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「個性」って,なに?
● 個性って?
学級の時間に「個性って何?」というプランをしました。
ボク:「○性」と板書。
「○には漢字一文字が入ります。」
慣れたものですぐに相談がはじまります。
酸性,女性,異性,個性,中性,天性,同性,男性
「異性」という声が多かったのは,性教育をしたあとだから!?
「さすが3組,正解があります。」
なぜか,異性が激減2名。個性17名。先を読む力があるなぁ
ボク:「個性ってよく聞く言葉だけど,なんだろうね。」
「個と性,2つの漢字を必ず使って説明してください。」
また盛り上がります。
また列順に聞いてみます。
NAさん「個体値と性格 個体値? その,ポケモンの・・・(爆笑)
DEさん「個人の性格」
HIさん「個人の性質」
SIさん「個体の性質」
WAさん&MAさん&新選国語辞典第九版(小学館)さん
「個人又は個々の事物において特徴付け,他と区別するような性質」
辞書を引いてくれた人がいるので,他の人にも引いてもらいました。
持っている辞書がさまざまなので,いろいろ違いが出ます。
「個々の人や物をそれぞれ特徴付けている性格」
―― 新明解国語辞典第七版(三省堂)
「その人個人に特徴的な性格」―― 例解新国語辞典第八版(三省堂)
「才能や感性などその個人の特性」―― 国語辞典小型版第六版(三省堂)「その人またそのものだけが持っている他とは違う性質」
―― 例解小学国語辞典特製第三版
ボク:「なんだか国語の授業みたいだけど,まったく同じ事を書いている辞
書はないでしょ」
「何かを調べる時,複数の辞書を引くことはけっこう大切です。」
「まったく同じではないけれど共通している言葉もあるね」
次々と上がります。 性質 性格 特徴
● 個性的って何?
ボク:「ところで,個性と似た言葉に,個性的っていうのがあります。」 「一文字くっついただけだけど,何か印象が変わりますね。」
プリントを配布。以下について書いてもらいました。
(1)「個性的」とはどういうことか。
(2)3組で,あなたが「個性的」と思う人2名とその理由。
人によっては熱心に10分近くかけていました。
「先生,集めたら読むの?」
「もちろん,先生一人が楽しむわけにはいきません。」(^^)
さて,集めてから「個性的とは何か」から発表します。
以下――
・めずらしい ・変わっている ・変人 ・ふつうはやらないことをする
・自分の世界を持っている ・独特 ・個人の自由 ・他とは違う性格や特徴を持っている人 ・特徴があって目立つ人 ・原宿 ・何かにずば抜けている人 ・はずれている ・ユニーク ・多数派の人はマネできない
・何かが明らかに違う ・話し方,文の書き方,趣味が何か違う
――以上
発表するごとに,笑ったり,肯いたり,うなったり・・・
みんな楽しんでいました。
ボク:「個性的って何?という質問への答えも,また個性的ですね。」
ボク:「それでは,こうした〈個性的な人〉に,あなたは入っているでしょ
うか。」
「自分は書かれているだろうと思う人は手を挙げてください。」
入っていないと思う人・・・・・・・26名。
入っていると思う人・・・・・7名。なぜか男子ばっかり(^^;)。
この後は,書かれた人と理由を発表。これまた,みんな大盛り上がり。
結果,なんと21名が読みあげられました。
〈自覚のある7名〉はもちろん登場。
〈自分は書かれていないだろうと思っていた人〉が14名も登場したのです。もちろん女子だってたくさんいましたね。
興味深かったのは,さっき出た「個性的って何?」の回答よりもはるかに具体的な理由が多かったことです。ここでチャイム。
●授業の感想
次の日の朝の会で感想を書いてもらいました。
授業をやって良かったと思いましたか
・5とても良かった―――― 9名
・4良かった――――――― 20名
・3どちらともいえない―― 2名
・2,1はいませんでした。
「みんなの個性が分かった」(IKさん・4)
「みんな人それぞれ個性があって,みんな違った性格を持っているんだな。
聞いている方も楽しかった!!」(OZさん・5)
「個性って人それぞれで面白い!! 授業笑えた」(ISさん・5) 「考えてみると,クラスには個性的な人がいっぱいいた」(TAさん・4)
「個性的って言われて喜んだらいいのかどうか,とっても迷いました」
(KAさん・4)
「「個性的」は私の辞書には載っていなかった。「個性」と「個性的」との違いを知りたいです」 (YAさん・4)
「色んなことを学べた。楽しかった」 (KAさん・4)
「人はみんな違うと分かっていたけれど,個性はおもしろいなと思いました。何で私が〈個性的〉なのかは分からないが,人の見方は違うんだなぁと思いました」 (AMさん・5)
自分では「個性的とは選ばれないだろう」と思っていた人も,実際は大勢選ばれています。今回は「2人ずつ」しか書いてもらわなかったのに,この結果です。
「他人から見てもらうと,自分でも思ってみなかった性格が分かって良かった」 (SAさん・4)
見る人によって,違うあなたを見つけてくれている。人間は自分のことは自分が一番よく知っていると思いがちです。ところが,今日のような授業をすると,〈自分の性格=個性とは何かなんて自分ではなかなか意識できないものだなぁ〉と思えてきます。
こんなことを考えていたら次の文に出会いました。
「自分の中に自分はいない」社会が人と人との相互作用の上に成り立っている。(略)自分の中に自分を探すな。自分は他人との間にある」
(朝日新聞11月18日書評欄『私とは何か』平野啓一郎著に対する福岡伸一氏の書評)
難しい言葉ですが,
〈自分の個性=自分の姿〉は他人が発見してくれる。
いろいろな人が〈いろいろな自分を発見してくれる〉
と言うことだと思います。
クラスや学校という場で人と人とが一緒に生きていくすばらしさは,
こんなところにもあるのでしょうね。
―― 以上です。
これは10年前に,中学1年生向けに書いた学級通信です。最後の福岡氏の言葉は,思春期を生きる子どもたちにはぜひ紹介してあげたい言葉です。
思春期の悩みって,たいていの場合「何で私だけ…」や「私なんて…」から始まります。一人でどんどん内面に閉じこもりがちになる傾向があります。
福岡氏の言葉は中1には難しいでしょう。でも,難しいけれど,なにか分からないでもない,何かひっかかる。子どもと大人の境目にある思春期の子どもたちには,こうした言葉に出会わせてあげたいと思います。