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#百合
なでしこ (全文無料)
彼女は高校時代から、なでしこのような人でした。秋の七草に数えられるなでしこ。「可憐で貞淑」。簡単に手折れそうな肩と柔らかい頬の線を、私は愛しました。綺麗に結い上げた髪の、うなじに落ちる遅れ毛が愛しく、私はよく指先でふわふわと遊んだものです。
彼女はその美しい見た目のせいで、いつも嫌な目に合っていました。男の人に言い寄られたり、不躾な目で見られたり。都電の中でふしだらなことをされたと、目に涙を浮
彼女は高校時代から、なでしこのような人でした。秋の七草に数えられるなでしこ。「可憐で貞淑」。簡単に手折れそうな肩と柔らかい頬の線を、私は愛しました。綺麗に結い上げた髪の、うなじに落ちる遅れ毛が愛しく、私はよく指先でふわふわと遊んだものです。
彼女はその美しい見た目のせいで、いつも嫌な目に合っていました。男の人に言い寄られたり、不躾な目で見られたり。都電の中でふしだらなことをされたと、目に涙を浮