【長野県】DXに必要なのは「コツコツ」? 企業版ふるさと納税 活用事業紹介#1 デジタル人材育成
具体的な使い道を指定して寄附することができる「企業版ふるさと納税」。
今回からは長野県「企業版ふるさと納税」の寄附対象事業についてご紹介をしていきます。
最初にご紹介するのは、「デジタル人材育成」の取り組みについてです。
長野県では、県民の日常生活と行政のDXを推進する「スマートハイランド推進プログラム」と、県内産業のDXを推進する「信州ITバレー構想」の2軸で、DXの推進に取り組んでいます。
DX推進課の中村さんと清水さんに、長野県のデジタル人材育成の現在地について聞きました!
(聞き手:ライター 筒木愛美)
DX推進に必要なのは技術だけじゃなくマインド。“コツコツ”やることの大切さ、伝えていきたい。
―DX推進課は、昨年(2021年)に創設されたそうですね。異動された当初はご苦労も多かったのではないですか?
清水: DXのD=デジタル面の先端的な技術や小難しいイメージが先行して、そう思われるのかもしれないですが、DXの本質は業務や企業文化の変革(=トランスフォーメーション)。私たちの課にかぎらず、DXを進めるためにはマインド(行動特性)の部分がすごく大切なんです。
中村:たとえば最近、県と希望する市町村とで、あるシステムの共同調達を行いました。各自でやるよりもみんなでやったほうがノウハウを共有したり、コストダウンができたりして、効率的に導入を進められますから。
そのときも専門知識が必要なのって本当に数%程度で、あとは市町村の方たちとの調整だったり、一緒にやっていくための枠組みを作ったりとか、地道でコツコツとした対応でした。
清水:もちろんデジタルに関する知識やトレンドについても日々学ぶようにしていますが、「変えるべき現状を変えたい」とか「短期的な結果だけで判断しない」といった、組織のなかでの胆力や推進力が実は重要で。
他にも新しいサービスを企画する能力や、メンバーをマネジメントする能力など…、役割に応じた専門的な知識とマインドに加え、コツコツ努力することが、DX推進には欠かせないですし、われわれもそうであろうと努めているところです。
―なるほど! “コツコツ”がポイントなんですね。ところでDX推進課では、2022年2月にデジタル人材育成・誘致イベントとして「シシコツコツ~ないものは、山でつくれる~」を開催されましたが、もしかすると“コツコツ”もここからきていますか…?
清水:そうなんです。「いま本当に必要なデジタル人材育成とは何か…」「コツコツとずっとやり続けることが尊いっていうことが伝わるには…」と、イベントの企画をサポートしてくださる方々と考えていくなかで、「シシコツコツ」というワードが出てきました。
※孜孜忽忽【シシコツコツ】・・・他のことを考えず、目的を果たすためにだけに注力すること。
公式サイト:https://shishi-kotsukotsu.com/ )
イベントレポート:https://suu-haa.jp/article/tag/イベントレポート/
清水:「シシコツコツ」は4日間にわたるイベントですが、「デジタルだけ」「マインドだけ」ではなく、バランスを取るということにこだわりました。一見アナログな暮らしの知恵や技術も、デジタル活用の視点も、両方必要。そうでないと、一番伝えたいコツコツ頑張ることの大切さが届かないんじゃないかと思ったんです。
―私は前々年度(2020年)のデジタル人材育成イベント「Nagano Fledge」も、前年度(2022年)の「シシコツコツ」もどちらもリアルタイムで視聴しましたが、「シシコツコツ」メインセッションはいま気になるテーマかつ多様な分野で活躍する先輩たちのありのままの言葉が聞けました。
清水:「シシコツコツ」は、デジタル人材育成に関するイベントでありながらも、デジタル面を大々的に打ち出さなかった点には多くの反響がありました。
特にメインセッションに登壇されたのは、デジタルを生業にしているのではなく、県内で日々コツコツと目の前の景色を切り拓いてきた実践者のみなさん。(デジタルは、各々の実践の中で道具として当たり前のように使っている。)共通しているのは、自分たちの暮らしをおもしろがっているという姿勢です。
中村:「シシコツコツ」を通して、長野県というフィールドのおもしろさに興味をもってもらえたり、求めるライフスタイルの実践について想いを馳せたりする機会になったらと。結果的に、長野県とご自身のスキルとの化学反応を楽しむ実践者のひとりとなってもらえたらありがたいな、と考えました。
シシコツコツは2022年度もコンセプトを継承しつつ、より発展させていくべく計画しているところです。
“好きが高じる”ことの強さ。アプリコンテストは未来に羽ばたく若者の切磋琢磨の場。
―デジタル人材育成という点では、他にどのような取り組みをしているんでしょうか?
中村:たとえばクリエイティブな若者を応援するべく、自作のアプリケーション作品を募り、優れた作品を表彰する「信州未来アプリコンテスト0(ZERO)」は、今年(2022年)で8年目を迎える取り組みです。
やっぱり若者ほど好きが高じるんです。力試しの場があることで、そこに向かってコツコツと頑張ろうという気持ちがうまれてくれるようで、回を重ねるごとに手応えを感じます。
清水:本アプリコンテストは、U12(12歳以下)、U18(13~18歳)、U29(19~29歳)の3部門を設けており、県内外問わず応募可能です。あえて応募者を県民に絞っていないのは、たくさんの方に参加いただくことで、切磋琢磨しながら「すげえやつがいるな」と刺激になってもらえたらという考えからです。
実際に「昨年悔しかったから、もっと頑張って今年も出ることにした」と応募してくれた方もいます。
中村:以前アプリコンテストで入賞した小学生から「学校だとアプリケーションの話はできないけど、コンテストのDemoDayではアプリケーションの話がたくさんできて楽しい!」という声もあって、うれしかったですね。
―子どもにとって刺激となる大切な機会になっているんですね!今回で8回目となると、継続的に参加する方もいらっしゃるんでしょうか…?
清水:はい、いらっしゃいますね。2018年から3年間、本アプリコンテストに出続けてくれた、ある長野県内在住の参加者は、やっぱり好きが高じて、そのうちGoogle主催の小学生向けプログラミングコンテストのファイナリストにも選ばれるほどに。2021年には、“未踏ジュニア”という独創的なアイデア、卓越した技術を持つ17歳以下を支援するプログラムにも採択されていました。
中村:好きなことに熱中するパワーって、やっぱり最強なんですよね。誰に何を言われても、日々努力してコツコツ積み上げていけば見えてくるものがあるはず。ちょっと暑苦しいかもしれないですけど、参加者のみなさんの未来に、そんな期待を抱いています。
デジタル人材育成を応援する「企業版ふるさと納税」という関わり方
―さまざまな取り組みをされているなかかと思いますが、現在の課題に感じられている点はありますか?
中村:そうですね。アンテナの高い方々には興味を持ってもらえていると自負しているんですけども、逆にいうとターゲットが限られてしまっているところが課題でしょうか…。もうちょっと裾野を広げたいんです。
たとえば、すでに取り組みに関わってくれている方も含めて、その輪を広げていきたいですし、芽を育てていくような並走型のプログラムもできたらいいなと思っています。
清水:昨年度(2021年)はお披露目的な要素もあり、単発のイベントが多かったんですが、みんなで何かをつくりあげていくような連続イベントもやっていきたいです。
あとは、「シシコツコツ」をおもしろいなって思ってくれた人と、もっと深く一緒に何か取り組んでみたいですね。
―最後に「企業版ふるさと納税」についてもお聞きしたいと思います。「企業版ふるさと納税」への想いを教えてください。
清水:Web・IT系の企業さまを中心に、長野県のデジタル人材育成に強い関心をいただいているのは、率直にうれしいです。
「デジタル人材育成に」と使い道を指定していただいたご寄附は、よりいろいろな方々と一緒に新たな取り組みを進めるために活用させていただいています。
中村:DX推進課では、人材派遣型の「企業版ふるさと納税」を使った例や「企業版ふるさと納税」を機にコラボレーションした例はまだないのですが、企業さまからのご提案があればぜひ検討していきたいです!
また、長期的に見ればデジタル人材育成は県内の産業はもちろん、さまざまな産業の振興につながります。県全域のDXを行うことで県民や地域の企業に加えて、県外の企業にとっても魅力的な地域を目指していきたいですし、「企業版ふるさと納税」を通じ、企業のみなさまと持続的に発展していく未来をつくれたら、と思います。
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私たちと「企業版ふるさと納税」を契機としてパートナーシップを構築し、一緒に地方創生に取り組んでいきませんか?
もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ長野県企画振興部総合政策課までお気軽にご相談ください。
長野県「企業版ふるさと納税」
WEBページhttps://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/kensei/shisaku/kigyobanfurusatonouzei/soudanmadoguchi.html [
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