見出し画像

人生うるおすマグカップ

 わたしにとって、あってもいいけど、わざわざ自分で買うまでもないもの。
 例えば、卓上カレンダー。傘。高い爪切り。焼き肉のたれコーナーに一緒にいがちな、生姜焼きとか照り焼きとかのたれ。車に置く用のごみ箱。ユニコーンの形をした入浴剤。箸置き。誕生日大全。マドラー。ちいかわになれるフェイスパック。そして、マグカップ。

 わたしにとってのマグカップとは。
 なんのこだわりももっていないもの。誰かしらプレゼントしてくれるもの。1軍のグラスやタンブラーがシンクにたまってしまうとやっとひっぱりだすもの。派手に割らない限り、買い替え時がわからないもの。だからどんどん増えていって、食器棚をじわじわ圧迫するもの。だった。

 今日まで、わたしの家にあるマグカップは、すべてもらいものだった。
 一番の古株は、高校を卒業してみんなばらばらになるタイミングで地元の友だちがくれた、ねこの口もとがプリントされたもの。口をつけるとそのプリントが自分の顔に重なって、はたから見ると、あらまお口がネコチャンに!!(伝わってる?)というおちゃめデザインなのだが、左利きのわたしがマグカップを持つと、ネコチャンプリント部分に直接口をつけるかたちになって表からは見えず、ネコチャンと隠れキッス状態(伝わってる、、??)になってしまう。こんなところでも悲しきマイノリティー。

 あとは、大学の先輩が誕生日にくれたもの、職場の先輩が誕生日もしくは転勤のときにくれたもの、母が人間椅子のライブのおみやげに買ってきてくれたもの、元彼がホワイトデーのときにくれたもの。形も柄も見事にばらばら。あっ。世界はひとつじゃない。あーあこのまま。ばらーばーらのーまま。脳内再生始まっちゃった。

 今年に入って、冷え対策がしたかったりやせたかったりしているので、温かい飲み物を積極的に飲むようになった。そこでマグカップの出番が爆増していた。

 今日、ネイルに行った帰り、整えられた爪を眺めていると、ふと、もっと自分を大事にしたくなった。ぴんっ。そうだ、マグカップ選んでみよう。
 ぴんときたその場で「雑貨屋さん 近く🔎」と検索し、出てきたお店に行ってみた。すぐあった。今まで何度も何度も通ってきた道から一本入るだけだった。ほえ〜わからんもんだね。

 ところせましと並ぶ素敵な雑貨たち。このこちゃこちゃ感、、高まりゅ(SPECドラマ版すきだった)。
 ドライフラワー、さぼてんのダイカットクッション、アロマキャンドル、本の形の小物入れ、いい香りのせっけん、お高めのタオル、、くう〜〜。この、あってもいいけど自分では買わない感。ちょうどいい。プレゼント選びにも最適なお店に出会えた。

 そんななか見つけたマグカップがこちら。

下のお皿も買った。ピアスのっけとく用。

 ころんとした形に、なんともレトロな雰囲気でかわいらしい太陽とねこ。ちょっとだけポピーザぱフォーマー感ある。しかもぐるっとプリントがあるので、利き手も関係なし。ぴんっ。キミに決めた。

 なんだかとっても素敵なことができた気がして、ご機嫌で帰宅した。自分で選んだマグカップで飲むLUPICIAの白桃烏龍。ん〜うまい。たとえ検尿用の紙コップで出されたって飲めるくらい好きだけど。いやさすがにちょっといや。

 自分が使うものひとつひとつも、自分で決める。どんどん人生がわたしのものになっていくようで楽しい。彼と別れて1カ月あまり。わたしは自由をがぶ飲みしている。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集