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夜、アブラムシの甘露に集まる蛾たち

トウネズミモチという外来の常緑樹がある。市街地でも生垣や庭木等に使われているが、鳥が種子を分散するようで、川の土手とかで侵略的に自生しているのもよく見る樹木である。初夏、この木の枝の先端の若葉が丸まるように変形し、白っぽい物質が付着して、何やらベタ付く水が葉から滴り落ちているのがよく見られる。

この美しさに欠ける光景は、アブラムシの一種であるトウネズミモチハマキワタムシのしわざである。本種は初夏にネズミモチ類に寄生するらしく、ベタつく水は、本種が大量に出す甘露らしい。甘露はその名の通り、舐めると甘味がある。

2023年の初夏、夜に川の土手に生えるトウネズミモチをライトで照らして見て回ったら、いろいろな蛾が誘引されて甘露を吸汁しているのが見られた。夜に咲く花や樹液に蛾が集まるのはよく知られているが、アブラムシの甘露に集まるのはあまり知られていないだろう。以下、写真を掲載。今回、以下の14種を確認した。他の季節に活動するアブラムシがいれば、それらも夜に見て回ると、出現する蛾の種の季節による移り変わりが観察できるかもしれない。

ヤガ科モンヤガ亜科
カブラヤガ Agrotis segetum
オオバコヤガ Diarsia canescens
クロクモヤガ Hermonassa cecilia
ニセタマナヤガ Peridroma saucia
ヤガ科ヨトウガ亜科
クロモクメヨトウ Dypterygia caliginosa
クサシロキヨトウ Mythimna loreyi
ヤガ科クルマアツバ亜科
ソトウスグロアツバ Hydrillodes lentalis
ヤガ科シタバガ亜科
ウンモンツマキリアツバ Pangrapta perturbans
ヤガ科スジコヤガ亜科
スジモンコヤガ Microxyla confusa
ツトガ科ノメイガ亜科
ヒメシロノメイガ Palpita inusitata
モンキクロノメイガ Herpetogramma luctuosale
メイガ科マダラメイガ亜科
ハイイロマダラメイガ Sacculocornutia monotonella
アトヒゲコガ科
ヤマノイモコガ Acrolepiopsis suzukiella
コナガ科
コナガ Plutella xylostella

カブラヤガ 4月27日
ヒメシロノメイガ 4月27日
ソトウスグロアツバ 4月28日
オオバコヤガ 4月28日
クロモクメヨトウ 4月28日
クロクモヤガ 5月10日
クサシロキヨトウ 5月10日
スジモンコヤガ 5月10日
ヤマノイモコガ 5月25日
モンキクロノメイガ 5月25日
ウンモンツマキリアツバ 5月25日
ハイイロマダラメイガ 5月25日
ニセタマナヤガ 5月25日
コナガ 5月25日

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