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Keyball39 の打鍵音と打鍵感をいじってみた

自作キーボードの醍醐味のひとつは, やはり打鍵感や音の調整.
というわけで, いくつかの改造を施してみたので共有します.


現状の把握と事前調査

以前はタイピングすることを許可しろォォォーーーッ感満載のカチャカチャ系が好みだったのですが, Keyball39 組立時にはクールに静音キースイッチを選ぶほどに静音派になった今日このごろ. ロープロ風に変更した際に採用した Tecsee Medium Switch もリニアを選び, 現状音が大きくて煩わしい, 不快といった不満はありません.

しかし, せっかくの自作キーボード, その醍醐味のひとつである打鍵感と音の調整を少し味わってみたいと思うようになりました. なんとなくキースイッチ内部のパーツ同士がぶつかったり擦れたりする音, キースイッチのステムとキーキャップが擦れる音がしているのではと想像していましたが, 具体的な考察をされている先人が.

やはりキースイッチとキーキャップが音の中心ではあるものの, その周辺にある各プレートや基板, ケースに至るまで, 様々な要素が重なって最終的な打鍵音を生み出す, ということのようです. その複雑さに記事中で楽器の例えが出てくるのもうなずけます.

キースイッチとキーキャップを色々変えて好みを探すのが王道ではありますが, あくまでロープロ風を維持したいため現状維持, 吸音剤等のオプションパーツ追加がどのような変化を起こすか検証することとします.

打鍵感にこれといった不満はなかったはずだったのですが, 押下圧 50 g では長時間の使用時に重く感じる, 疲れが出てくることもしばしば. そこで試してみたいと思うようになったのは, キースイッチのスプリング交換です.
加えて上述の吸音材をキースイッチ - 基板間にも挟むことで, 打鍵感の変化が起きるかも確認します.


ファイナルフュージョン承認!

ポロンッシィーーート!

まずは自作キーボードの先人たちがよく試されているあのシートから.
Keyball39 は左右ともに概ね 12 cm x 8 cm 程度の大きさのため, これくらいあれば十分であろうとこちらの商品を購入しました.

喜び勇んでシートを切り, ケースの内側に敷き詰めて基板とケースをシンメトリカルドッキング… もといネジ止めをしようとしたところ, 基板ボトム側のソケット高さにシート厚が加えられたことにより, 基板ボトムにあるネジ穴までネジが届かずドッキング失敗…

とはいえ何もしないのも憚られたため, 細切りにしてソケットやダイオードの間に敷設することとしました. お目汚し失礼します…

1.5 mm 厚のシートは基板とケースの隙間にシンデレラフィットでした.

いざタイピングしてみると, 言われてみれば変わったような気が…する…? という感じ. 打鍵音に雑味がなくなったというか, 音の響きが多少変わったというか... ケース内の反響音を吸収したのか, ケースの振動音を抑えたのか…
やはり面で張らないと効果は限定的なのかもしれませんが, まずまずのスタートです.


スゥィッチッパァーーーッド!

続いてこちら. 材質は先程のポロンシートと同じくポロンを選びましたが, 大きく違うのはその厚さ (0.5 mm) と, キースイッチと基板の間に挟み込んで使えるよう, あらかじめ切り込み等が既に入っていること.
これなら音に加えて打鍵感も変わるのでは?とウルテクエンジン全開!

基板の上に貼ってみた様子がこちら. 部品やスペーサーと干渉することもありませんでした.

タイピングしてみての感想は… 先程のポロンシートよりも明確に打鍵音の変化を感じました. 全体的なタイピング音量, 特に底打ち音が少し小さくなったというか, 音が丸くなったというか…

打鍵感は特に変化を感じられなかったため, 思いつきでフタエノキワミ, もとい 2 枚重ねしてみることに. 基板上に重ねるアクリルプレートとの干渉が心配でしたが, 1 枚の場合と変わりなくネジ止めできました.
スイッチと基板の導通も問題ありません.

打鍵音は 1 枚の場合とあまり変化がなかったものの, 底打ちした際の打鍵感が少し柔らかくなった感じが好印象でした. こういう使い方が想定されているのかわかりませんが…


静・音・リィーーーング!

そしてこちらも追加しました. キーキャップとキースイッチのステムの間にかませ, 静音効果を発揮するというもの. 黒と透明が売られていますが, 透明では床に落としたが最後見つけられなさそうなため, 黒を選びました.

気になる静音効果のほどは… 押したキーが元の位置に戻ってくる際にする, "カチャ"っというような高めの音の響きがちょっと抑えられた…かも…?
これひとつで静音になるとはなかなか言い難いと思います. もしかするとキーキャップの形状によるのかもしれませんが.

打鍵感は, ジェルのようなブニブニとした弾力感ではなく, ゴムの靴底を押したときのような硬さが足された感覚になりました. また, リングの高さの分だけスイッチのストロークが短くなったおかげか, タイピングがほんの少し早くなった感覚があります. 実際, 寿司打のスコアが平均して 1000 円ほど上昇しました.

左 : 静音リングなし, 右 : 静音リングあり の図がこちら.


バネ・アンド・チェンジ!

トドメはこちら. もともとの押下圧 50 g に対し, 35 g のバネを試すことに.

キーを押した瞬間からわかる軽さに驚きました. いわゆる撫で打ちが可能なほどではないですが, 今までよるも省エネでのタイピングが可能に. 短時間の使用なら 50 g のままでもよかったかもしれませんが, 仕事などで長時間文字を打つことが多い場合, 指の疲れが明らかに軽くなりました.

ひとつ盲点だったのは, 底打ち音が以前より大きくなったことです. あくまで想像ですが, 押下圧が小さくなったことでバネによる力の減衰も弱まり, 底に当たる時点での力が以前よりも大きいのではないかなと.

キースイッチ内部の消耗が気になるため, バネ交換前よりも力を抜き, あまり底打ちしないようにタイピングするよう心がけるようになりました.


まとめ

以上をまとめますと

・ポロンシート
        - 細切りにしても多少は吸音されるように感じる
        - ケースに敷き詰める場合は, ネジの長さを考慮することをお忘れなく
・スイッチパッド
        - 1 枚でも打鍵音は静音方向へ変化する
        - 2 枚重ねすると打鍵感もちょっと変わる
・静音リング
        - キー戻り時の音が少し吸音されたように感じる
        - キーストロークが短くなる副産物あり
・バネ交換
        - 押下圧の 35 g の軽さは圧倒的軽快さ
        - 力の減衰が弱まり底打ち音が増すトレードオフもある

打鍵音や打鍵感の調整を検討している方の参考になれば幸いです.


この記事は Keyball39 で書きました.

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