「大人向けの作品」という作品をどうやって作る?
一般に流通している作品でも一般に流通していない作品でも、大人向けの作品というのは大抵「卒業試験」や「卒業製作」、あるいは「卒業制作」や「卒業論文」など「卒業」について描かれた作品が多いです。
ただ、それはこれから卒業する人のための作品という意味合いが強く、既に卒業した人のための作品ではないことが多いです。卒業したならもう二度と戻ってこない、という意味か卒業してから分野の違う場所にまた入るのか、というのはわかりません。卒業しているなら既に所定の要件を満たしてあるから卒業しているということですので、戻ってくるということは教えるために戻ってきたと思われているのでしょうか。
既卒向けを大人向けと定義をするなら、既卒ということは学校という自分の向かう方向を自分以外に指定された世界から出てきましたので、そうした自分の向かう方向を自分で決めていく話なら「こち亀」は該当するかもしれません。ですが、今こち亀を描いたとしても描いている人の体力の問題になると思います。それにこち亀は作者の興味関心に基づいて描かれてきた意味合いが強い漫画でしたので、スポンサーやステークホルダーの要求が昔より高くなっている今の時代においてスポンサーやステークホルダーの要求にそぐわない題材を描いたらそこで打ち切りにされるでしょう。
恐らく、「インターミッション(Inter-Mission,ミッション(仕事)とミッションの間)」や「インターセクション」というインターという「間」を描いてはいけないのでしょう。休みを作ったら遅れが出る、休まないでノンストップで行けばすぐ終わる、時間が余ったらさらに仕事をする、というのが理由なのかもしれません。そういう意味では町田尚子先生の「ねこはるすばん」は良い作品だと思いました。
卒業という言葉が「フレームアウトする」ことや「枠線から外に出る」という言葉を指すなら、「枠の外側」を描くのが大人向けなのでしょうか。それも「自分から限りを作っていくようになったら限りがない」「視野が狭くなる」と評価されるのでしょうか。
漫画に限らず、かつてのメディア作品というものは読者の知らない世界や文化、物品、風俗などを紹介するという役割があったとは思います。それがなくなってきたのが今の時代なのでしょうか。それを「善良な風紀を乱す」という言説でもって。
それが安直な手法なら、アルコールやニコチン、賭博やナイトクラブなど年齢の下限が指定されているもので構成されているのが・・・。
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