聞いてないようで、聞いてる人
企画書に沿って、対面でご提案の場面
相手が明らかに私の話を聞いていない。
反応が少ないとか、退屈そうにしてるとかのレベルではない。
企画書には目もくれず、電卓を叩き、何やらメモしている。内容からして明らかに普通に自分の仕事をしている…。
何が起きているのか理解できないが、相手はそこそこの立場の人だ。
「ちょっと〜! 聞いてますか〜」という訳にもいかない。
かと言って話をこちらから止める訳にもいかない。
何か気に触る事でも言っただろうか?
たかだか15分程度が無限に感じる。
スベリ倒したまま漫談を続ける芸人もこんな感じだろうか?と思いつつ、なんとかプレゼンを終える。
さすがに心が折れたので、適当にお茶を濁して帰ろうと思った矢先、
「12ページに記載してある数値は、どのように算出しましたか?」
と、まさかの具体的な質問。
『あんた、聞いとったんかぁ〜い!!』
芸人でなくても、心中のけぞり倒したくなる。
実際にこのような人はいる。
なんとも心臓に悪いが、一概にそれを非難もできない。
程度の差はあれ、私たちは「ながら聞き」をする事がある。
TVをみながら、家事をしながら、会社ではパソコン作業をしながら、聴覚だけを傾けて人の話を聞いている。
それでも気になる事はちゃんと頭に入ったりする。
手を止めて相手を見ながら聞いたとしても、結局は気になることしか残らないのだから、むしろながら聞きの方が効率がいい。
手を止めて、相手の事を見て話を聞くのは、単にマナーの問題かもしれない。
件の取引先にとって、私は単にマナーを発動する相手ではなかったというだけだ。
じゃあ私も部下にはそうしよう。
っていうかすでにしている節もある。
いや、駄目だ。
デリケートな令和社員に、スベり体験をさせるわけにはいかない。
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