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『人形の家Part2』

今週は、立て続けに2本演劇を観た。
一本は『人形の家 Part2』。
ゆるゆると感想をまとめた。

以下、公演のざっくりとした概要。

【スタッフ】
作:ルーカス・ナス、翻訳:常田景子、演出:栗山民也

【キャスト】
永作博美、山崎 一、那須 凜、梅沢昌代

<『人形の家 Part2』あらすじ>
舞台は15年前にノラ(永作博美)が家族を残して飛び出した家。15年ぶりに同じ家に帰ってきたノラは、乳母のアンネ・マリー(梅沢昌代)と再会する。夫のトルヴァル(山崎一)は仕事で留守中である。
アンネ・マリーは、死んだと思っていたノラの帰還を喜び、夫トルヴァルとの和解を勧めるが、ノラは断る。
ノラが帰ってきた理由は別にあったのだ。
そこに、夫トルヴァルが仕事から帰宅し、ノラと予期せぬ再会をする─。

(公演情報HPより抜粋)


とても洗練された作品だった。

舞台はノラが15年前に出て行った家の一室。部屋には椅子が壁際にいくつかあるだけ。とても簡素だ。それ故に、登場人物の立ち位置や行動ひとつで、その人物の内面が浮きあがってくる。

それが印象的だったのは、ノラがトルヴァルと話をするシーン。

家に帰ってきたノラは、すぐさま舞台中央の椅子の脇に自身の鞄を置いていた。トルヴァルと話をし、居心地の悪さを感じたノラは、扉をしばし眺めた後に、その鞄が置かれた椅子の脇へ移動し、壁にもたれていた。その姿のなんと侘しいことか。

距離感や行動ひとつでその人の内面が表現されるのが、演劇の面白いところだなぁと再確認した。

栗山民也すごい。

「女性の自立」と切っても切り離せない本作。『人形の家』では誰しもがノラを応援してしまうラストになっているが、本作では残された夫や娘の状況が丁寧に描かれており、彼らの15年間を考えずにはいられない。

見る前は、「古くからの固定概念VS自由を求めるノラ」とか、「妻・母がいなくなって寂しかった家族VSすっかり自立したノラ」みたいな作品を想像していたが、違った。もっとリアルで、もっと両者は切り離されていた。

誰もが自分自身の正義を持っていて、それをぶつけ合う様に胸が痛んだ。

「結婚ってこんなに難しいものなのかな」というトラヴァルの一言がずっと頭の中に残っている。

私事だが、最近自分がフェミニストだと自覚した友人がいる。その友人がみたときどんな感想を持つのか気になった。

たくさんの人が本作を観て、是非たくさんの人と意見交換をしたい、そんな作品だった。






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