【USER'S REPORT】風景写真家 : 萩原れいこ
【プロフィール】
沖縄県出身。学生時代にカメラ片手に海外を放浪。後に日本の風景写真に魅了されていく。車内泊用に改造した軽ワゴンで日本縦断を敢行。隔月刊「風景写真」の若手風景写真家育成プロジェクトにより、長野県志賀高原での写真修行を経て独立。中西敏貴、萩原史郎、萩原俊哉に師事する。「Heart of Nature」をテーマに、志賀高原や嬬恋、沖縄をメインに活動中。撮影のほか、写真雑誌への執筆、セミナー講師、写真教室を行う。植物や岩石などの日々の営みを見つめることにより、芽吹きから朽木まで、巌からさざれ石までといった、風景の命の生涯を描くことを試みている。
【写真展】
・2018年 ソニーストア福岡天神企画「Behind the picture」出展
・2019年 富士フイルム企画「Your Style , Our Color」出展
【著作】
・2020年 「現代風景写真表現」(共著)
【メディア】
・Facebook: https://www.facebook.com/r.hagihara.t
・Instagram: reiko_hagihara
角型フィルターシステムを一式揃えると、空と大地の輝度差を埋めて、見たままの雰囲気を切り取ることができたり、これまでの作品づくりからは一歩抜けた写真表現が可能になるので非常におすすめだ。
まずこちらは、角型フィルターシステムの母艦となる100mm K-SeriesフィルターホルダーKit Mark II(100mm K-Series Filter Holder Kit)だ。ホルダーとドロップインCPLフィルター、フィルター未使用時にドロップイン部分を覆う蓋、アダプターリング4種類(67mm,72mm,77mm,82mm)が付属し、その他のレンズ径に対応させたい場合は、オプション品として各種サイズのアダプターリングが別売されており、出目金レンズの様な超広角レンズ対応のアダプターリングもラインナップしている。
レンズへのホルダー装着については、レンズに取り付けたアダプターリングにホルダー本体をスライドするようにして簡単に取り付けが可能。回転によってホルダー角度変更も可能なので、被写体に合わせたGNDの位置調整も簡単にできる。
次に、これは、ドロップインCPLフィルターを使って撮影した作品の比較になる。
フィルターなし。川面や葉の反射を強く感じる。
全体的に反射を抑え、色味を引き出したことでしっとりとした雰囲気になった。
こちらは、角型ハーフNDフィルターのソフトGND8とハードGND8である。前者はグラデーションの境目が柔らかく、山の稜線などに最適。後者は、境目がはっきりとしている為、水平線のある風景に最適だ。効果が足りない場合や、よりピンポイントにNDを効かせたい場合には、マグネット式着脱機構の強みで、角型フィルターの重ね付けが可能となっている。
これらのH&Y製角型フィルターはどれもフィルター本体をフレームが覆っており、更に優れたコーティング処理も相まって、元来あるガラス面剥き出しの角型フィルターに比べると構造上、非常に指紋がつきにくくなっている。
では、実際に角型ハーフGNDフィルターを使用した作品を紹介しよう。
フィルターなし。
1日の始まりを予感させるこのシーンでは、朝日が眩しく、地上と空どちらかに露出を合わせると一方が大幅に白飛びや黒つぶれを起こしてしまう。そこで、GND8を重ね付けし、空の明るさを抑えたことで以下のように大地の表情も綺麗に捉えることができた。
ソフトGND8使用。
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こちらはREVORING Vari ND3-ND1000 / CPLフィルターだ。刻一刻と光や状況が変化する風景撮影において、圧倒的な機動性やコンパクトさから、私にとって手放せないアイテムとなっている。
可変式ステップアップリング(レンズ口径に合わせてそれぞれのフィルターに交換する必要がなくなる!)、可変式NDフィルター(ND3~ND1000、すなわち1.5段分~10段分の広い範囲で減光することが可能)、可変式CPLフィルターが三位一体となっている優れものである。口径は37mm-49mm、46mm-62mm、58mm-77mm、67mm-82mmと使用しているレンズの大きさに合わせて選べる。
REVORINGは外側のリングを回すと、レンズ装着部分が絞り羽のように開閉して任意の口径に変わる。一旦、リングを回して絞りを最小限にし、装着先のレンズ内径に入れたら、本体を保持したまま抑えていたリングをゆるめると内側から絞りが開き装着が完了する仕組みだ。
これまでのねじ込み式のフィルターはネジがうまく噛み合わずに時間がかかったり、取り外せなくて困ったりすることが多々あった。しかし、REVORINGは1/4程度回転するだけで装着が完了、取り外しもワンタッチである。
CPL効果のみ適用。SONY 16-35mmレンズ使用。
NDフィルターとCPLフィルターが一体化されているのは風景写真撮影するに当たって優位性が高い。例えば、青空を濃く表現したり、葉っぱや水面の反射を抑えたり撮影できるCPLフィルターは、風景写真で活躍する場面も多い。CPLフィルターを多用する人にとって、NDと同時に使える点は大きなメリットだ。
CPL + ND効果適用。SONY 16-35mmレンズ使用。SSを落として滝を流した。
尚、一般的に可変式NDフィルターというと広角域で色ムラが生じる場合があるが、マグネット式で着脱できるREVORING Vari ND / CPL専用の外付けNDフィルター(ND16, ND400)が用意されており、REVORING側の可変NDを抑えめに、マグネット式NDフィルターを併用することでそれを防ぐことができる。
しかし、一般的なCPLフィルターとNDフィルターを重ねて使用すると、ケラレが生じることもあるのだが、REVORING Vari ND CPLは、その心配もない上に装着もワンタッチである。両方を同時に使用できるという環境が容易に得られるのだ。
その他、マグネット着脱式の専用キャップや
マグネット着脱式の専用ブラックミストフィルターがラインナップしている。
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さらにこの製品と角型フィルターを併用するという使い方もおすすめできる。これは、いわゆるハーフGNDフィルターを、REVORING Vari ND CPLの前に手持ちでかざして使用する方法だ。フィルターの半分だけ減光効果がかかっているため、朝夕の地平線など輝度差の大きいシーンで、空の白トビや大地の黒つぶれを防ぐことができる。
REVORING Vari ND CPLのみ
REVORING Vari ND CPL + GNDフィルター
これはREVORING Vari ND3-ND1000 CPLとグラデーションNDフィルターを使って撮影した比較だ。長時間露光をすることで、流れゆく靄のボリューム感と滑らかさを得つつ、空の明るさをグラデーションNDフィルターで抑えて、暗部の橋や林のディテールを美しく描くことができた。
---------------------------------------------------------------------近頃は、フィルターワークを使った自由な風景写真の表現も多く見られるようになった。REVORING Vari ND CPLをベースにこれまで紹介したアクセサリーを追加していくことで、どんどん表現の幅が広がり、オリジナルな作品も生まれていくことだろう。
簡単かつ直感的に使用できるので、手間や面倒に感じる気持ちからも解放される。昔はフィルターを買い足すほどにカメラバッグのスペースを圧迫していたが、これ一つで様々な機能をまかなえ、大幅な省スペース化も実現できるのだ。
また、雨風にさらされる風景撮影の現場では、フィルターを破損させないようとても気を遣っていた。しかし、H&YのGNDフィルターはゴリラガラスという強化ガラスを採用し、薄いガラスにも関わらず衝撃や曲げに非常に強く、傷もつきにくい。その耐久性と安心感が撮影に集中させてくれる。
そして、専用のキャップも発売された。REVORING Vari ND CPLをカメラに装着したまま移動するとき、さっとフロントキャップをつけて保護することができる。GNDフィルターと違いREVORING Vari ND CPLはゴリラガラスではないが(傷つきにくい処理と防汚コーティングが施されている)、キャップがあることで持ち歩き時の安心感が強まるだろう。
REVORING Vari ND CPLは動画撮影に人気のある製品だが、風景写真においても非常に便利で活躍できるアイテムだ。その機動力と高機能性を手にすることで、風景のシャッターチャンスをさらに捉えられるようになるだろう。
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