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京都で出会ったSTARDUSTという素敵なカフェ

この世には本当に色んな境遇があって、自分もこの間まで先の事が何も考えられないような状態だったし、決して個人個人の違いを簡単に決めつけるようなことは言えないと思う

だけど、私の人生の中で、
「願い続けて、辛いことに負けないで日々努力を続ければ夢は叶えられるんだ」
と思えたことは、今後のすべての時間も照らしてくれる、感謝と希望の光になった


そう思わせてくれたお店が存在していてくれた事にもまた、感謝したい


「行ってみたい場所がある」

なんて、簡単に人に話せるような浅い思いだったら、敗れても傷つかないかもしれない


それは生きるのに必須とは言えるのか分からない想いで、それが叶わなかったところで困る人はきっと一人もいない

だけど私の心の中、失いたくないまだ薄ぼんやりした暗闇のような場所に、確かにその夢の為に空間が充てられていて、力が込められていて、願いが日々結ばれていた


それは、私があの暗闇を抜け出せたのかどうかという指標のように今は見える

ずっと行ってみたかった場所

無くっても、もしかしたら誰の衣食住にも差し障らないのかもしれないけど、私にはどうしても、この世に存在していてほしいと思う場所


小さな電球で彩られる店内、仄かに光を照り返す小さな燭台の上の水晶

積み重ねた時間が、それを吹き抜けた自然が、最も尊い装飾であると静かに語られたような空間

真ん中の棚に静かに積まれた本たちは、開かれなくともこの空間の哲学を雄弁に物語っている

各地で歳を取った机や椅子たちは、重ねてきた時間という共通項をこの場所で緩やかに縫合している

“色調を揃える”と言ってしまえば簡単なことのようだが、それを実現させるのは幾重にも重なった時間というそれでしか折り合いのつかないもの、そして自然の力だ


体が純粋な喜びだけを感じるような食事が提供されているのは、大自然の中で積み重ねられた土を確かな努力でゆったりとした形に具現化した器

店の随所に配置された、選び抜かれた天然石たち

小さな真鍮の皿の上に置かれたおしぼりまでもが、この場所のアイデンティティを静かに証明している


フレーバーティー2種と豆乳のパンナコッタ、ロウケーキ

それは静かに時間をかけて受け止め続ける事によって何かを物語るような精神に感じられた

この場所にしかない空気の中で、この場所でしか食べられない特別な食事を味わった

宇宙は暗闇の色を抜くと乳白のベージュ色だとかいう話を聞いたことがあったが、この日のスープもそんな色の器で出されていた

自然と人肌と空気が渾然一体となったような色彩と形を持った、そこに溶け込んだもの


体にも驚くほど自然と溶け込んでいき、最初から身の中にあったかのような安心感と、手間暇をかけて作られた自然からしか得られない光り輝く栄養を同時に体の芯まで届けてくれた


ココナッツオイルが贅沢に使われたロウケーキにはキャラメルとラム酒までもがふんだんに入れられ、体の火照りを鎮めるような心地良い冷たさと複雑かつ芳醇な香りを醸していた

豆乳のパンナコッタにはジンジャーとお花のシロップがかけられていて、心ゆくまで甘い華やかな香りを楽しめる


二つのフレーバーティーは薔薇という共通の香りを持ち、一方のお茶にはすみれを基調とした花の溶け込むような甘い芳香があり、他方はサフラワーやカルダモンなどのどこかエキゾチックで華やかな香りを放っていた


店内から撮影した中庭席

光差す影が吹き抜けるような高い天井の店内を抜けると、切り取られた時間で出来た不思議な庭園に迷い込んだかのような素敵な中庭


各机や席の端々にちょこんと置かれた陶器やなんとも言えない造形物が、テラス席にも置かれていることに気付く

周りの緑と、古びた木と、溶け込むようでいて一気に世界観に引き込んでくる木のカーテン

この場所の空気が、そのまま眼前に現れたかのようだ


堪えるような日々の中では、小さく耳を澄まさないと聞こえてこないような、星屑のような祈り

心の奥底にあるその光と影が、言葉の壁を破って姿を現したかのような空間だった


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