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マイクロソフトは新型XBOXを必死になって売る必要はない。
MSのゲーム事業のヘッドであるPhil Spencer氏は「Microsoft isn’t concerned about selling more consoles than Sony or Nintendo.(マイクロソフトはソニーや任天堂よりもコンソールを売ることに関心がない)」と発言しているようです。
記事には、もしもっとコンソールを売りたいならPC版を出す必要もないし・・・等の続きがありますが、まったくもってその通りかなと思います。
人によっては直近のコンソールの普及台数の違いや(PSの方がXBの倍以上)、次世代機の評判を聞いてもPSの方が有利そうなので、MSは何負け惜しみを言っているんだ・・・と思う人もいるかもしれません。
コンソールだけで見ると確かにそうかもしれませんが、3年、5年、10年というスパンで見るとゲーム業界で一番勝者に近いのはマイクロソフトとテンセントだと思います。テンセントを入れると話がややこしくなるので、モバイルを抜いたPC・コンソールゲームの話に絞ります。(そもそも市場規模で見たらモバイルセグメントが一番大きくなると予測される)
次世代機及びポスト次世代機を見るとゲーム業界に必要なのはユーザーベース、コンテンツ、技術力、資本力の大きく4項目です。MSはどれも1位ではないですが各項目で上位に入ります。ソニー、任天堂は前2項目は有利ですが、後の2項目がかなり弱いです。最近ゲーム業界に参入したGoogleは致命的なほどコンテンツが不足しています。テンセントは唯一不足していたコンテンツをパブリッシャー・スタジオに出資するという形で、お金でどんどん獲得していますね。後からコンテンツを集めるプラットフォーマーはなかなかしんどいです。大金を投じてコンテンツを獲得しても、ほとんどのコンテンツは他のプラットフォームと同じものなので。。。
多くの識者が言及していますが、次世代機の後はゲーム機がクラウドに移行するとなるとサーバービジネスをやっているMSは一気に有利になるでしょう。他にもコンソールゲームは基本Windowsで動くようになっているので、ソニー、任天堂独占のコンテンツでない限り、ゲームパブリッシャーはXBでローンチしない理由はないですし、Windowsでのローンチも当然します。次世代XBOXのグラフィックが・・・という意見はありますが、本当にこだわる人はゲーミングPCでやることもできますし、MSのエコシステムに大きな影響を与えるとは思いません。またPSというデバイスにこだわるソニーに比べ、MSのクラウドゲームはPCやタブレット、スマホも対応可能です。MSの方が間口が広い戦略をとって居ます。
昨年、ソニーとMSのAZUREの提携の話がありましたが、ソニーはコンテンツメーカー、プラットフォーマーとしては当面盤石だと思いますが、クラウドに移行した場合データセンターを持っていないことが不利に働く可能性があります。任天堂はクラウド対応はどうするんですかね。一部のAAAタイトルはスイッチ上でクラウドで提供していますが。。。
ということで、私は中長期ではMSのゲームビジネスはかなり有望だと思います。数年前はよく経済誌にゲームビジネスは売却すべきだと書かれていました。また、日本にいる人には日本でのXBOXのプレゼンスが低いこと、ソニー、任天堂のおひざ元ということからMSのゲームビジネスの実力がなかなか見えずらいのかもしれません。