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認知症と薬の関係性

認知症と薬の関係性について、海外の動きや薬剤の効果について書いていきます。認知症に対する薬剤は、進行を遅らせるという目的があります。

海外の動き:フランス

フランスでは認知症の治療薬①ドネペジル(商品名:アリセプト)②ガランタミン(商品名:レミニール)③リバスチグミン(商品名:イクセロン/リバスタッチ)④メマンチン(商品名:メマリー)の保険適応を2018年8月からやめています。

この決断は、2016年10月にフランスの保健機構(HAS)が公表した「勧告」の影響を受けたものです。この勧告では、アルツハイマー型認知症治療薬4剤について「公的医療保険の適用を正当化するための医療上の利益が不十分」と結論づけられています。

これら4剤は、アルツハイマー型認知症の進行を抑制するとして世界中で広く使われている薬剤です。

もちろん、フランスでも使用することはできますが、その場合には全て自己負担になります。

一般的に多く処方されている薬剤は、ドネペジル(商品名:アリセプト)とメマンチン(商品名:メマリー)があります。この2つの治療薬にはどのような効果が期待されるのでしょうか。

治療薬① ドネペジル(商品名:アリセプト)

脳は神経伝達物質で、神経と神経を結ぶことにより、ヒトは考えたり、思い出したり、感じたり、動いたりします。アリセプトでは神経伝達物質の中でもアセチルコリンに作用します。

脳内にはアセチルコリンを過剰に産出しないよう調整するため、アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼという物質があります。

アルツハイマー病になるとアセチルコリンという神経伝達物質が減少するため、アセチルコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンの分解を抑制することで、アセチルコリンの残量を増やす目的があります。

その結果、たとえアルツハイマー病が脳を破壊しても、神経は少々長く機能していられる可能性があるので、進行を遅らせることができるという薬です。

しかし、ある程度までならこの原理は機能しますが、重大な注意点が3つあります。

1つ目が、アセチルコリンの分解を阻害しても、アルツハイマー病の原因や進行そのものには影響はないということ。

2つ目に、アセチルコリンエステラーゼが阻害されると、脳はさらにアセチルコリンエステラーゼを産出しようと耐性(繰り返し使用される薬剤に対する反応が低下する)を起こす。これで明らかにこの薬の効果が制限されます。つまり最初はいいが、徐々に効きにくくなるということです。そして、突然薬を中止すると深刻な問題になる可能性が生じてきます。

3つ目に、他の薬と同様に副作用がある。下痢、嘔吐、頭痛、関節痛、眠気、食欲喪失、徐脈(心拍低下)があります。

治療薬② メマンチン(商品名:メマリー)

認知症の方の脳内では、異常な蛋白質によって神経伝達物質であるグルタミン酸が過剰な状態になってしまいます。メマリーはこれに作用します。

メマリーは過剰なグルタミン酸の放出を抑えて、脳神経細胞を保護する働きがあります。先ほどのアリセプトと逆のパターンです。

メマリーは、アルツハイマー型認知症が中等症まで進行した場合に、アリセプトと一緒にメマリーを併用するという治療が一般的です。

しかし、記憶の形成に非常に重要な神経伝達も阻害する可能性がありますし、前述したアリセプト同様に耐性や副作用があります。

そのため、認知症に対する治療薬を使用する際は、慎重になった方がいいと私は思っています。特に軽度の段階から飲み始めることはあまり良くないのではないかと思います。

そして、私がもし認知症になったら薬剤ではなく、他の治療方法をやります。


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