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第2回|受験作文、実際の出題例|中学受験作文の基礎知識


はじめに

こんにちは、ハリー・サポーターです。この『中学受験作文の基礎知識』は、全4回で、保護者・受験生が知っておくべき受験作文について、ご案内するものです。

中学受験作文の基礎知識|全4回|受験作文の出題趣旨|受験作文、実際の出題例|作文対策、塾で十分?|全国公立中高委一貫校過去問集の使い方

また、『中学受験作文の対策方法』というコンテンツのご用意もあります。ぜひ合わせてごらんくださいませ。

中学受験作文の対策方法|全5回|作文技術の磨き方(課題文理解・要約・答案構成)|答案の組み立て方(理由付け・体験・まとめ)|ChatGPTを活用しよう

今回は、受験作文、実際の出題例について、ご案内致します。それでは、内容に入っていきましょう。

各校の作文課題の概要

  • 東京都立共同作成問題は、課題文を読んで、『学校生活で仲間と過ごしていく上で、言葉をどのように使っていきたい』かについて、400~440字で説明させる問題でした。

  • 東京都立桜修館中等教育学校は、課題文を読んで、『言葉を学ぶことの意味』と『今後の学校生活で言葉・他者とどう向き合うか』について、400~500字で説明させる問題でした。

  • 東京都立立川国際中等教育学校は、課題文を読んで、『筆者が人間をどのように捉えているか』と『その考えを学校生活にどう生かすか』を400~460字で説明させる問題でした。

  • 東京都立三鷹中等教育学校は、課題文を読んで、『人が自信をもって生きていくためには、周囲の人とどのような関わりをもつことが必要』かについて、360~400字で説明させる問題でした。

  • 東京都立南多摩中等教育学校は、課題文を読んで、『何を大事にし、どのように行動していこう』かについて、300~400字で説明させる問題でした。

なお、立川国際中は課題文が1個でした。その他の学校は課題文が2個用意されています。

保護者が理解すべき作文対策のポイント

これらの問題を見てわかるように、ここで受験生に求められる力は、国語のテストで選択肢を選ぶ・該当部分を探して答案を作成するといったような、単純な学力ではありません。かなりの文章量を早く読み、それを正確に理解し、自分の意見を論理的に組み立てなければなりません。

そのため、『作文対策』をするなら、『課題文を早く正確に理解する訓練』と、『論理的に書く訓練』の両方が必要となります。答案作成・添削をどんなに繰り返しても、これらの訓練を適切に行わなければ、実力はアップしていきません。

それではまた。

資料

東京都共同作成問題

東京都共同作成問題の出題テーマは『言葉』。文章1では、岡本かの子・与謝野晶子の短歌を紹介、短い言葉で情景や感情を共有できることを説明しています。文章2では、松尾芭蕉の言葉を紹介、俳句の『おもしろさ』と『真髄』を説明しています。

東京都立桜修館中等教育学校

桜修館中の出題テーマも『言葉』。文章Aは、長田弘(おさだひろし)の『読書からはじまる』を引用。『成長するとは、言葉を覚えるということ』であると説明しています。文章Bは、ドミニク・チェンの『未来をつくる言葉』を引用。人の話す言葉を理解しようとする過程を『翻訳』と呼び、他者とのかかわり方について説明しています。ここでは、ウェブ上における価値観の異なる人とのかかわり方が問題意識となっています。

東京都立立川国際中等教育学校

立川国際中の出題テーマは『予測・予見』。戸谷洋志(とやひろし)『SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ』を引用、アンリ・ベルクソンの思想を紹介。人間の好みに応じて広告を表示するアルゴリズムと、人間の変化・成長について説明しています。

東京都立三鷹中等教育学校

出題テーマは『画一的と個性』。三浦しをんの『墨のゆらめき』を引用し、書道教室において、画一的・模範的な字を書くのではなく、個性的な字を書くための取り組みを紹介しました。さらに、標野凪(しめのなぎ)の『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』を引用し、『自信が持てる』というのがどういうことかについて、エピソードを紹介しました。

東京都立南多摩中等教育学校

出題テーマは『相対化』。文章1は、佐々木貴教(ささきたかのり)『地球以外に生命を宿す天体はあるのだろうか?』を引用、地動説と天動説の対立からスタートして、人類の相対化の歴史を紹介しています。文章2は、信原幸弘(のぶはらゆきひろ)の『「覚える」と「わかる」知の仕組みとその可能性』を引用、三人称・客観視について説明しています。

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