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餃子とババア

去年の11月に旅行に行ってきた。かねてから何もない土地に行くのが好きだったが、さすがに人を伴うので少しは都会な街にした。

ということで来訪したのが宇都宮。宇都宮の人にこんなの聞かせたらブチ切れられるのかもしれないが、ちょうどいい何もなさと都会が混じっていてちょうど良かった。(すごくヒドいこと言ってます…)

そんな中でもすごく印象に残ってるのがやっぱり餃子だ。

日曜というタイミングもあってか人気店・有名店は激混み。当初人に教えてもらって行こうとした店は無事2時間待ちだった。悲しみと共に彷徨うことを選んだ。


そんな中で偶然出会ったのが『餃子の店 香蘭』さんだ。Googleレビューを見る限り高評価なので期待できたが、やはりそれなりの混みっぷり。大体40-50分待ってようやく店内に入れたのだった。

香蘭さんは地元では有名で、後から知ったがU字工事の益子さんが足繁く通う店らしい。とはいえ東京人には聞き馴染みはなく、庶民的な店構えもあってものすごく期待値があったわけではなかった。 


それは前に並んでいたババアも同様だった。



自分も老けてきて思うが、やはりババアも足腰がキツいのだろう。30分くらい並んだあたりで「なんでこんな店に並んで…さっきのところで良かったじゃない。」と駄々をこねだした。

話は変わるが、昔父の車に乗って出掛けていた時、「まだー?まだー?!」としきりに叫んでいたらブチ切れられたことがあった。それだけ急かされたり駄々をこねられるのはストレスなのである。

そんなこんなでそのババアの一言で待機列はヒエヒエだった。偶然とはいえ香蘭さんを見つけて並ぼうと誘ったのは私だ。同伴者にも申し訳ない気持ちが宿った。

それだけ駄々をこねるというのはリスクがあるのだ。それを理解しているから我々は大人になるにつれ、ちゃんと色んなものを抑えるのを学ぶようになるのかもしれない。

という哲学に浸っていたら意外と早く店に入れた。私としてはとにかく美味いことだけを祈った。マジでババア黙れ。


頼んだのは定番の焼餃子と水餃子と揚餃子。餃子と米しかないという漢気あふれるラインナップで、餃子しか焼かないもんだから清潔な店内もごま油の香りまみれ。なんだか分からないがとにかく美味いのだけを期待していた。



結果、選んで良かったというのが私たちの結論だった。


焼餃子が美味いのはもちろん、お湯?スープ?に浸かった水餃子に自分で醤油やラー油をダバダバ掛けて食べる水餃子が激烈に美味いのだ。

糖質制限ダイエット中なのもあって多少の炭水化物でもうめえうめえと唸りを上げる私はバカみたいにうめえを連呼しながら水餃子を頬張っていた。

それを見ていた同伴者もなんだか楽しかったらしく、二人の頭からはすっかりババアは消えていた。

美味しいものはそれだけの力がある。そんでもってそれを実感できたのは他ならぬババアのおかげなのだ。

感謝はないが、良くないことがあった分、それなりに良いこともあるんだと思えた。

何が言いたいのか分かりませんが、とにかく香蘭さんに感謝。本当に御馳走様でした。


おわり。

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