物忘れは何科を受診する？
「物忘れが増えた気がするけど、病院に行くほどではない…」そう思って放置していませんか？
物忘れは加齢の影響もありますが、認知症や生活習慣病のサインである可能性もあります。もし「病院に行くべきかわからない」「何科を受診すればいいの？」と迷っているなら、本記事が役立ちます。
あなたの不安を解消するために、早期の対応がなぜ大切なのか、一緒に確認していきましょう。
１．物忘れを放置すると後悔する？知っておくべき3つのリスク
この章で扱う主なポイント
リスク1：認知症の進行 - ただの物忘れと放置しないことの重要性
リスク2：生活習慣病の悪化 - 物忘れと生活習慣病の関連性
リスク3：家族への負担増大 - 早期対応が家族の負担を減らす理由
物忘れを軽視すると、思わぬリスクを招く可能性があります。加齢による記憶力の低下だと思っていたら、実は認知症の初期症状だったというケースも少なくありません。
また、物忘れが進むと生活習慣病の管理が難しくなり、健康を損なう原因にもなります。さらに、家族の負担が増え、人間関係にストレスが生じることも考えられます。
本章では、物忘れを放置することで起こりうる3つの重大なリスクについて詳しく解説します。
１） リスク1：認知症の進行 - ただの物忘れと放置しないことの重要性
加齢による物忘れと認知症の違いを理解することが重要です。
年齢とともに記憶力が低下するのは自然なことですが、認知症の場合は 「体験そのものを忘れる」「日常生活に支障をきたす」 などの特徴があります。
この違いを見極めずに「まだ大丈夫」と放置すると、症状が進行し、日常生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
認知症の進行を放置するとどうなる？
認知症は進行性の疾患であり、以下のような段階を経て進行します。
初期段階
直近の出来事を忘れる
会話の内容を思い出せない
物をどこに置いたか忘れる
中期段階
予定や約束を忘れる
道に迷うことが増える
簡単な計算や判断が難しくなる
後期段階
日常生活で介助が必要になる
家族や知人の顔がわからなくなる
言葉や動作の障害（失語・失認・失行）が現れる
早期受診の重要性
認知症は 早期発見・早期治療が鍵 です。
適切な薬の使用で進行を遅らせることができる
認知機能を維持するために生活習慣を見直せる
家族と相談しながら将来の備えができる
「年齢のせい」と決めつけず、気になる症状があれば専門医に相談することが大切です。
2) リスク2：生活習慣病の悪化 - 物忘れと生活習慣病の関連性
物忘れを放置すると、生活習慣病の悪化を招く可能性があります。
認知機能が低下すると、食事・運動・服薬管理が不十分になり、糖尿病や高血圧などのリスクが上昇する からです。これらの病気は認知症のリスクをさらに高め、悪循環に陥る恐れがあります。
物忘れが生活習慣病に与える影響
物忘れが進行すると、以下のような問題が発生しやすくなります。
食事の管理ができなくなる → 偏った食生活で糖尿病や高血圧が悪化
運動を忘れる・億劫になる → 体力低下・血流の悪化・脳への影響
薬の飲み忘れ・過剰服用 → 治療効果が得られず、病気が進行
特に 高血圧・糖尿病・脂質異常症 は、認知症のリスクを高める 「認知症の三大リスク要因」 とされており、放置すると症状の悪化が加速します。
生活習慣病の悪化を防ぐためにできること
物忘れが気になり始めたら、以下の対策を講じることが重要です。
生活習慣を見直す
バランスの良い食事を心がける
軽い運動を習慣化する（ウォーキングなど）
服薬管理を徹底する
お薬カレンダーやアプリを活用する
家族に協力してもらい、服薬を確認する
定期的に健康診断を受ける
生活習慣病の兆候を早期発見する
認知機能のチェックも同時に行う
物忘れが増えたと感じたら、生活習慣病の管理を見直すタイミングです。 早めの対策が健康寿命を延ばす鍵となります。
3) リスク3：家族への負担増大 - 早期対応が家族の負担を減らす理由
物忘れを放置すると、家族の負担が大きくなります。 軽度の物忘れでも進行すれば、金銭管理や家事のミスが増え、最終的には介護が必要になるケースもあります。 こうした状況を防ぐには、早めの対策が重要です。
家族の負担が増える具体的なケース
物忘れが進行すると、以下のような問題が発生し、家族の負担が増加します。
金銭管理のミス → 支払い忘れ・二重払い・詐欺被害のリスク
日常生活の混乱 → 料理や掃除ができなくなり、家族が代わりに対応
徘徊や事故のリスク → 外出時に迷子になり、家族が捜索に追われる
精神的負担の増加 → 介護ストレスによる共倒れのリスク
「まだ大丈夫」と先延ばしにすると、家族への負担が予想以上に大きくなります。
家族の負担を減らすための対策
家族の負担を軽減するには、早めに以下の対策を講じることが有効です。
定期的に本人とコミュニケーションをとる（物忘れの進行をチェック）
お薬の管理をサポートする（服薬カレンダーやスマホアプリの活用）
地域の相談窓口や介護支援サービスを利用する
早期受診を促す（認知症専門医・もの忘れ外来などの受診）
「今すぐ受診が必要か迷う」ときも、家族と話し合い、専門家に相談することが大切です。 早期対応が、本人と家族の安心につながります。
２．これって認知症のサイン？見逃してはいけない3つのチェックポイント
この章で扱う主なポイント
チェックポイント1：体験したこと自体を忘れる - 具体例を交えて解説
チェックポイント2：時間や場所の感覚が曖昧になる - 具体例を交えて解説
チェックポイント3：物の置き場所を忘れる/しまい込む - 具体例を交えて解説
「最近、物忘れが増えたけど、これって認知症なの？」と不安に感じる方は多いでしょう。加齢による物忘れと認知症の違いを正しく理解することが大切です。認知症の初期症状は単なる物忘れとは異なり、日常生活に影響を及ぼす特徴 があります。この章では、見逃してはいけない 3つの認知症のサイン を詳しく解説します。
チェックポイント1：体験したこと自体を忘れる - 具体例を交えて解説
加齢による物忘れと認知症の初期症状の大きな違いは、「体験そのものを忘れる」ことです。 一般的な物忘れでは、思い出せないことがあっても「忘れたこと自体」は認識できます。しかし、認知症が進行すると 「何かをしたことそのものを忘れる」 ため、周囲が気づきやすい特徴があります。
具体的な事例：加齢による物忘れとの違い
このように、加齢による物忘れは「思い出せる」が、認知症の物忘れは「思い出せず、体験自体を忘れてしまう」ことがポイントです。
放置せず早めに対策を
「最近、家族が食事をしたこと自体を忘れることがある」「約束をしたことを何度も確認するようになった」などの兆候が見られたら、もの忘れ外来や専門医に相談することを検討しましょう。 早期発見・早期対応が進行を遅らせる鍵となります。
チェックポイント2：時間や場所の感覚が曖昧になる - 具体例を交えて解説
認知症の初期症状として「時間や場所の感覚が曖昧になる」ことが挙げられます。 これは、単なる物忘れではなく、「今がいつなのか」「どこにいるのか」を正しく認識できなくなる という特徴があります。進行すると、日常生活に支障をきたし、外出時の迷子や事故のリスクが高まるため、注意が必要です。
具体的な事例：加齢による物忘れとの違い
このように、「一時的に思い出せない」のではなく、「時間や場所の認識ができなくなる」ことが認知症のサイン です。
放置するとどうなる？
時間や場所の感覚が曖昧になると、以下のようなリスクが生じます。
外出時に迷子になり、家に帰れなくなる
夜中に起きて「朝だ」と勘違いし、外に出ようとする
病院や役所などの予約時間を間違え、必要な手続きを逃す
家族が気づくべきポイントは、「時間や場所の認識ミスが増えていないか」です。 気になる変化がある場合は、専門医に相談することで早期対応が可能になります。
チェックポイント3：物の置き場所を忘れる/しまい込む - 具体例を交えて解説
物忘れの典型的なサインとして、「物を置いた場所を忘れる」「思わぬ場所にしまい込む」ことが挙げられます。 単なる物忘れとは異なり、認知症の場合は 「自分がどこに置いたか全く記憶がない」「しまい込んだこと自体を忘れる」 といった特徴が見られます。
具体的な事例：加齢による物忘れとの違い
このように、加齢による物忘れは「思い出せる」が、認知症の物忘れは「思い出せず、物の置き場所が不自然になる」ことがポイントです。
放置するとどうなる？
物の置き場所を頻繁に忘れると、日常生活に影響を及ぼすようになります。
貴重品（財布・鍵・通帳など）を紛失し、生活に支障をきたす
家族に対して「盗まれた」と疑う被害妄想が強くなる
必要な薬を誤った場所にしまい込み、服薬が適切にできなくなる
特に、「大切なものがない＝誰かに盗まれた」と思い込むケースが増えると、家族との関係にも悪影響を及ぼします。こうした兆候が見られたら、認知症の専門医に相談することをおすすめします。
３．受診をためらうあなたへ。4つの診療科と選び方のヒント
この章で扱う主なポイント
診療科1：脳神経内科 - 専門性と対応できる症状
診療科2：脳神経外科 - 画像診断と外科的治療の可能性
診療科3：精神科・心療内科 - 精神的なケアの重要性
診療科4：もの忘れ外来 - 専門的な検査と診断
「病院に行ったほうがいいかもしれないけれど、何科を受診すればいいかわからない…」と悩む方は少なくありません。物忘れの原因はさまざまで、診療科の選び方によって受けられる検査や治療が異なります。
ここでは、物忘れを相談できる4つの診療科と、その選び方について解説します。
１) 診療科1：脳神経内科 - 専門性と対応できる症状
脳神経内科は、脳や神経に関わる疾患を専門的に診察する診療科です。
物忘れが気になる場合、脳の病気が原因である可能性 も考えられるため、まずは脳神経内科の受診を検討するのが一般的です。
脳神経内科で対応できる主な症状
最近、物忘れが増えた（認知機能の低下）
会話の途中で言葉が出てこないことが多くなった
歩行が不安定になったり、手足の震えが見られる
意識がぼんやりすることが増えた
これらの症状は、認知症だけでなく、脳血管障害（脳梗塞・脳出血）やパーキンソン病などの神経疾患が関与している可能性 もあります。
脳神経内科で受けられる検査と診断
脳神経内科では、以下のような検査を通じて、物忘れの原因を特定します。
MRI・CT検査 → 脳の萎縮や血管の異常を確認
神経心理検査（長谷川式認知症スケールなど） → 記憶や判断力を測定
血液検査 → 栄養不足やホルモン異常の有無をチェック
脳神経内科は「脳の健康状態」を評価し、適切な治療や予防策を提案する専門科です。 物忘れが気になり始めたら、早めに受診することで進行を遅らせることが可能になります。
2) 診療科2：脳神経外科 - 画像診断と外科的治療の可能性
脳神経外科は、脳卒中や頭部外傷による記憶障害、脳腫瘍などの診断・治療を専門とする診療科です。
物忘れの原因が脳の器質的な異常によるものかどうかを、MRIやCTなどの画像診断を通じて詳しく調べます。
脳神経外科の受診が適しているケース
頭を強く打った後に、記憶障害や混乱が続いている
突然の手足のしびれや言葉のもつれがある（脳卒中の可能性）
頻繁な頭痛やめまいがあり、物忘れの症状が悪化している
脳腫瘍や水頭症などの疾患が疑われる
脳神経外科で行われる主な検査と治療
MRI・CT検査 → 脳の萎縮や血流障害、腫瘍の有無を確認
脳血流シンチグラフィ → 脳血管性認知症のリスクを評価
外科的治療（手術） → 血流改善や脳圧管理が必要な場合に実施
特に、脳の血流障害が関係する「脳血管性認知症」 の疑いがある場合は、脳神経外科で適切な診断と治療を受けることで、進行を遅らせることができます。
脳神経外科を受診するメリット
認知症の原因が脳の器質的な異常によるものかを明確にできる
血流障害による認知機能低下がある場合、適切な治療が受けられる
外科的処置が必要なケース（腫瘍・水頭症など）を早期発見できる
物忘れの症状が急に現れた、または進行が速い場合は、脳神経外科での精密検査を受けることで、適切な対策を講じることが可能です。
3) 診療科3：精神科・心療内科 - 精神的なケアの重要性
物忘れの原因は、認知症だけではありません。 ストレスや不安、うつ病などの精神的な要因によっても記憶力が低下することがあります。
こうした場合、精神科や心療内科での診察が適していることもあります。
精神科・心療内科の受診が適しているケース
以下のような症状がある場合、認知症ではなく「うつ病やストレス性の記憶障害」の可能性が高く、精神科・心療内科の受診を検討すべきです。
気分が落ち込み、やる気が出ない
睡眠不足が続いている（不眠・過眠）
物忘れが急にひどくなったが、認知症の特徴とは異なる
不安感が強く、ちょっとしたことでも気になってしまう
特に 「うつ病による仮性認知症」 と呼ばれる症状は、認知症とよく似ています。うつ状態が改善すれば記憶力も回復することが多いため、適切な診断が重要です。
精神科・心療内科で受けられる治療
精神的な負担が原因で記憶力が低下している場合、以下のような治療が行われます。
カウンセリング → ストレスの原因を探り、対処法を学ぶ
抗うつ薬や抗不安薬の処方 → 気分の落ち込みを改善し、集中力を取り戻す
生活習慣の見直し → 睡眠や食事、運動のアドバイスを受ける
「最近、物忘れがひどくなったけれど、精神的な負担を感じている」 という場合は、まず精神科・心療内科で相談するのも一つの方法です。
4) 診療科4：もの忘れ外来 - 専門的な検査と診断
「もの忘れ外来」は、認知症の診断と治療に特化した専門外来です。 近年、高齢化に伴い、全国の病院やクリニックで設置が進んでいます。
一般の脳神経内科や精神科と異なり、認知機能に関する総合的な評価を行い、個別の治療方針を提案する 点が特徴です。
もの忘れ外来で受けられる検査
もの忘れ外来では、以下のような検査を通じて 「加齢による物忘れ」なのか、「認知症の初期症状」なのかを明確に診断 します。
認知機能テスト（長谷川式認知症スケール、MMSEなど）
記憶力・判断力・言語能力などを測定
MRI・CT検査
脳の萎縮や血管の異常を確認し、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の有無を判断
血液検査・甲状腺ホルモン検査
栄養状態やホルモンバランスの異常が原因で物忘れが起こっていないかをチェック
特に、「物忘れが気になるけれど、認知症なのかどうか判断できない」 という場合、もの忘れ外来での診察が有効です。
もの忘れ外来を受診するメリット
認知症のリスクを正確に診断できる
早期発見・早期治療により進行を遅らせることが可能
患者一人ひとりに合った生活改善やリハビリ方法を提案してもらえる
「最近の物忘れが気になっているが、どの診療科を受診すべきかわからない」 という方は、まず もの忘れ外来に相談するのがおすすめです。
5) 選び方のヒント：あなたの不安に寄り添ってくれる医師を見つける
診療科が分かっても、「どの病院や医師を選べばよいのか？」と迷うことはよくあります。 物忘れの相談はデリケートな問題であり、信頼できる医師を選ぶことが重要 です。
ここでは、受診時のポイントや、あなたの不安に寄り添ってくれる医師を見つけるコツを紹介します。
良い医師の見極めポイント
物忘れの診察では、以下のようなポイントを持つ医師が適しています。
丁寧に話を聞いてくれる（症状や悩みをじっくり聞いてくれる）
わかりやすく説明してくれる（専門用語ばかりではなく、一般の人にも理解しやすい言葉で説明してくれる）
治療方針を押しつけない（患者の意向を尊重し、納得できる方法を提案してくれる）
家族の相談にも応じてくれる（本人だけでなく、家族の不安にも寄り添ってくれる）
診察の際に、「この先生なら安心して相談できる」と思えるかどうか が大切です。
医師選びのコツ
病院の公式サイトで医師のプロフィールや専門分野を確認する
実際に受診した人の口コミや評判をチェックする
初診時に「話しやすいか」「信頼できるか」を感じ取る
必要ならセカンドオピニオンを利用する
「不安をしっかり受け止めてくれる医師」を選ぶことで、診察のストレスが軽減され、適切な治療を受けやすくなります。
４．スムーズな受診のために 3つの準備ステップ
この章で扱う主なポイント
ステップ1：症状をメモする - 医師に正確に伝えるために
ステップ2：家族や親しい人に相談する - 客観的な視点を得る
ステップ3：保険証・お薬手帳を持参する - 必要な情報を整理する
「病院に行くのは少し不安…」「どんなことを話せばいいかわからない」と感じる方も多いでしょう。スムーズな受診のためには、事前の準備が重要です。
医師に正確な情報を伝えられるようにすることで、診断の精度が高まり、適切な治療を受けやすくなります。
ここでは、受診前にやっておくべき3つの準備ステップを解説します。
１） ステップ1：症状をメモする - 医師に正確に伝えるために
受診時に「どんな症状が、いつから出ているのか」を明確に伝えることが重要です。 しかし、いざ診察を受けると緊張してしまい、細かい症状をうまく説明できないことがあります。
事前にメモを作成し、医師に正確な情報を伝えられるように準備しておきましょう。
メモに書くべきポイント
以下のような内容を整理すると、診断の精度が向上します。
症状の具体的な内容 → どのような物忘れがあるか（例：「最近、買い物で同じものを何度も買ってしまう」）
発症時期と頻度 → いつ頃から気になり始めたか、どのくらいの頻度で起こるか
日常生活への影響 → 仕事や家事、人間関係に支障が出ているか
家族や周囲の反応 → 家族や友人に「最近物忘れが増えた」と指摘されたことがあるか
既往歴・服薬状況 → これまでに診断された病気や、現在服用している薬
メモの活用方法
スマホのメモ機能を使う → 診察前に簡単に確認できる
紙に書いて持参する → 医師に直接見せることで、説明がスムーズになる
家族と共有する → 家族が同席する場合、情報を一緒に整理しておく
具体的な症状を明確に伝えることで、適切な診断や治療方針が決まりやすくなります。 受診前にしっかりと準備しておきましょう。
2) ステップ2：家族や親しい人に相談する - 客観的な視点を得る
物忘れの症状は、自分では気づきにくいことが多いため、家族や親しい人に相談することが重要です。
周囲の人は、本人が気づかない変化に気づいている可能性があり、受診の判断材料になります。また、家族と情報を共有することで、診察時のサポートや今後の対策もスムーズになります。
家族や親しい人に相談するメリット
客観的な症状の評価ができる → 自分では気づかない物忘れの頻度や内容を知ることができる
受診への不安を軽減できる → 一人で悩まず、家族と相談しながら行動できる
診察時のサポートを受けやすい → 医師に正確な情報を伝える際に、家族が同席するとスムーズ
相談する際のポイント
最近の物忘れについて具体的なエピソードを聞く（例：「最近、同じ話を何度もしてる？」など）
受診をためらっていることを率直に話す（例：「病院に行くのはちょっと不安だけど、どう思う？」）
サポートをお願いする（例：「受診のとき、一緒に行ってもらえる？」）
家族ができるサポート
物忘れの変化を記録する（いつ・どんな症状があったかメモしておく）
診察に同行し、医師に症状を伝える（本人がうまく説明できない場合に補足する）
受診後の治療や対応を一緒に考える（生活習慣の改善や服薬管理のサポート）
家族や親しい人と相談することで、受診のハードルが下がり、安心して医師に相談しやすくなります。 物忘れが気になり始めたら、まずは身近な人に話してみることが大切です。
3) ステップ3：保険証・お薬手帳を持参する - 必要な情報を整理する
受診時には、保険証やお薬手帳などの必要な書類を忘れずに持参しましょう。
これらの情報は、診察や検査をスムーズに進めるために重要です。特に、お薬手帳は現在の服薬状況を医師に正しく伝えるための大切な資料となります。
持参すべきものリスト
受診時に持っていくべきものは以下の通りです。
健康保険証 → 診察や検査に必須
お薬手帳または服用中の薬のリスト → 服薬の影響を考慮した診断が可能
診察券（過去に同じ病院を受診したことがある場合）
症状のメモ → 物忘れの状況を正確に伝えるため
家族が記録した行動の変化メモ → 第三者の視点で補足できる
お薬手帳の重要性
薬の飲み合わせによっては、物忘れが副作用として現れることもあります。 そのため、お薬手帳を持参すると、以下のようなメリットがあります。
服用中の薬が原因で物忘れが起きていないかを確認できる
認知症治療薬との相性を考慮した処方ができる
薬の重複や飲み忘れ防止のアドバイスが受けられる
受診前に準備しておくこと
保険証や診察券は事前にカバンに入れておく
お薬手帳がない場合は、現在服用している薬のリストをメモする
「最近の症状」と「家族が気づいたこと」を整理し、伝えやすくしておく
受診時に必要な情報をしっかり準備することで、診察の時間を有効に使い、的確な診断を受けることができます。 事前準備をしっかり行い、スムーズな受診を目指しましょう。
５．早期受診は未来への投資 3つのメリット
この章で扱う主なポイント
メリット1：早期診断による適切な治療 - 症状の進行を遅らせる
メリット2：生活習慣の見直し - 認知症リスクの軽減
メリット3：家族を含めた計画 - 将来への備え
「物忘れくらいで病院に行くのは大げさでは？」と思うかもしれません。しかし、認知症を含む記憶障害は、早期発見と適切な対応によって進行を遅らせることが可能です。
また、生活習慣を見直すことで、将来的なリスクを減らせるケースもあります。
ここでは、早期受診がもたらす3つの大きなメリットについて解説します。
1) メリット1：早期診断による適切な治療 - 症状の進行を遅らせる
認知症や物忘れの症状は、早期診断によって進行を遅らせることができます。
認知症は治療が難しい病気ではありますが、初期段階で適切な治療を始めることで、症状の進行を緩やかにし、生活の質（QOL）を維持できる可能性が高まります。
早期診断による具体的なメリット
適切な薬物治療を開始できる
認知症の進行を抑える薬（ドネペジル、リバスチグミンなど）を使用することで、記憶力や判断力の低下を遅らせることが可能。
リハビリやトレーニングを実施できる
脳トレ、回想療法、運動療法などを取り入れることで、認知機能の維持が期待できる。
生活環境を整えられる
物忘れ対策として、家の中の整理やサポート体制を整えることで、生活のしやすさを確保できる。
放置するとどうなる？
治療が遅れると、認知症の進行が早まり、日常生活への影響が大きくなる。
本人が自覚しないうちに、家族の負担が増してしまう。
事故や迷子のリスクが高まり、安全面での課題が増える。
早期診断は、単に「認知症かどうかを知る」だけでなく、適切な治療と生活改善のための第一歩です。
物忘れが気になり始めたら、早めに受診することをおすすめします。
2) メリット2：生活習慣の見直し - 認知症リスクの軽減
物忘れの症状が気になり始めたら、生活習慣を見直す絶好の機会です。
認知症は単なる加齢の影響だけでなく、食生活や運動習慣、睡眠の質などの ライフスタイルによっても進行が左右される ことが分かっています。
早めに適切な対策を講じることで、認知症リスクを減らし、健康寿命を延ばすことが可能です。
生活習慣の見直しで期待できる効果
脳の活性化により認知機能を維持できる
認知症予防に効果的な運動（ウォーキングや筋トレ）を取り入れると、脳への血流が改善される。
生活習慣病の管理によって認知症リスクを低減できる
糖尿病や高血圧の悪化を防ぐことで、脳血管性認知症の発症リスクを抑えられる。
食事の改善によって脳の健康をサポートできる
青魚に含まれるDHA・EPAや、ナッツ類のビタミンEなどが脳機能維持に有効。
具体的な生活習慣の見直しポイント
早めに行動を起こすことが重要
「病院に行くほどではない」と思っていても、生活習慣を見直すだけで認知症の予防につながります。 早期受診とともに、日常の小さな改善を積み重ねることで、健康的な未来を築くことができます。
3) メリット3：家族を含めた計画 - 将来への備え
物忘れが気になり始めたら、家族と一緒に将来のことを話し合う良いタイミングです。 認知症は進行性の病気であり、早めに準備をしておくことで、本人の意向を尊重しながら適切な対応を取ることができます。 事前に話し合いをしておくことで、家族の負担を減らし、安心して生活を続けることが可能になります。
家族と話し合うべきポイント
治療や介護の希望を確認する
「どんな治療を受けたいか」「どこで生活したいか」を話し合い、本人の意向を共有する。
財産管理や医療・介護の費用について考える
物忘れが進むと、金銭管理が難しくなるため、信頼できる家族に相談しておく。
介護が必要になったときの費用を試算し、準備を始める。
介護サービスの利用を検討する
訪問介護やデイサービスなど、公的支援を活用する方法を調べておく。
介護保険制度の申請手続きについて家族で情報を共有する。
早めの計画で得られるメリット
本人の意思を尊重した選択ができる
家族の負担を分散し、精神的な負担を軽減できる
突然の介護や病状悪化に慌てず対応できる
「まだ大丈夫」と思っている間に、将来の備えを整えておくことで、本人も家族も安心して暮らすことができます。 物忘れが気になり始めたら、早めに話し合いの機会を持つことをおすすめします。
６．【まとめ】物忘れが気になるなら、専門家への相談が最も重要な一歩
この章で扱う主なポイント
あなたの不安を解消するために、行動を起こしましょう
相談窓口の紹介
「物忘れが増えてきたけれど、病院に行くほどではないかもしれない…」と迷っている方も多いでしょう。しかし、物忘れを放置すると、認知症の進行や生活習慣病の悪化、家族への負担増加といったリスクが生じる可能性があります。
早めに受診し、適切な治療や生活習慣の見直しを行うことで、将来の安心につながります。
1) あなたの不安を解消するために、行動を起こしましょう
「物忘れが増えたかもしれない」と気になり始めたら、できるだけ早めに行動することが大切です。
受診するかどうかを迷う気持ちはよくわかりますが、放置することでリスクが高まる可能性があります。適切な対応を取ることで、症状の進行を抑えたり、必要な支援を受けやすくなったりするメリットがあります。
今すぐできる3つのステップ
自分の症状を記録する
物忘れの頻度や状況をメモし、変化を把握する。
家族にも確認し、客観的な意見をもらう。
専門家に相談する
脳神経内科、精神科・心療内科、もの忘れ外来など、適切な診療科を受診する。
受診の際は、保険証やお薬手帳、症状のメモを持参する。
生活習慣を見直す
適度な運動・バランスの取れた食事・質の高い睡眠を意識する。
認知症予防のために、脳トレや社交活動を取り入れる。
「まだ大丈夫」と思っているうちに対策を講じることで、将来の安心につながります。 まずは、できることから始めてみましょう。
2) 相談窓口の紹介
物忘れが気になり始めたら、まずは専門家に相談することが大切です。 とはいえ、「いきなり病院に行くのはハードルが高い」と感じる方も多いでしょう。その場合、まずは電話やオンラインで相談できる窓口を活用するのも一つの方法です。
相談できる窓口一覧
相談窓口の活用方法
「物忘れが気になるけれど、何科を受診すればいいのかわからない」 → かかりつけ医や地域包括支援センターに相談
「家族の物忘れが進行しているが、どう対応すればいい？」 → もの忘れ相談ダイヤルや認知症カフェを利用
「受診を迷っているが、まずは話を聞いてほしい」 → 電話相談窓口や精神保健福祉センターを活用
気軽に相談できる窓口を知っておくことで、必要なサポートを受けやすくなります。 まずは、電話やオンライン相談から始めてみるのも良い選択です。
７．最終まとめ】早期受診と対策で、未来の安心をつかもう
物忘れが気になり始めたら、「まだ大丈夫」と先延ばしせず、早めに専門家に相談することが大切です。 受診することで、症状の進行を遅らせる適切な治療を受けられるだけでなく、生活習慣の改善や家族の負担軽減にもつながります。
本記事の重要ポイント
✅ 物忘れを放置すると、認知症の進行・生活習慣病の悪化・家族の負担増加といったリスクがある。
✅ 適切な診療科を選び、早めに受診することで、症状の進行を抑えることができる。
✅ 家族と相談しながら、将来の備えや生活習慣の見直しを進めることが重要。
✅ 相談窓口を活用し、不安を解消しながら適切な対応をとることができる。
「もしかして認知症？」と感じたら、早期受診が未来の安心につながります。 できることから始めて、あなた自身や大切な家族の健康を守りましょう。