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君は列車を跳ぶ


前提からになって申し訳ないですが、まず私たちがただ電車の座席に静かに座ってるような場合を考えますね。このとき電車が進行方向に一定の速度で走ってるとすれば、当たり前ですが電車の外にいる人から私たちを見れば、座席に座ってる私たち自身も電車と同じ方向に同じ速度で動いています。一方で、電車の中の私たち自身からすれば、止まってるときと何ら変わらないように感じてますし、私たち視点では実際止まっています。ところで、なぜそのように言えるのでしょうか。そしてある物体がある方向に一定の速度で動いてるとか、あるいは止まってるとか、それって一体どういうことなんでしょうか。物理学的、特には古典力学的に、その問いに答えるとしたらそれは、その物体に働くある方向の力が釣り合った状態、もしくは物体に力が働いていない状態と言えます。つまり電車の中で座っている私たちに働いてる力は完璧に釣り合っているわけですね。そして慣性の法則によれば外から力が加わらない限り静止したものは静止し続け、一定の速度で動くものは一定の速度で動き続けます。ということで、電車の外から見れば私たちは電車と同じ一定の速度で動き続けてますし、私たち視点からすれば座席の上で静止し続けていると言えるわけです。

では次に私たちが電車の中でジャンプする場合を考えます。先ほどまでの議論に依れば、ジャンプする直前までは座席に腰をかけているときと同様と言えそうです(立っていようと座っていよう何も変わらないですよね)。つまり外にいるから人から見れば私はたちは電車の進行方向に対して、電車と同じ一定の速度で動いています。なのでこのとき問題になるのは私たちが電車の中でジャンプするまさにその瞬間、そしてジャンプしている最中に何が起こっているかですよね。結論から言いますと、このときも私たちからすれば、”電車の進行方向”に対しては何も起こっていません。何かが起こっているのは、電車の進行方向とは”垂直な方向”、すなわちまさに私たちがジャンプしてる方向対してのみです。なぜならジャンプする瞬間に私たちは電車を床を蹴ることで、反対に電車の床から蹴られているからです。つまり、垂直方向に力を受けていますよね(より正確に言えば重力以上の力で蹴られている訳ですが)。力を受ければ突然慣性の法則は成り立ちません。さらに空中にいるときも私たちは垂直方向に重力を受けていますからやはり慣性の法則成り立っていませんね。ですが進行方向に対してはどうでしょう。私たちはジャンプすることで力を受けているでしょうか。いませんよね。ジャンプしている最中も受けていません。なので進行方向に対しては慣性の方向が成り立ちます。つまりジャンプする前から進行方向に対して私たちが持っていた一定の速度がそのまま維持される訳ですね。よって私たちはジャンプしたとしても、電車の進行方向に対しては何ら影響を受けずに、離陸?した場所と変わらない場所に着陸?するわけです。

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