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コラム23 web会議多すぎ問題
2020年は社会環境もがらりと変わりましたが、仕事も大きな変革のあった年でした。
そう。コロナ禍ですね。
アレは悪いことばかりではありませんでした。
世界中のみんなが、「web会議」というものに慣れ、web会議のツール自体も進歩したのです。
最初は「これどうやってやるんだ…?」という人たちばかりだったのに、あれから4年たち、コロナ禍もすっかり過去のものになったというのに、その便利さからweb会議はめっちゃ頻用されるようになりました。
現在僕は大学勤務医で、院内・院外合わせて10以上の委員会などに所属しているので、様々な企業などとの面談を含め、web会議をしない週はまずありません。
ZoomにWebexにTeams。手段もバラバラです。
毎週様々な会議に出席してプレゼンをしたりしながら、今までだったらこれを全部移動して部屋に集まって紙を配ってしていたのか…と思うとゾッとします。
もうweb会議のない世界には戻りたくないですね。
1. web会議の利点と欠点
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web会議はいいですよー。
僕みたいに移動が大嫌いなインドア人間には最適です。PCの前に座ってるだけでいいんですから。
コロナ禍とか、世の中全部web会議になれ~~!って全力で念じてましたからね。
僕も外科医なのでそこそこ忙しいですが、世の中にはもっと忙しいお偉いさんたちがいっぱいいます。
そのお偉いさんの都合を全部聞いていき、皆が集合できる日を決めて集まって…。非効率極まりない。
web会議だと移動時間がいらないので比較的速やかにみんなが集合し、遅刻する人が減りました。そして、今では文字起こしもどんどん進歩し、会議録もAIが勝手に作ってくれる。
時間は節約され、意思決定がスピーディーになりました。
いいことばっかりじゃん!
…とはなりませんでした。
やはり長年いろんな会議をwebでやっていると、負の面も見えてきます。
大きく3つあると思います。
1つ目は、大きすぎる集会には向かないということです。
コロナ禍ではwebでしていた様々な学会は、今ではもうほとんど現地開催に戻っています。学会という、「みんなで集まることに意味がある」と考える大きな集会は、web向きではないんですね。五感で感じたい。直接見て、聞いて、触って。偶然あった人と雑談したり、新たな知り合いを作ったりする。そういう「場」の提供はwebでは不向きです。大人数すぎると顔見せもできなくなりますからね。
それじゃあ講習を聞いているのと変わらないじゃん…となってしまいます。
2つめはセキュリティ。
ついこの前、フジテレビの録音録画禁止の社内説明会が動画であっさり外に漏れていましたが、webで視聴可能となったら、そりゃあ録音だって録画だって自由にし放題です。倫理的にどうかは置いといて。
少なくとも僕は、特許に関わるような会議とか、「そちも悪よのう…」という内容の密談とか(しませんけど)をweb会議でしようとは思いません。
3つめは、サボる人が多いこと。
みなさんも経験あると思うんですよ。せっかく会議をしているのに、少人数であっても顔出ししている人が少なかったり、全然発言していなかったり。
ほんとにそこにいるのか…?と疑わしくなったりする。
まあ、実際に席を外していたり、画面こそ開いているものの別な仕事をしていたりすることは多々あると思います。
そんな会議って、効率がいいはずないですよね。
2. 実は効率悪い?
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web会議が主流になり、僕が初めにしたことはPCの買い替えでした。
それまでノートPCをメインで使っていましたが、負荷に耐えられなくなったのでデスクトップに変更しました。
そして同時に画面をめっちゃ大きくし、更にサイドモニターを追加。
そして次にしたのは、web会議に向けたお菓子の買い蓄えです。
冬場には温熱器具やマッサージ器具も取りそろえ…。
うーん。最高の環境整備(ダメ人間)。
自分の関係なさそうな話題になると、サイド画面で関係ない仕事したり無関係なサイトを見たり。カメラをオフにしてポテチをポリポリ。あ、眠くなってきた。
こういう人間がweb会議の効率を悪くするんでしょうね。
でもこれって、僕だけのことではないようです。
株式会社ネオジャパンが2022年12月に、全国の20代~50代のデスクワーカー400名を対象に行ったWeb調査では、半数以上の人たちがweb会議を自席から参加していると回答しています。
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そしてほとんどの人たちがそれを好ましく思っていると…!
断言しましょう。絶対この人たちは僕みたいにサボりを満喫しています!
すいません、真面目な人もいると思うんで、断言はよくないですね。
でもでも、「実はweb会議が思ったより生産性がない」というのは事実として知られてきています。
3. VR会議が解決策になる!…らしい
広島大学はVRを用いて医学生の授業を行っており、これはMeta社の日本におけるモデル事業として日本の先陣を切っておこなっています。
使用されたソフトは僕が開発した「VR OSCE」です。
そんなつながりもあって、僕はMeta社と一緒に講演などのお仕事をすることが多いので、少し宣伝をさせていただきましょう。
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VRヘッドセットは最近どんどんお手軽になってきています。
しかしですね、売っている場所が悪い。
ほとんどがゲーム売り場です。
テレビでもVRでするゲームのCMばかり。
実はそうじゃないんですよ。VRって、ゲームのためにあるわけじゃありません。
いや、ゲームも楽しいし僕はゲーム大好きですけどね。
最新のMeta Quest 3はVRだけでなくフルカラーでの周囲透過機能を有しており、MR(Mixed reality)として周囲とVRを重ねて表示することが容易にできるようになっています。そして、ゲームツールとしてではなく、会議や仕事のツールとしての活用するものなのです。
実際に、Meta社をはじめとした様々な企業において、すでに会議はVRヘッドセットを用いて行われています。
Meta社の日本支社CEOともお話しましたが、VRを用いた会議ではみんながサボらずに(別な仕事を片手間にせずに)会議に参加し、積極的に意見を言い合うため、会議の効率が各段にアップし、時間の短縮につながる(約半分になる)とのことでした。
そりゃそうです。ヘッドセットをすると、目の前全部会議室になるわけですから。
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そして、学会など大人数の参加を見込むようなイベントにも活用可能なのです。
僕は実際に2022年のVirtual学会にも参加して登壇して発表していますので、その時の写真をお見せしましょう。
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ヘッドセットをかぶって入り、歩いて移動して学会会場へ。
スタッフ専用通路から登壇できて、普通の学会と同じように発表できます。そして、ワープゲートを通ってポスター会場に移動したり、そこでディスカッションをしたり…。
会話も近くの人だけに聞こえるようにしたり、みんなに聞こえるようにしたり変更可能です。
これもう、普通の学会と変わらないじゃん…!?
ポスターで発表していると、まわりは美少女キャラやロボットにヘンな生き物だらけです。発表後にすっごい可愛い子から挙手で質問されてドキっとしたんですが、声はめっちゃおっちゃんでした…( TДT)。
この面白さは1度体験しないと分からないと思います。貴重な経験でした。
生身の、面と向かっての付き合い(学会後のお食事会なども込み)で考えると確かに「物足りない」と思う人もいるかもしれません。
でも、こういうのもアリだなって僕は思います。
僕も今後学会を主催したりすることもあるわけですが、いつかこんな風にバーチャルで医学系の学会をして、「やっぱりあの先生イっちゃってるな」と言われてみたいものですね。
(参考)
なし