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会えない、話せない、資料がない...マイナー偉人の沼
こんにちは。岡山県在住の高校生、かぼちゃちゃんです!
今回は私の大好きな、しかし世間一般的にはあまり有名でない偉人についてお話したいと思います。
歴史の教科書の端っこに名前が乗ってる人、地元の資料館でしか名前を見ない人、作品は有名でもその人自身は全然知られてない人⋯。
彼らを推すと大変です。ネットで検索しても全然情報は出てこないし、語り合えるオタ友も少ない。ファンサなんて貰えるわけないし、過去を生きた人たちなので彼らの努力を応援してもその運命は変わりません。でも、好きなんです。みんなに知ってもらいたいんです。こんなにも尊い人生を送った人がいるということも、彼らが人生を尽くした成果も、もっともっと知られて欲しい!!!!
なので、今回は彼らについて布教したいと思います。少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。有名になればなるほど、彼らについての研究、つまり新しい供給も増えるはずなので⋯。他にもこんなすごいマイナー偉人いるよ!って方はぜひコメントで教えてください!
なお、偉人が好きとは言ってもまだまだ高校生の身なので、専門的な知識も資料の調べ方も知りません。私自身が歴史に特別詳しいという訳でもないので、ここで言う「マイナー」とは周りの人に聞いて10人中8人が「誰それ?」と言うような偉人を指します。「そいつは十分有名だろ!」とか「その情報間違ってない?」など思う方もいらっしゃるかもしれませんが、甘めに見てくださると嬉しいです。
シュリーマン
1番最初に好きになったマイナー偉人、私にとってはシュリーマンです。高校で世界史を選択していた人は覚えがあるんじゃないでしょうか。彼はミケーネ文明(古代の地中海文明)の遺跡を発掘したドイツの考古学者です。小学校の図書室にあった火の鳥伝記文庫では、彼が子供の頃聞かされていたおとぎ話「イリアス」に出てくる都トロイアが実在すると一人信じ続け、そして発掘した夢と情熱の人と書かれていました。伝記の中では独学で15ヶ国語以上身につけたなどの天才っぷりも。当時の私はその姿勢にすごく感動しました。
「夢を発掘した人」という伝記の題名も本当にドラマチックで、周りに否定され続けても夢を信じた人が報われて本当に良かったと思ったんです。とはいえ他にも色んな本を読んでいたので1年後には名前も忘れてしまい、最近高校の世界史で習って再会しました。懐かし〜という気持ちでwikiを開けば、あまり考古学者として褒められた人では無かったようで笑、結構やんちゃしています。自伝も結構嘘とか誇張が多かったのかな?笑
現実を生きた人なので、たまに思いもよらない(しかも悪い方向の)一面を見てしまうのも偉人あるあるです。ただ個人的にはそんなところも大好きで、彼らも人として色んな表情で、色んな感情で人と関わりを持っていたという事実は自分の中の歴史をより立体的にしてくれます。その人を色んな視点から客観的に知ることができるのも、私が彼にとって未来の人だからです。これはある意味歴史好きの特権ですね。
児島虎次郎
続いて紹介するのは、現在の最推し、児島虎次郎。岡山県出身の画家兼収集家です。彼との出会いは彼が収集した古代エジプトの遺品の展示会(高梁市成羽美術館の展示)です。シュリーマンに感動した小学生の私は古代ギリシャを好きになり、そのまま古代文明つながりで古代エジプトにも興味を持ちました。シュリーマンの名前を忘れても古代文明好きは変わらなかったので、彼からは本当に多大な影響を受けています。
その展示会では児島虎次郎本人が描いた絵も何点か飾られていました。本当に熱が伝わってくるような印象派の絵でした。彼の絵はどれも暖かくて、温かくて、見る人を幸せにしてくれる絵で、その時私は初めて絵画に見とれるという経験をしました。今では美術にどっぷりです。
彼の推せるところは沢山あるんですが、特筆すべきはその精神面です。人生をかけて、「日本の画家に本物の西洋美術を見せたい」と留学先のヨーロッパで様々な絵画を収集しました。スマホなんか無い時代に、言葉も通じない外国へ日本の美術の発展のため飛び込んでしまう。強い信念と理想がなければ出来ないことです。モネやルノワールなどの名だたる印象派画家たちとも実際に対面し絵を買ったようで、彼の集めた絵は倉敷の大原美術館でいつでも見ることが出来ます。画像であげている洋風の建物が素敵なところです。
この大原美術館がすごいんです!日本初の私立西洋美術館という面でもそうなんですが、児島虎次郎推しにとにかく優しいんですね。そもそもこの美術館の創始者の方が児島虎次郎の留学や収集を支援していたそうで、彼の描いた絵画も情報も、沢山見ることが出来ます。なによりXにある「児島虎次郎、名画集めます!」というアカウントがすごい!大原美術館の学芸員の方が児島虎次郎の日記を現代風に訳してくださっているアカウントで、彼がどんな風に絵を集めたのか、どんな人と出会ったのか事細かに知ることが出来ます。読んでいれば唐突に超有名な画家の名前が出てくることもあって、彼らは本当に生きていたんだと不思議な気持ちになります。何より日記という形式が好きです。大好きな偉人にも、毎日「今日はこういうことしたな〜」と一日を振り返って紙に書き留める時間があったんだなと思うとめちゃくちゃ愛おしくなります。いつか原文も見てみたいですね。
サン・テグジュペリ
この人が1番マイナーか有名かと言われれば怪しいですね。言わずと知れた、名作「星の王子さま」の作者です。「星の王子さま」は、砂漠の真ん中に飛行機が墜落してひとりぼっちのパイロットが、同じようにひとりぼっちの小さな王子様と出会うお話です。今回取上げたいのは、あまり知られていない作者サン・テグジュペリの人生の終わり方について。
彼は自分でも飛行機に乗ることが好きで、長い間飛行士として活躍していたそうです。彼はある日の偵察飛行で、そのまま行方不明になります。あの「星の王子さま」の主人公と似たような状況です。人の死に美しさを感じるのは不謹慎かもしれませんが、何らかの運命的なものを感じてしまいました。彼は最後に何を思ったんでしょうか。王子さまには会えたんでしょうか。
彼が最後に思ったことは全然分からないですが、偉人と同じ体験をすることはできます。彼らが好きだったことを同じようにしてみるのです。サン・テグジュペリはヴァイオリンの音色が好きだったようで、ストラディバリウスというとんでもない価値のヴァイオリンも持っていたようです。私が通っている学校にはストラディバリウスは無いですが笑、管弦楽部はあるのでヴァイオリンを弾ける友達は何人かいます。友人が弾くヴァイオリンの音色を聞いていると、流れるような音に心が洗われます。彼にもこんな風に音楽に耳を委ねて幸せに浸っていた時間があったのかもなと想像する、こういうこともある意味推し活と呼べるんじゃないでしょうか。
まとめ
今回は私のハマった沼、マイナー偉人について語らせてもらいました。最後のサン・テグジュペリについてはマイナー偉人の沼というよりも過去を生きた人全般の沼になってしまったかな、と思いつつ.…。
「会えない、話せない、資料が(ネットに)ない」推し活ですが、「知ろうとする、想像する」ことはできます。例えばネットで情報が見つからなかったら図書館で本を探してみるとか、その偉人が生まれ育った地の資料館へ行ってみるとか、知ろうとすることはちょっとのやる気と交通費さえあればできます。想像することも同じで、自身の気持ち次第でいくらでも深めることができます。要はパッションでどうにでもなる推し活です。
そして一番好きなところは、「その後を知る」ことができるところ。児島虎次郎が願った「日本美術の発展」を、私は今この目でしっかりと見ています。シュリーマンはその功績を評価され、遠い国の教科書に名前が乗りました。サン・テグジュペリの小説は愛され続け、映画にもなっています。彼らが見ることのできなかった未来を、彼らの献身が人類に与えた影響を、私たちは受け取ることが出来るのです。普段の日々の中に彼らが生きた証があります。それだけで、ファンにとっては致死量の供給なのです。