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巨人のお腹で眠る夜


秋空の憂鬱に急かされて
大きく口を開けた水平線
灰色の漁船を飲み込んで
潮っぱい退屈が鼻を刺す


貴方の鳴き声が響けども
あの夜重ねたのは孤独だけ
貴方の喪失を栄養に
今宵満たされるのは孤独だけ


浴そういっぱいの

星空を飲み干した

巨人のお腹で眠る夜


秋期集中講義 『人生の終わらせ方概論』


夜風に揺れた網戸の音で

意識の浅瀬に身を浮かべ

月の裏側さえも愛してみた


かくかくしかじか 君は愛されたい

かくかくしかじか 僕は愛したい


貴方の涙が
鱗となって
記憶の海を
ひとり彷徨う


ただ私だけで 枯らしてみたかった

貴方の涙の その最後の一滴まで


彩度を忘れた思い出の氷上で

今も微かに輝く記憶の欠片に縋り

その冷たさに孤独は指先を失えども

一面の銀世界にも埋もれ得ぬは

貴方の頬に凍った一粒の涙





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