【書評】"2030年すべてが「加速」する世界に備えよ"を理系大学院生が読んで感じたこと。
みなさん、こんにちは。ふゆんと申します。
今日は"2030年すべてが「加速」する世界に備えよ"という本を紹介したいと思う。この本は400ページを超えるなかなかに分厚い書籍だが、内容は申し分なく、とても満足できる一冊だったため、みんなにもぜひ読んでほしい。
全部を紹介することはできなため、特に興味があった分野をここに述べようと思う。
●イーロン・マスクの「ハイパーループ」
これは御存知の方も多いと思うが、磁気浮上技術を使い筒状の真空チューブ内で乗客を乗せた車両を最大時速約1200キロで走行させる、高速交通ネットワークだ。上手く移動できればカリフォルニア州を35分で横断できるほどだ。
これは分かりやすく交通の利便性が上がる。正直、イーロン・マスクというと、spaceX、テスラといった宇宙事業、EV事業のイメージが強かったが、ハイパーループといった交通の革命にも手を出しており、人類に多大な貢献している人間と感じる。現在、ニューヨークタイムズで今年の人としても話題となっている。
●平均寿命は「100歳」を超える
2大死因である心臓病と癌の早期発見と治療の技術が進歩したことで、80代まで生きることも当たり前になった。しかし、神経変性疾患の治療法が見つかれば、平均寿命は100歳を超えるという研究成果もある。
その根拠は、コンバージェンス、要は技術の融合によって可能となる。AI、クラウドコンピューティング、量子コンピューティング、センサー、膨大なデータセット、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーが交錯することで新たな医療ツールが生まれている。2013年にグーグルが新たなスタートアップ、カリコの設立を発表した。これがアメリカ中のメディアが、グーグルが死に挑みはじめたと騒ぎ始めたが、実態はそれほど大げさなものではない。しかし、重要なのは、かつてないほどの資金や頭脳、つまりグーグルレベルの資金や頭脳がアンチエイジングに注がれ始めたということだ。
私もアンチエイジングにはとても興味があり、いつかは死なない世界、若返る世界が現実になると思っている。若返るまで考えるとまだまだ先の話になる気はするが、寿命を延ばす研究はとても未来がある。いくら資産をたくさん持っている人でも死後まで資産を持ち込むことはできない。つまり寿命を延ばすためにはいくらでも資産を投げると考えられる。投資が見込める分野は急激に研究が進む。個人的にとても期待する分野だ。
●牧畜業のムダをなくす
2050年に90億人に達する世界人口の胃袋を満たすには、2009年よりも70%多くの食料が必要になると試算されている。現在、地球上の居住可能地域の50%が農地で、そのうち80%が牧畜に使われている。すべて人間が殺して食べるためで、きわめて残酷である。さらに問題なのが、水の消費だ。食肉生産には、世界の水使用量の70%が使われている。
そこでバイオテックとアグリテックが融合することで、牛を育てる代わりに、たった一つの幹細胞を育てることでステーキ肉が手に入る。あと数年もすれば培養肉産業は成熟し、テクノロジーによってコスト削減も進むと考えられる。そして牛を育てる必要がなくなると、土地が余る。そこに森林を再生し、二酸化炭素吸収源を増やして地球温暖化のペースも遅らせることができる。
私は培養肉に対してとても好意的に見ており、この技術も急速に伸びる分野であると考える。何より畜産業が地球温暖化に多大な影響を与えていることはほぼ確実だからだ。牛の数を減らすこともでき、世界的に問題になっている水不足解決の糸口にもなる。そして最近は、ヴィーガンの思考も広まっており、培養肉で環境に良い肉が浸透する世界がくることを心から願う。
以上で紹介は終わるが、とても大容量だった。この本を読み終わるのにもたくさん時間を要したが、時間をかけてじっくり読む価値があった本だった。今年は未来予測ブームがあったともいわれているが、未来予測することでその通りになるとは思わないが、大まかな方向を把握することはとても重要だと感じる。
また良い本があったら紹介したいと思う。これからもよろしくお願いしたい。
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