知らない本を紹介しよう!第1回おたま研ビブリオバトル vol4
自己紹介
ハイラブル株式会社でアルバイトをしている大学院修士1年の橋本です!
普段は人工知能を使った対話システムの開発を行っていますが、今回はおたまじゃくし研究所での会話分析を行います。大学時代は部活のブログを月1回くらいで書いていたので、少しは慣れていますが最近は論文ばっかりを読んだり書いたりなので文章が堅くなりすぎないように気を付けます!
ビブリオバトル
前回までの振り返り
Vol1~2まではおたま研でのビブリオバトルの様子を紹介していました。多種多様なバックグラウンドを持つ6名がそれぞれのおススメ本について紹介していましたね。
Vol3では、優勝した井上研究員のプレゼンを分析し3つの特徴を挙げました。
この記事では、聴衆として参加した研究員たちのそれぞれ違いを示したいと思います!
その前に
どのメンバーがどのプレゼンターに票を入れたかをまとめます。
でした。
発話量における特徴
まずはプレゼンを聞いている際の聴衆としての発話量の特徴を比較します。
角研究員(井上研究員に投票)
この記事を読んでいる読者の皆さんは、興味深い発表を聴いているときに自分はどのような聴き方をしますか?「興味深い時は前のめりで相槌や反応が多いかも」と考える方が多いでしょう。角研究員はそのようなタイプであることがグラフから分かります。
角研究員が投票した井上研究員のプレゼンでは、角研究員の反応を示す紫色のグラフがプレゼン中に何度も表示されています。
対して他のプレゼンターのプレゼンにおいて、角研究員の山は1つでした。
投票した井上研究員に対しては発話量が多いが、それ以外の場合は発話量が少なかった。ここから角研究員は興味の具合と反応の多さが比例していることがグラフから考えられます。
長尾研究員(水本所長に投票)
読者の皆さんの中には「興味深い時は黙って、深く考え聞きこんでしまう」という方も居ると思います。(筆者もそのタイプです)
長尾研究員もグラフから興味があると黙ってしまうタイプだと分かります。長尾研究員が投票した水本所長のプレゼンでは、長尾研究員の反応を示す黄色の山が一つもありません。
対して、他のプレゼンターのプレゼン中は黄色の山がいくつもあります。特に井上研究員のプレゼン中はたくさんの発話が発生しています。
それを裏付けるようにプレゼンの途中から発話量が減ったグラフがありました。仲山研究員のプレゼンで約3分が過ぎた辺りで発話が発生しなくなりました。
ここから長尾研究員は約3分の辺りから聞きこむようになったことが分かります。仲山研究員のプレゼンでは、前半で童話桃太郎の読み聞かせがあり、約3分の部分で本の表紙とタイトルを見せるという本のネタバラシがありました。
つまり投票した水本所長に対しては発話量が少ないが、それ以外の場合は発話量が多い。このことから長尾研究員は興味の具合と反応の多さが反比例していることがグラフから分かります。
時間における特徴
さて、前項では発話量の多さと興味の具合に注目しました。ここからは個人発話量が特定の時間において変化するという特性に注目します。
井上研究員(角研究員に投票)
井上研究員(赤色のグラフ)は点線の部分(3分経過)以前に発生していることが多いです。長尾研究員の項で取り上げたように仲山研究員のタイトルのネタバラシ後であっても、井上研究員の発話は発生していません。(右中央のグラフ)
しかし、井上研究員が投票した角研究員のプレゼンにおいては3分が経過した後でも発話が発生しています。
仲山研究員(井上研究員に投票)
対して井上研究員に投票した仲山研究員も興味深いです。
仲山研究員は井上研究員以外のプレゼンターでは、約3分までほとんど発話が発生していません。これは水本所長、角研究員、長尾研究員のグラフ(下3つ)が顕著にそれを示しています。
対して、井上研究員のプレゼンにおいては最初の1分ほどでいくつかの発話が発生しており、3分経過後も発話が発生しています。
以上から井上研究員は3分経過までに発話が集中し、仲山研究員は3分経過ごろに発話が集中するという特性がそれぞれあることが分かりました。
人間の集中力は3分ほどで一旦切れるとも言われており、井上研究員はそれが話を盛り上げることに集中していて、仲山研究員は聞くことに集中している可能性があります。また柳楽研究員曰く、「仲山研究員は話のまとめ役になることが多く、それが表れているのではないか」とのことでした。
まとめ
ここまでに6人の聴衆の中から
興味の具合によって反応が増える人
興味の具合によって反応が減る人
特定の時間までに反応が発生する人
特定の時間付近で反応が発生する人
以上、4つの特性を発見しました。
また、本記事での分析を通じて得られたことは聴衆の興味の度合いを測定する際に聴衆をひとまとめに扱うことの難しさです。聴衆の真の興味の度合いを測るには聴衆の発話量総和で測るのではなく、個人の特徴を踏まえて発話量等を測ることで可能になるのではないかと思います。
最後のまとめ
以上でvol4:聴衆の分析編を終え、第1回おたま研ビブリオバトルについての連載を終了します!
Hylable Adapter for Zoom を用いておたま研のビブリオバトル分析しました。vol1,2ではビブリオバトルの様子をまとめ、vol3では優勝した井上研究員のプレゼンを詳しく見てみました。vol4ではビブリオバトルで発見した参加者の特徴を分析してみました。
筆者は元々ビブリオバトルの経験が無かったですが、今回の記事を通して非常に興味が出てきたので研究室のメンバーとやってみたいです。
ぜひ皆様もお友達とビブリオバトルに挑戦してみてください!
執筆:ハイラブル株式会社 アルバイト 橋本慧海
ビブリオバトルの様子は以下のYoutubeのチャンネルから見ることができます、ぜひご覧ください!
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