#138 プライバシー保護に活用できる「ゼロ知識証明」とは
デジタル活用、データ収集を阻むプライバシーの問題。
抵抗の大きいヨーロッパはGDPR(EU一般データ保護規制)、日本は個人情報保護法が規制する。
かたやそういう意識の低い(ほぼない)中国は、すごいテクノロジー活用が進んで差が開く一方。
個人情報の漏洩や攻撃も心配である。
プライバシーに配慮しながらデータ活用を行う技術を「プライバシー強化技術」という。
世界経済フォーラムとデロイトのレポートは「プライバシー強化技術」として5つ紹介している。
(1)差分プライバシー
(2)統合分析
(3)準同型暗号
(4)秘密分散
(5)ゼロ知識証明
(3)(4)をまとめて「秘密計算」という。
プライバシー強化のヒントになりそうなのが「ゼロ知識証明」(zero-knowledge proof)である。
情報を相手に明かすことなく、その情報に関係する事項を「証明」できる技術。
たとえば、パスワードが自分本人のものであることを他の人に示したいけど、このパスワード自体は誰にも教えたくない、というような問題から始まった。
ジャン=ジャック・キスケータらの論文「洞窟問題」が有名である。
これには暗号理論を用いる。そして公開鍵暗号、デジタル署名、ユーザ認証などに応用できる。
さらに、プライバシー保護だけでなく、高速検算や計算の信頼性アップにも活用できる。
ブロックチェーンは有用だが、営業秘密などが公開され知られてしまう危険があった。
そこでプラーベート型、コンソーシアム型が考えられている。都市銀行など。
しかし、これでは昔ながらの中央集権になってしまってブロックチェーンの持つ非中央型、分散型という素晴らしい利点は失われてしまう。
ゼロ知識証明なら、個人情報や営業秘密など秘密な部分は明かすことなく、適切な計算であることを証明しながら結果だけを得る事ができる。