横断歩道で認知症チェック
認知症になるかどうかをいち早く見極める鍵は、横断歩道にあります。
これは、歩く速度と、歩幅をみることで認知症へのリスクを判断することができるためです。
認知症になる前の段階、軽度認知障害(MCI)と言われる正常と認知症との間のグレーゾーンの方は早期的に介入することで認知機能が向上すると言われています。
しかし、このグレーゾーンを見極めるのは難しい現状があります。
認知症の物忘れは日常生活に支障が出る程度の物忘れ。
MCIの物忘れは、年相応以上の物忘れ。例えば、有名な俳優の名前を思い出せないなど。
このように、物忘れを基準にするとなかなか判断しにくく、年のせいと判断してしまい、どんどん悪化していってしまいます。
そこで、今回着目するのが歩行能力です。
認知症と歩行
認知機能と歩行能力には関係性があり、認知機能が低下している人は正常な人よりも歩幅が狭くなり、ふらつきやすいことがわかっています。
これは、脳内ネットワークが弱まっているためと言われています。
私たちは歩いている最中、視覚や空間に携わるネットワークが働き、刻々と変わる周囲の状況の変化を瞬時に判断しています。
さらにバランスをとる時は体の感覚や運動に関わる脳内ネットワークが働きます。
こうした沢山のネットワークが同時に働くからこそ、私たちは歩くことができています。
ところがMCIの人はこれらの脳内ネットワークが弱まってしまっています。
これは、脳内の血管の微小出血により脳内ネットワークをつなぐ、神経細胞への栄養供給が不足することが原因と考えられています。
そのため、歩くのが遅くなったり、バランスが不安定になったりしてしまいます。
世界17カ国で2万7千人を調査した研究では、歩く速さがある基準より遅い人は認知症になる割合が1,5倍に、記憶力低下の自覚が2倍になることがわかっています。
その歩く速さの目安は、、、秒速80cm以下と言われています。
例えば、横断歩道は秒速100cmで渡れるように作られているものが多いため、腰や膝が悪くないのに、横断報道を渡りきれないと要注意。
脳内ネットワークに異常が生じている可能性が高いことになります。
また、横断歩道の白線よりも歩幅が狭い人も要注意。
そういう人は、歩く際の歩幅を意識的に広くして歩いてみると良いでしょう。
対策
運動によって、記憶を司る海馬の容積は大きくなることがわかっています。
運動の内容としては、少し息がはずむ程度の早歩きで1時間歩くことを週3回程度行うこと。
これにより、脳内でBDNF(神経栄養因子)という物質が増え、新たな神経細胞を産み出すことができる。
その結果、脳内ネットワークの結びつきが良くなり認知機能が向上した結果が出ています。
物忘れが増えてしまっても、諦めずに運動を行っていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。