瀬戸内海のレモン畑から伝えたい「美味しいレモン」
この記事は2020年3月24日、ヒューロムWEBマガジン naturise「瀬戸内海のレモン畑から伝えたい「美味しいレモン」」に書いた記事を転載しています。
レモンの美味しさの秘密は3つある?
皆さんは食卓において「レモン」をどのように使われてますか?
唐揚げや魚のフライなどの揚げ物にキュッと絞ってみたり、レモネードや蜂蜜につけて飲んでみたり、お酒で割ってみたり、またはお菓子作りに使ってチーズケーキやクッキーを作ってみたりとあらゆるシーンで使われています。
季節や料理のジャンルを超えて、どんな食卓やシーンにおいても 食材の良さをうまく、よりよく引き出してくれる名脇役が「レモン」です。
ではそんな万能選手の「レモンの美味しさ」ってなんだろう?
その秘密は「果肉のうまみ、外皮の香り、内皮の苦味」
レモンが持つこの3つのバランスが他の食材にはないレモンの名脇役たる素晴らしい味わい生み出してくれています。
果肉をかじると強烈に感じる酸味が特徴であるレモンであまり語られてこなかったが「糖度」。
国産でも冬を樹上で越して、太陽の光と潮風、土の栄養をゆっくりと時間をかけて蓄えたレモンは糖度10度~13度近くまで上がることもありイチゴ並みに糖度になることも。
もちろんレモン特有のクエン酸があるので酸味は感じるのですが、後味がすっきりした「完熟レモン」は皆さんがイメージしているレモンを越えた感動を与えてくれます。
そしてレモンのフレッシュで心地よい風味の一番の要となるのが「外皮」 ここには油胞(ゆほう)と呼ばれるレモンの精油が溜まる場所が集中しています。
アロマオイルと呼ばれるように「香り」と「精油」は同じものであり、その香りの要になる成分がレモンでは外皮にあるのです。
日本では長年外国産のワックス・防腐剤が使用されたレモンが多く輸入されていたため、外皮を使われることが不安視され敬遠されていましたが、近年ではその香りを生かした研究も進み、食卓だけでなく掃除や洗濯、癒しなど様々な日常のシーンで活躍しています。
また内側の白い皮の部分にある苦味もレモンにとっては重要な美味しさの秘密。この苦味も樹上にずっといるうちに少しずつ和らいでくることで時期や使い方によって幅広く楽しめることができます。
このレモンが持っているうまみ、香り、苦味の3つの異なる要素がレモンの美味しいハーモニーを生み出しているのです。
美味しいレモンを食べる最適な時期って?
日本ではCMやフレッシュなイメージから「夏場が旬」と思われているレモン。
実は日本国内では秋の終わり頃の10月頃から春の4月頃まで約半年に渡って瀬戸内海を中心に栽培・収穫されている寒い季節の果物です。
収穫期間が長いレモンだからこそ、樹上でゆっくりと太陽の光や潮風を浴びることで旨みを蓄えることで味わいも少しずつ変化していきます。
国産のレモンは収穫時期によって大まかに3つの味わいを楽しめることができます。
①はしり:10~12月頃・グリーンレモン(左から1つ目と2つ目)
②さかり:1~2月頃・イエローレモン(左から3つ目)
③なごり3~4月頃・完熟レモン(左から4つ目)
収穫シーズンがスタートするはしりのグリーンレモン。
ここ最近のレモンブームもあり、少しずつ認知度や人気も高まっています。
味わいとしては若々しいフレッシュな香りとビターな味わいを感じるのでフレッシュなサラダなどにおすすめです。意外かもしれませんが、味噌炒めとの相性も抜群です。
みなさんのイメージしているのが、さかりのイエローレモン。
この時期はレモンの味わいのバランスが整っている季節なのでどんな料理やドリンクにも相性がよく、万能調味料として食卓の美味しさをより引き立ててくれます。
そして国産レモンの中でも希少なのが越冬したなごりの完熟レモン。
この時期まで樹上でじっと我慢してきたレモンの美味しさはなかなか体験できない味わいです。
果肉の糖度もあがり、苦味も和らぐことがレモンの素材としてのポテンシャルを一番感じる季節にもなります。
料理はもちろんですが、シフォンケーキやウイークエンドシトロンなど乳製品との相性もいいので、老若男女が楽しめる味わいに引き立ててくれます。
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ワンポイントチェック!「国産レモンと外国産ってどう違うの?」
国産と外国産の一番の違いは「安全性」と「鮮度」です。
外国産では収穫して輸送して、日本のお店に並んで、みなさんが手に取るまでに収穫して1ヶ月以上かかる場合も多く、なるべく長持ちするように若いうちに収穫して、輸送する際のストレスに耐えるためにカビや腐りを防止するための薬剤を振りまくことが多く、安全性に不安な面を残すことがあります。
ここ最近では国産のレモンの栽培に適した気候や地形を持つ瀬戸内海を中心にあちこち活発になり、収穫してすぐの鮮度のいいレモンが手軽に手に入りやすくなりました。
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今までは果肉を絞るだけの役割で終わることが多かったレモン。
より安全で鮮度のいいレモンが手軽に楽しみやすくなってきたことで、酸味や風味だけでなく、風味の良い外皮などいかにレモンの持っているポテンシャルを「まるごと」生かして美味しい食卓に繋げるための試行錯誤があちこちで始まり、新しいレモンの可能性が日々広がっています。
ぜひみなさんも「美味しいレモン」で「美味しい食卓」を楽しんでくださいね。
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<このコラムを書いた人>
岡 信太郎(オカ シンタロウ)
2015年より瀬戸内・しまなみ海道の橋も信号機もない離島・岩城島(いわぎじま)に移住。島の農家さんチームと協力しながら、全国各地を飛び回り、対面で作る人の想いや旬の味わいを届け続けています。
「つくる人」と「食べる人」がともに思い合えるような関係を作っていくことに日々挑戦しています。
【HP】https://warashibe-town.jp/