退屈の彼方 絶望の此方
夜風に揺れた網戸の音で
意識の浅瀬に身を浮かべ
月の裏側さえも愛してみた
名前も知らない都市の喧騒
色褪せた文庫だけ一冊携えて
三百円のアイスティー流し込む
寄り道ばかりが我が人生
置いてけぼりの我が人生
立ち尽くすだけ我が人生
貴方の喪失を貪る猛禽類
雪より白く燃えて今貴方は雲の上
一人きりの畦道に両の足が竦めども
朝焼けが露に反射して私を包むから
哀しみの光溢れた歩みを止めはしない
どれほど清く、正しく生きようとも
もう貴方は返って来ないのに
それでも私は、貴方に恥じぬ生き方を
秋の木の葉の裏に隠されたもの
柔らかすぎて気づけなかった君の優しさ
満たされない日常に唾を吐く
空っぽなのは世界じゃなくて僕なのに
心の砦から零れ落ちた
罪なき頬を流れる涙の跡が
曇天を割く一束の光線となり
貴方の未来を希望で照らすよう
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