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モリー先生との火曜日を読んで

「モリー先生との火曜日」という本をご存知でしょうか?

最近、友人に勧められて読んでみたところ、とても深くて考えさせられる内容だったので、ご紹介させていただきます。

ざっくり概要をお話ししますと、筆者と、筆者の大学時代の恩師との交流をノンフィクションで綴った内容です。

筋萎縮性側索硬化症( ALS)に侵され、『死の宣告』を受けた恩師モリー先生が、「如何に死んでいくか」を見守りながら、筆者は、「如何に生きるか」と自問自答していきます。


モリー語録を少々ご紹介

「そう、一つにはね、われわれのこの文化が人びとに満ち足りた気持ちを与えないっていうことがある。われわれはまちがったことを教えているんだよ。文化がろくな役に立たないんなら、そんなものいらないと言えるだけの強さを持たないといけない。自分の文化を創ること。多くの人はそれができない。私よりよっぽど不幸だよ――こんな状態の私より。 もうじき死ぬとはいっても、私のまわりには愛してくれる人、心配してくれる人がたくさんいる。世の中にそう言える人がどれだけいるか?

「自分の文化を創る」って、何だろう。


筆者ミッチは、身の回りのことができなくなっていく老人に、ズバリ問います。

「ご自分が情けなくありませんか」、ときいてみた。

モリー先生の返事です。

「ときどき、朝なんかね。悲しくなるのは朝なんだよ。体のほうぼうをさわってみる、指や手を動かしてみる――まだ動かせるところは全部。だめになったところがあると悲しいな。ゆっくりと知らないうちに死が近づいてくるのが悲しい。だけど、そこで悲しむのはやめるんだ」

筋力が日に日に弱まり、毎朝少しずつ、体が不自由になっていきます。

 そんなに簡単にできるんですか?
「必要なときには、まず思いっきり泣く。それから、人生にまだ残っているいいものに気持ちを集中する。会いに来ることになっている人のこととか、聞く予定の話とか。火曜なら、君のこと。われわれ火曜人だからね。」

失われていく筋力とか、刻一刻と死に向かっている恐怖心に囚われるのではなく、「今残っている何か」を見出して、それに感謝をしている。

無いもの、失われゆくものを嘆くのではなく、今あるものに素直に感謝をすることにより、モリー先生は「残された人生を価値あるもの」に彩っていました。

それに比べ、銭金や名誉に追われ、時間や仕事に追われている自分は、果たして「価値ある人生を送っているだろうか?」と、筆者は自問自答するようになります。


一言だけ感想を

人は誰しも、いつか必ず死にます。

遅いか、早いかなんて、基本的には誰にも分かりません。

ですが、いつか訪れる死を受け入れながら、『悔いのない人生を生きよう』との発想を生み出すことは、きっと価値的だし、「今」を懸命に生きる活力になると感じました。

また、限られた人生、限られた時間の中で、『本当に大切なものは何か?』と自身に問いかけ、その大切なもののために生きることが、充実の人生を創造していくのだと思いました。


未知のウイルスに生活を脅かされている今、ふと立ち止まり、「人生ってなんだろう?」との本質的な問いを投げかけられました。


「いつ死んでも悔いはない!」と言える人生を、「今、この瞬間から!」彩っていきたいと思いました☆


内容(「BOOK」データベースより)

スポーツコラムニストとして活躍するミッチ・アルボムは、偶然テレビで大学時代の恩師の姿を見かける。モリー先生は、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていた。16年ぶりの再会。モリーは幸せそうだった。動かなくなった体で人とふれあうことを楽しんでいる。「憐れむより、君が抱えている問題を話してくれないか」モリーは、ミッチに毎週火曜日をくれた。死の床で行われる授業に教科書はない。テーマは「人生の意味」について。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

アルボム,ミッチ
フィラデルフィア出身。1970年代後半、ブランダイス大学の学生時代に、社会学教授のモリー・シュワルツと出会う。卒業後、プロミュージシャンを目指すが、挫折。コロンビア大学でジャーナリズムの修士号を取得し、デトロイト・フリープレス紙のスポーツコラムニストとして活躍。鋭い洞察と軽妙なタッチのコラムは高い評価を受け、AP通信によって全米No.1スポーツコラムニストに過去13回選ばれている。2003年9月に発表した初のフィクション『The Five Poeple You Meet in Heaven』(邦訳『天国の五人』、NHK出版)は全米ベストセラー1位を獲得。現在、妻ジャニーンとミシガン州フランクリンに在住

別宮/貞徳
翻訳家。元上智大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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