マーケティングに関する書籍や勉強会から感じる"違和感"
プロミュージシャンを目指す学生と、起業家を目指す学生の違い
喩え話として音楽のお話を。
「ロックがかっこいい!僕もギターをやって、将来はバンドを組んで有名なフェスに出たい!」
と思う10代の少年Aがいるとしましょう。
さて、この少年Aは、「音楽理論は面白い!」と思って、バンドを組んで音楽したいって思ったのでしょうか?
もしくは、
いろんなバンドの音楽を聴いて、「かっこいい!」と思ったから、音楽をしたいって思ったのでしょうか?
多くの場合、きっと後者がほとんどですよね。どこかのタイミングで音楽理論を学ぶとしても、最初に熱中するきっかけは、理論でなくてある特定のバンドだったりミュージシャンであることが一般的でしょう。
そこからいろんな音楽に出会う。特に将来ミュージシャンとして大成する方なんかは、今昔問わずいろんな音楽を聴き漁って、ビートルズやセックスピストルズなど昔のバンドの素晴らしさを知って、音楽性の幅を獲得しつつ作曲に磨きがかかっていく…。で、だいたいその中で理論を学んでいく。
きっとスポーツでも、監督や戦術家を目指人はそうですよね。
僕は学生時代サッカー部でしたが、ある特定の選手をかっこいいと感じて真似から入って、それから戦術を学ぶ、という順番です。で、だいたい戦術を学ぶとなると、グアルディオラやモウリーニョのような現在の戦術家はもちろんですが、ヨハン・クライフやアリーゴサッキといったかつての戦術家の名前に自然と出会います。
マーケティングの書籍や勉強会から感じる"違和感"
でも、マーケティングの場合、
多くの方が「理論」から入ってしまうパターンか、憧れのマーケッター1人に出会ってからのかなり初期の段階で「理論」に入っていくパターンがほとんどな印象です。
(この理由は自分なりの推測があるのですが、長くなるのでまた今度の機会に。)
まずマーケティングの理論やフレームワークを学び、そしてさまざまな事例を学ぶ。でも多くの場合その事例は、「最新の成功事例」しか学ばないことがほとんどなような印象です。
もう一度言います。
"最新"の成功事例からしか、マーケティング事例を学ばないことがほとんどです。
ここが、僕が感じる"違和感"です。
いや、正確にいうと、経営学を学んでいくうえで昔の人の名前は出てきます。
でも、それは、マーケティングよりマネジメントの側面が強調されることが多いような印象があります。稲盛和夫や松下幸之助は代表的な人物かと。
また、昔の経営学者の名前は、マーケティングの領域でもよくでてきますね。(マイケル・ポーター、イゴール・アンゾフ、ピーター・ドラッカーなど。)
でも、マーケッターとして、マーケティングを学んでいてよく登場する昔の人物ってとても少ないように思います。
そんだけ、マーケティングは時代の変化によって大きく左右されるってことなんですかね。。。
でも、、、
『螺旋的発展の法則』という法則があります。
この法則にしたがって考えると、「その考え方はどうなの?」という結論に至るわけです。
螺旋的発展の法則とは
『螺旋的発展の法則』とは、ドイツの哲学者、ゲオルク・ヘーゲルが提唱した法則です。
簡単に言えば、
「世界は螺旋的に発展している」という法則です。そんままですが。笑
すなわち、螺旋階段を登る人物を横から見ていると、上に登っていき上昇しているように見えますが、上から見ていると、螺旋階段を一周回り元の位置に戻ってくる。つまり過去への回帰と古き価値の復活が起こる。ただし、そのとき、この人物はかならず高い位置に登っている。
個人的な見解ですが、最近のYoutuberが若者に流行っている理由と、1970年代にオールナイトニッポンが流行った理由とか、無名時代の桂三枝(現在の文枝)師匠がラジオで人気になった理由って、実は似ているんです。
従来のテレビやラジオに出演する人とは違って、一般の人の感覚に近づけたものを放送したって点で、よく似ています。
だから、1970年あたりから約45~50年くらい経って、螺旋を一周したのかなぁって解釈しています。
マーケティングの歴史を学ぶ意義
「復活し得る古き価値」とは何か。あるいは「時代が変わっても不変」なものは何か。今は古いとされてあまり見向きもされないけど、数十年後復活しそう価値や考え方は何か。逆に螺旋階段を半周上った際、1まわり上った際に淘汰されれいくものは何か。
これを考えるにあたっては、「歴史」を学ぶしかありません。
最新のマーケティング事例だけを学んだって、それが10年後20年後どうなっているかの見通しを立てるのは難しいです。「歴史」を学ぶしかありません。
だから、ミュージシャン(若手を含む)がビートルズをはじめとする60年代や70年代の音楽を聴いて勉強するように。マーケッターも、昔のマーケティングの様子や考え方を知っておいたほうが良いのです。
そして、前回の記事にも書いたように、
マーケティング界におけるビートルズは、19世紀に世界で初めて登場した百貨店『ボン・マルシェ』といえます。
もちろん、ビートルズなど60年代70年代の音楽をよく知らないプロミュージシャンもいるように、ボン・マルシェなどかつての百貨店を学ぶことは必須ではありません。でも、良いマーケッターになるとても有効な方法の1つであるのは間違いないです。
次回の記事からは、
具体的に、19世紀や20世紀初頭の何が素晴らしくて、どういうところを現在のマーケッターが参考にしていくべきなのか、という話に入っていきますね。お楽しみに!そしてぜひフォローをよろしくお願いいたします!