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不登校児童生徒の保護者の離職で失われる税収について
SOZOW株式会社の調査によると、子どもが不登校になると、約5人に1人の親が離職を余儀なくされているという結果が出ています。
今回は、この事実をもとに、ちょっとした算数遊びをしてみます。*1
離職者数の推定
日本には不登校の生徒が約35万人いるとされています。このうち、5人に1人の保護者が離職していると仮定すると、35万人の20%に当たる人数が離職していることになります。
35万 × 0.2 = 7万人
つまり、全国で約7万人の親が子どもの不登校によって離職していることになります。
離職による所得の損失
次に、この7万人が仮に月額20万円の給与を得ていたと仮定して、年間所得を計算してみます。
20万円 × 12カ月 = 240万円(年間所得)
そして、この所得水準に基づく年間納税額を概算します。
所得税:約4万円
住民税:約8.4万円
社会保険料:約36万円
合計すると、
4万円 + 8.4万円 + 36万円 = 約48.4万円(年間納税額)
つまり、一人当たり年間で約48.4万円の納税が行われていたはずです。
国家全体の損失
次に、この納税額を離職者の推定数7万人に掛け算してみます。
48.4万円 × 7万人 = 約338億円
この結果から、親の離職によって国や地方自治体は年間で約338億円もの納税収入を失っていることがわかります。
支援コストとの比較
仮に、この数字が半分程度に過ぎないとしても、納税損失は約170億円に達します。この損失を防ぐために、不登校対策や保護者支援として100億円を投資した場合、それ以上の経済的効果を期待できるでしょう。
例えば、ホームヘルパーや訪問支援の拡充、地域の学童や放課後等デイサービスなどの既存の民間施設と連携して短時間預かりを実施してもらうなど、やりようはあるはずです。
投資としての支援の面も
このような支援には一定の予算が必要ですが、もし年間338億円の納税損失を削減できるとすれば、投資対効果としては十分に見合うものだと思います。
さらに、不登校支援が子どもの将来に与える影響も考慮すべきです。不登校になっても学校外で、子どもたちが社会的に支えられる仕組みが整備されれば、多くの子どもたちが、より自らの強みを生かした進路を選択可能となります。短期的な経済的視点だけでなく、長期的な社会的価値を見据えた支援が求められます。
結び
親が離職しなくても済むような不登校対策を行うことで、経済的損失をかなり削減できる可能性が、このSOZOWの調査結果から導かれました。一体、どの程度の行政予算を不登校支援に投じていくのかは、様々な観点がありますが、離職者数という観点から考えてみるのも、一定の根拠がある数字のように思えます。
皆さんは、どのようにお感じでしょうか。
*1:不登校者数と家計の数は、兄弟姉妹の重複があるために、イコールにはなりませんし、また、離職する保護者の給与所得は異なりますね。そういう意味で、算数遊びと表現しています。そのあたりの違いなどは、この記事では、一旦考えないようにして試算してますので、ご了承くださいませ。