生門にしたのは、むかしはてな匿名ダイアリーの「クソデカ羅生門」を読んで、カッコいいなあ、と憧れていたから。いつか『指輪物語』に指輪のPRをたくさんつけてみたい。


書いた紙3選

今年は紙媒体でも色々書きました。

はこんでころぶ

初めてつくってみた個人制作本。運転がテーマだけど、個人制作本だから好き勝手やってやろうと、短編小説も2本入れた。売る過程含めて楽しかったし、今でも書店に日々家から配送作業を行なっている。
自分で梱包するとちょうどいいサイズの段ボールを見つけるのが難しくて、たまにデカすぎる段ボールに数冊だけ入れて送って、送料だけで赤字になったりしている。クソでか配送料。
7万字あるけど意外とすんなり完成して、本ってもっと気軽に作っていいんだ!というのが新鮮な気づきでした(ということを取材記事で語りました。)

日本最古の旅行記を27人で分けて読む

だから気軽につくってみた本。今度はPodcast名義で、27人でつくった。みんなで作るのは文化祭みたいで楽しい。
内容はタイトルそのままで、27人が前後の文脈もわからないまま、分けた箇所「だけ」を読んだ分読記がまとまっている。今後も本でいろいろ遊んでいきたい。
本にも収録されている唐沢むぎこさんゲストのPodcastを聴くと当時の仏教に詳しくなれます。平安の僧にもサラリーマン的な悲哀があったのだなあと思うと親近感が湧く。

男性ブランコ単独講演『駐車場』パンフレット(寄稿)

男性ブランコさんの全国単独公演のパンフレットに寄稿した。「古案内」というタイトルで、古いカーナビを持って、単独公演の最初の会場である池袋から、最後の会場である上野までを歩いた旅行記。古いカーナビは前から集めていたので、この機会に魅力を伝えられてよかった。
なにより「男性ブランコさんの公演の世界観に合わせる」という調整作業が楽しかったな。またやりたい。パンフ専業作家という仕事はないですか?

紙だと他にも、藤岡みなみさんの『超個人的時間紀行』、オモコロの『オモコロクッキングBOOK』などにも寄稿しました。寄稿って時間が経つと自分でも書いたことを忘れがちなのだけど、紙は手元に残るから、いい。


よく聞かれた話3選

Podcast『超旅ラジオ』でしゃべった中で、よく聞かれた回です。

「外務省海外安全クイズ」に挑戦したら難しすぎた

Spotifyで人気の高かった回。外務省公式の「海外安全クイズ」に挑むという内容なのだけど、僕は外務省の模範解答の5倍くらい安全に慎重(例:海外の空港で知らないおばあさんに話しかけられたら?→その瞬間にダッシュで逃げる)だったりして、その人の「旅感」が現れて面白かったです。

危難の多すぎる「チベット旅行記」を語りつくす、ただし上巻の途中まで

超旅ラジオではよく本の話をする。これは今から130年前、仏教の原典を求めて鎖国状態だったチベットに入国した僧の壮絶な記録『チベット旅行記』について語った回。僧の旅行記をたくさん読んでるな。
この旅行記は内容が濃すぎて、二人とも上下巻の上巻でお腹いっぱいになってしまったのに、まるで全部読んだみたいな熱量で語っている。昔の人の旅行記って、今だったらそれ単体で大バズりしそうな死にかけたエピソードとかを、二行で終わらせてるからすごい。

予算500円で最高のおつまみを持ち寄ろう!(ゲスト:パリッコ)

超旅ラジオでは定期的にゲストをお呼びしている。例えばこれは酒場ライターのパリッコさんをお呼びした回で、聞き返して自分でめちゃくちゃ笑った。酒飲むのを仕事にできて、しかもそれが「実は大変で…」とかじゃなくて正面から「最高です」って言えるのは最高だ。自分もそんなふうに生きていきたい。

なお超旅ラジオは、去年までデイリーポータルZで「旅のラジオ」としてやっていたPodcastで、今年から独立しました。
最初はどうなることかと思ったけど、「ロスト・バゲージ・クラブ」という会員コミュニティを作ったことで収益的にも安定して運営できるようになったし、そこからいろんなコンテンツが生まれたし、何より楽しいしで、結果的にいい事づくめだった気がします。やってみるもんだ。

元来書くのが好きで、話すのは苦手だけど、4年も毎週やってると少しずつ慣れてきた気もする(未だに下手だけど。)その場で当意即妙なことを言えた時の気持ちよさって「喋り」ならではだから、そういう瞬間を増やしていきたい。


読んだ本3選

本が好き。色々読んだ中で、今年印象に残った3冊を紹介します。全ジャンルだと選びきれなかったので、小説・ノンフィクション・絵本の3ジャンル。エッセイとかも入れたかったけど、上司が3つっていうもんだから…。

百年の孤独

コロンビア文学の金字塔、百年の孤独。むかしコロンビアに行った時に持って行って、読まずにそのまま持ち帰ってきた、思い出の一冊。
文庫化を機に初めて読んでみたら、なんだこれ!?どのページを開いても、そのページだけでとんでもない描写が、とんでもない濃度で詰め込まれていて、数ページ読んだら悪酔いする。本版スピリタス。読み終わった夜には悪夢でうなされた。その興奮をPodcastでもそのまま語ろうとしたら、その50倍の熱量で語るSatoruさんに圧倒されました。

ナツコ 沖縄密貿易の女王

かつて与那国島が、2年間だけ密貿易で黄金時代を迎えた戦後の時代があった。その時に頭角を表したのが、密貿易の女王「ナツコ」であり、その知られざる正体を追った物語。
前半のナツコの剛腕ぶりがとにかく凄くて、逮捕されても収容所内を自由に歩き回り、警官を顎で使うなど、ビスケット・オリバみたいなエピソードがたくさん出てくる。
与那国島に行こうとしたら行けなくなった時に読んだというシチュエーションも相まって、ノンフィクションでは最も印象に残った一冊。

たんけん絵本 種子島 ロケット打ち上げ: 組み立てから飛びたつまで

今年買った絵本の中で、親目線で面白かった一冊。
種子島でロケットを打ち上げるまでの過程が描かれているのだが、ロケットの部品の製造から解説していて「そこから!?」と驚く。そして細かな絵の描き込みに、絵本とは思えない文字量。さらにそこまで情報量が多いのに、各ページにストーリーと関係ない「ソフトクリーム」「忍者」などの小さな隠しアイテムが描かれていて、ウォーリーを探せ的な要素もある。「どんな子供にも、絶対にどこかで惹きを作ってやる!」という執念を感じる一冊。寝かしつけに使おうとすると、長すぎて全然読み終わらないので注意。
ちなみにうちの子はロケット機体を運搬する56個のタイヤがついた「ドーリー」という巨大な車を気に入って、ドーリーのトミカがほしいとねだられている。トミカさん、どうにかなりませんか?このままではタイヤ56個を自作することになります。


読んだニュース記事3選

Web記事3選だとやっぱり選びきれないので、ニュース記事。どれもローカルなニュースです。

五反田TOC、建築費高騰で建替延期 9月に営業再開

五反田を象徴するショッピングモール「TOC」がついに今年3月末に閉館になったと思ったら、翌週に営業再開が発表されたというニュース。すでに全テナントが出払った後で、みんなが名残を惜しんでいた直後に、そんなことある!?
「家賃を上げるための策略」などいろんな説が囁かれているが、個人的にはずっと近所に住んでいて、年初に書いた「愛する五反田を離れるにあたって」という寄稿でもその思い出を語っていただけあって、一番ずっこけて印象に残った。

河原の石を水槽に入れたら…国内報告1例の「まりも」が出現

多摩川で拾った石を水槽に入れていたら、かなり希少なまりもが出現したというニュース。「多摩川で拾った石を水槽に入れていたら」という時点で良すぎる。
僕も多摩川の近くに住んでいて、年々多摩川のことが好きになっている。子どもが石をよく拾って帰るのだけど、その石の中にもこういう宝石みたいな一石が紛れているのだと思うと、ロマン溢れるニュースだなと感じました。

姥捨て山の”真相”に迫る 棺ごと尾根から谷底へ 集落に伝わる「ガンコガシ」の伝説

地元の兵庫県・丹波篠山市のローカル紙「丹波新聞」のニュース記事。「姥捨山」の伝説を、現場の険しい谷から語るホラーな前半。そしてその伝説は、棺桶を谷に落としてしまった若者の「言い訳」を用意するための村としての暗黙の共通認識だったのでは?という後半の専門家の推理が、セットで面白い。
丹波新聞では、他にもこういう奇習記事がたくさん読めるのでおすすめです。


いい天気だった日3選

「いい天気だった」と感じた日を毎日記録している。天気って毎日変わるから面白い。
本来、天気にいいも悪いもないので、完全に主観である。僕は散歩が好きなので、東京にて散歩がしやすい「気温20℃ちょっとで湿度50~60%、快晴かつ弱い風の日」が選ばれる傾向が強い。

5月10日

11月4日

11月28日

毎年11月初旬が並ぶことが多く、もはや殿堂入りかと思われたのだが、今年はかなりバラけている。猛暑で10月まで暑さが後ろ倒しになった影響で、秋も玉突きで後ろにずれたのかもしれない。これだから天気はやめられない。

以上です。来年もたくさん書いて喋って読んで、いい天気の日にたくさん散歩ができるといいな。

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岡田 悠
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