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レジリエンス(強靭性)の確保

=生成AIと空飛ぶクルマの未来を考える=
HAAM公式noteのコラムシリーズ。
代表のPRODUCER江藤誠晃がAAMの未来を独自アプローチで構想します。


▪️イントロダクション

空飛ぶクルマ産業の未来を「SDGs ウェディングケーキモデル」の3層構造(経済・社会・環境)で探究していくコラム。
前回の環境(BIOSPHERE)の上部にある社会(SOCIETY)へのアプローチで考えていきましょう。

17のゴールのうちこの層に位置付けられるのは
(1)貧困をなくそう
(2)飢餓をゼロに
(3)すべての人に健康と福祉を
(4)質の高い教育をみんなに
(5)ジェンダー平等を実現しよう
(7)エネルギーをみんなにそしてクリーンに
(11)住み続けられるまちづくりを
(16)平和と公正をすべての人に
の8つで最も多く、SDGsが目指す課題解決のゴールの半分近くは我々の「生活現場」にあるといえます。

その中で今回は(11)へのアプローチでeVTOLの可能性を探ります。

▪️総合的な災害リスク管理策定

今年2025年は1995年の阪神・淡路大震災から30年。
中心となった兵庫県の死者は6千人を超え、負傷者約4万人、全壊家屋約10万戸という未曾有の災害となりました。

阪神淡路大震災(生田新道 ハンズあたり)
神戸市役所2号館

30年にわたる復興の時を経て街は大きく生まれ変わり、当時を知らない市民が増えてきた中で迎える30周年の年に「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博が地元で開催されることには大きな意義があります。

災害からの「復興」という大きな社会課題に対してSDGs【11】の「住み続けられるまちづくりを」には密接に関わるターゲット文章が記されています。

特に以下の2項目が重要と思いますので転記しておきます。

11.5:2030 年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。

11.b:2020 年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組 2015-2030 に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。

残念ながら、我が国ではその後も2011年の東日本大震災や1年前の能登半島地震をに加えて大規模な水害が頻発し、人智を越える災害が終わることなく我々の生活を脅かす存在であることが如実な場であります。

▪️仙台防災枠組2015-2030

さて「SDGs 11.b」のターゲット文に記された「仙台防災枠組2015-2030」は意外と知られていないかもしれないので、概要をまとめます。

仙台防災枠組2015-2030
2015年3月に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」にて策定された2030年に向けた国際的な防災枠組みで、4つの優先行動とと7つのターゲットが合意された。

【4つの優先行動】
1)災害リスクの理解
2)災害リスク管理のための災害リスクガバナンスの強化
3)レジリエンスのための災害リスク軽減への投資
4)効果的な対応のための災害準備の強化と回復・復旧・復興に向けた「より良い復興」

【7つのターゲット】
1)2030年までに地球規模での災害死者数を実質的に減らす。2005年から2015年までと比べ、2020年から2030年には10万人当たりの死者の減少を目指す。
2)2030年までに地球規模での災害による被害を受ける人々の数を減らす。2005年から2015年までと比べて、2020年から2030年には10万人当たりの被害者数の減少を目指す。
3)2030年までに地球規模でのGDP(国内総生産)に関連し、災害を直接の原因とする経済的損失を減らす。
4)2030年までに、保健や教育施設など重要なインフラへ損害や基本的サービスの破壊を、レジリエンス(回復力・強靭性)の開発を通じて、実質的に減らす。
5)2020年までに国レベルおよび地方自治体レベルにおいて、災害リスク軽減戦略を策定する国を実質的に増やす。
6)2030年までに本枠組の実施に向けた国レベルの活動を補完するために、発展途上国への十分で持続可能な支援を通じた国際協力を実質的に強化する。
7)2030年までに人々による多様な災害への早期警戒システムと災害リスク情報および評価の入手やアクセスを実質的に増やす。

防災・減災 日本CSOネットワーク

SDGsと同じ国連の2015〜2030年期間の枠組みとして日本の「仙台」の名が冠されていることに意味がありますが、この「仙台防災枠組」は「兵庫防災枠組」の後継にあたる指針です。

▪️空域のレジリエンス

SDGsの中には「強靱さ(レジリエンス)」というワードが各所に記されていますが、今後の防災対策や国土の強靭化に向けてeVTOL(空飛ぶクルマ)が担うべき役割はどうなるでしょう?

災害に対するレジリエンスに関して生成AIに質問しました。

SDGsのゴールである「住み続けられるまちづくりを」のターゲット文に記されている以下の項目についてeVTOLの担うべき役割についてまとめてください。
1)災害による死者や被災者数の大幅な削減
2)直接的経済損失の大幅に減少
3)災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画の導入
4)あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施

SDGsのテクストに沿って細かい条件で指示してみると以下の回答がありました。

eVTOLが担うべき役割:SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の実現に向けて

<はじめに>
eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing:電気垂直離着陸機)は、都市部での移動革命をもたらすだけでなく、災害時の迅速な対応や復興を支援する新たなソリューションとして期待されています。本稿では、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の観点から、eVTOLが担うべき役割を上記4つのターゲットに沿って詳しく解説します。

1. 災害による死者や被災者数の大幅な削減
●迅速な救助活動:
eVTOLは、道路が寸断されたり、建物が倒壊したりした被災地へ、従来の車両では到達できない場所へ迅速にアクセスできます。これにより、負傷者の早期救助が可能となり、死者の数を大幅に削減できることが期待されます。
物資輸送: 医薬品、食料品、救援物資などを被災地に迅速に輸送することができます。ドローンよりも大量の物資を運搬できるため、広範囲な被災地への支援が効率的に行えます。
●情報収集:
高度から被災状況を迅速に把握し、救助活動の計画立案に役立てることができます。また、通信インフラが寸断された場合でも、空中から通信を行うことで、被災地の状況を外部に伝えることができます。

2. 直接的経済損失の大幅な減少
●インフラ点検:
橋梁や送電線などのインフラの損傷状況を迅速に点検し、復旧計画の策定を支援できます。これにより、インフラ復旧の遅延による経済損失を最小限に抑えることができます。
●捜索活動:
行方不明者の捜索を迅速に行うことで、人的被害による経済損失を軽減できます。
●観光復興:
災害後の観光客の誘致を促進することで、地域の経済活動を活性化させることができます。

3. 災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画の導入
●早期警戒システム:
災害発生前に、eVTOLを用いて危険区域を迅速に特定し、住民への避難指示を促すことができます。
●避難計画:
避難経路の確保や避難場所の選定にあたり、eVTOLの活用を考慮した計画を策定することができます。
●防災訓練:
eVTOLを用いた救助活動や物資輸送に関する訓練を実施することで、災害時の対応能力を高めることができます。

4. あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施
●地域防災計画
地域の特性や災害リスクに合わせて、eVTOLを活用した防災計画を策定することができます。
●官民連携:
行政機関、民間企業、住民が連携し、eVTOLを効果的に活用するための体制を構築することができます。
●国際協力:
海外からの支援物資の輸送や、他の国の災害支援に貢献することができます。

<まとめ>
eVTOLは、その機動性と多機能性から、災害時の迅速な対応と復興を支援する新たなツールとして大きな期待を集めています。SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」を実現するためには、eVTOLの技術開発と社会実装を加速させ、災害に強い都市づくりを進めることが重要です。

この分析を読むと、eVTOLは…
1)災害前の計画と準備から早期の警戒システム
2)災害時のインフラ点検、救助・捜索活動
3)災害後の支援物資輸送や観光振興
と多岐にわたる役割を担い、これまでにない効率的なリスク管理に寄与するものと推察できます。

では、eVTOLを活用したこれらの対策で被害者数はどの程度軽減することが可能か予測できますか?

と、まだ実現していないeVTOLに関しては回答が困難であることは承知の上で、こんな質問も投げてみました

eVTOLが災害時の被害者数をどの程度軽減できるかという点については、現段階では定量的な予測は困難です。なぜなら、以下の要因が複雑に絡み合っているためです。
●災害の種類と規模:
地震、台風、洪水など、災害の種類によって被害状況は大きく異なります。また、大規模災害と小規模災害では、eVTOLの有効性も変わってきます。
●インフラ整備の度合い:
発着場、充電インフラ、通信網など、eVTOLの運用に必要なインフラがどの程度整備されているかによって、その効果は大きく左右されます。
●運用体制:
政府、自治体、民間企業が連携した効率的な運用体制が構築されているかどうかも重要な要素です。
●社会の受け入れ度:
住民の理解と協力が得られるかどうかも、eVTOLの有効活用には不可欠です。

<潜在的な効果>
とはいえ、いくつかの研究やシミュレーションから、eVTOLが以下のような効果をもたらす可能性が示唆されています。
●救助時間の短縮:
従来の救助活動に比べて、eVTOLは迅速に被災地にアクセスできるため、負傷者の死亡率を低下させる効果が期待できます。
●捜索範囲の拡大:
広範囲な地域を短時間で捜索できるため、行方不明者の発見率が向上する可能性があります。
●物資輸送の効率化:
孤立地域への物資輸送を迅速に行うことで、被災者の生活を安定させ、二次災害を防止する効果が期待できます。

<具体的な数値>
具体的な数値については、より詳細なシミュレーションや実証実験が必要となります。しかし、過去の災害事例や、ドローンなどの無人機の活用実績を参考にすると、以下のような効果が期待できる可能性があります。
●救助時間の短縮:
従来の救助時間の30%~50%の短縮
●捜索範囲の拡大:
従来の捜索範囲の2倍以上
●物資輸送量:
従来の輸送量の2倍以上

<課題と今後の展望>
●コスト:
eVTOLの導入には高額な費用がかかるため、コスト削減が求められます。
●安全性:
安全性の確保が最優先事項です。
●法規制:
運用に関する法規制の整備が急務です。
●社会受容:
住民の理解と協力が不可欠です。

これらの課題を克服し、eVTOLが社会に広く普及することで、災害時の被害を大幅に軽減できる可能性は十分にあります。

ドローンの事例を引き合いに未来予測を行う点など、ここ数年で生成AIの空飛ぶクルマ産業分析はバックキャスティング思考でポジティブになってきた感がありますね。

●次回はSDGs wedding cakeモデルを使って空飛ぶクルマ産業の未来を経済面から考えます

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