Shikata ga nai
西海岸からひとり旅。
今回の大陸横断で、私がイメージしたルートはアメリカの母なる道ルート66。
Manzanar はそこから少し外れます。でも、今回どうしても訪ねてみたい場所のひとつでした。
私の中の日本
ボストンでの暮らしもある意味落ち着いてきた頃からはじまった我が家の嵐。大きな決心をした時に、自分がフッと口にした言葉に私は驚きました。
「仕方がない」
そして、自分でも我にかえるほど呆れながら思ったのです。やっぱり私は日本人なのだと。
Shikata ga nai. という言葉を呟きながら、たくさんの日系一世のみなさんが収容所へ向かわれたということを聞き及んだのはいつのことだったのか。
抗うことができない出来事を前に、自分の口から出た言葉が収容所へ向かう方々と同じ言葉であったことが、私にはある意味一つの大きな救いに思えました。
10年ひと昔
いまから10歳幼かった子供達を抱えて、私たち夫婦が一番心を砕かなくてはいけないと思ったことは、子供達が心穏やかに成長してくれることでした。
そのために何をすればよいのか、何を大事にすればよいのか。それを模索し続けた日々だったように思います。
今回ロサンゼルスを出発しての最初の訪問地に、私は迷うことなく Manzanar 日系アメリカ人強制収容所を選びました。
比べ物にならないほどのご苦労をされた方々だとは承知のうえで、同じアメリカの地で一から始めた者のひとりとして、すこしでも歴史を感じてみたかったのです。
家族が離れて暮らす。親の私たちに言わない不安や哀しみを、子供達はそれぞれに抱えたかもしれません。
それでも子供達はこんなに大きく育ってくれました。
母親として、私は子供達への感謝の言葉しかありません。
仕方がない。と唇をかんでも、運命をうけいれてより良い未来を模索する。それが日本人の姿のように私は思っています。
大きな人生の分岐点にたった時に私の口から思わず出た言葉。
それは諦めのニュアンスだけではなく、これからの未来のために自分を鼓舞する言葉。そんな風に私は思っているのです。