佐伯 勇

広島大学病院 小児外科 自分の研究などを分かりやすく解説する予定です。 研究分野は小児外科一般、肝臓小腸移植、新生児外科、小児栄養、小児がん、Virtual Reality、医学教育など多岐にわたっています。

佐伯 勇

広島大学病院 小児外科 自分の研究などを分かりやすく解説する予定です。 研究分野は小児外科一般、肝臓小腸移植、新生児外科、小児栄養、小児がん、Virtual Reality、医学教育など多岐にわたっています。

最近の記事

  • 固定された記事

おまけ話1 小児外科って何をする科なの?

論文の解説は一休み。 今回はおまけ1ということで、小児外科の紹介をしていきます。 小児外科ってとても面白い科なのですが、いかんせん知名度が低い!人も少ない!ということで、僕が実際に広島大学医学部3年生の授業に使用しているスライドを活用して、小児外科の紹介をしていきます。 小児科を知らない…という人はいないと思います。人間だれしも小児科にかかったことがあります。病気にならない人でも、予防接種はしますからね。しかし、小児外科…と言われると、一般の方の認識はこんなものです。普通は

    • コラム13 大学病院外科医の「研究エフォート」のお話

      今日のコラムは、医師の研究エフォートのお話です。 完全なる雑談…というか愚痴です。 研究をしている医者ってこんなんなのかーと思って読んでください。 実はこれを書いているのは2024年11月。 AMEDというとても大変な研究費の申請を行っている最中で、思わずエフォートについて語りたくなってしまったのです。 「研究エフォート」と言われても、なんのこっちゃと思うかもしれません。 医師の中でもこの言葉を知らない人もたくさんいると思います。 これは主に大学病院などで研究に従事する(も

      • コラム12医学部OSCE対策 その4 プレゼン編

        医学部の卒業前最終試験であるOSCEのお話 第4弾。 OSCEというのは「医療面接の試験」です。 なので、①患者さんに問診をする ②患者さんの診察をする ③プレゼンテーションをする の3要素を、既定の時間内にすることが求められます。 それぞれに注意すべきことがあります。 今回の 医学部OSCE対策 その4 は、最終のプレゼン編になります。 念のためお断りしておきますが、あくまでもこのコラムは、僕が「VR OSCE」を開発するにあたり考察したこと、学生さん達への講義の中で

        ¥500
        • コラム12医学部OSCE対策 その3 OSCE診察編

          医学部の卒業前最終試験であるOSCEのお話 第3弾。 OSCEというのは「医療面接の試験」です。 なので、①患者さんに問診をする ②患者さんの診察をする ③プレゼンテーションをする の3要素を、既定の時間内にすることが求められます。 それぞれに注意すべきことがあります。 今回の 医学部OSCE対策 その3 は、診察編になります。 念のためお断りしておきますが、あくまでもこのコラムは、僕が「VR OSCE」を開発するにあたり考察したこと、学生さん達への講義の中で考察したこ

          ¥500
        • 固定された記事

        おまけ話1 小児外科って何をする科なの?

          コラム12医学部OSCE対策 その2 問診編

          医学部の卒業前最終試験であるOSCEのお話 第2弾。 前回は総論的なお話をしましたが、ここからは各論に分けて解説をしていきます。 OSCEというのは「医療面接の試験」です。 なので、①患者さんに問診をする ②患者さんの診察をする ③プレゼンテーションをする の3要素を、既定の時間内にすることが求められます。 それぞれに注意すべきことがあります。 今回の 医学部OSCE対策 その2 は、問診編になります。 念のためお断りしておきますが、あくまでもこのコラムは、僕が「VR

          ¥500

          コラム12医学部OSCE対策 その2 問診編

          ¥500

          コラム12 医学部OSCE対策 その1 総論

          今回からしばらく、医学部のOSCEに関してお話をしていきます。 OSCE(オスキー)というのは、Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験の略語であり、医学部を卒業する前に卒業試験といっしょに「実技試験」として受験するものですね。 これ合格しないと医学部を卒業できません。 以前 (第4回)えっ!?Virtual Realityで医療診察ゲームを? 「VR OSCE」前編 でも書きましたが、僕は小児外科医ではありま

          コラム12 医学部OSCE対策 その1 総論

          (第32回) 先天性十二指腸閉鎖症

          以前コラム「小児外科って何をする科なの?」でも書きましたが 小児外科というのは、子どもの手術をする医者です。 1.先天性十二指腸閉鎖症(狭窄症)とは以前コラム「小児外科って何をする科なの?」でも書きましたが 小児外科というのは、子どもの手術をする医者です。 小児外科医でないとできない手術…というのはいくつか種類があると思いますが、その最たるものが新生児の手術です。 新生児というのは、まだ産まれてから30日以内の赤ちゃんのことですね。 この時期の赤ちゃんに手術が必要である

          ¥300

          (第32回) 先天性十二指腸閉鎖症

          ¥300

          コラム11 自力で椎間板ヘルニアを克服した外科医が教える、ガチの腰痛対策!

          外科医というのは立ち仕事です。 (一部のあまりに長時間手術する脳外科医や、耳鼻科医などは座ります。また、最近はやりのロボット手術は座って操作です) そして、患者さんの手術野を見下ろしながら手術を何時間も続けます。 飲まず食わず。 トイレにも行かず。 そんな中で、多くの体を壊した外科医を僕は見てきました。 コルセットを巻いて手術したり、首にカラーをつけて手術をしたり。 そんなことになるので、僕も多くの先輩方から「手術中の姿勢には注意しろよ!」と教えを受けてきました。 しかし

          コラム11 自力で椎間板ヘルニアを克服した外科医が教える、ガチの腰痛対策!

          (第31回)塩と赤ちゃんの体重増加 その2

          絵はmofusandより。 (第30回)塩と赤ちゃんの体重増加 その1からの続きです。 今回の論文紹介は日本語ですが、2016年に僕が書いた論文より、塩が赤ちゃんの体重増加にもたらす効果についてです。 前回、NICUに入院して小腸瘻を作った赤ちゃんで、塩を投与されている子が体重増加がよくなるかどうかを見る、後方視的研究をします!というお話をしました。 対象患者は、NICU入院中に小腸瘻を造設した赤ちゃん8人。 塩0.2-0.3g/kg/dayを1日3回に分けて経口投与も

          ¥300

          (第31回)塩と赤ちゃんの体重増加 その2

          ¥300

          (第30回)塩と赤ちゃんの体重増加 その1

          絵はmofusandより。 今回の論文紹介は日本語ですが、2016年に僕が書いた論文より、塩が体重増加にもたらす効果についてです。 僕は小児外科医なので、もちろん成人の話ではありません。赤ちゃんの話です。 赤ちゃんは大体3,000gくらいの体重で生まれ、その後大きくなっていきます。 その体重の増加率として、だいたい30g/日くらい増えていれば順調とされます。 しかし、いろいろな原因で体重がうまく増加しないことがあります。 哺乳ができない病気や、嘔吐してしまう病気で栄養自

          (第30回)塩と赤ちゃんの体重増加 その1

          コラム10 なぜ男の子は外傷が多いのか?

          病院の診察室の椅子というのは、医者は背もたれ付きの椅子になっていますが、患者さんが座る椅子は丸椅子です。 別に差別しているわけではありません。 医者は患者診察の際に背中から診察することがよくありますから(背部からの方が呼吸音は聞き取りやすいし、背中をトントンと叩いて診察することもある)、わざわざ医者が患者の後ろに回り込まなくていいように回転式になっており、更に背中の診察がしやすいように背もたれがないんですね。 この丸椅子ですが、幼稚園~小学生の男の子が診察室に入ってくるなり

          コラム10 なぜ男の子は外傷が多いのか?

          広島にPICUを作る #未来のためにできること

          PICUというのはPediatric Intensive Care Unitの略で、小児専門の集中治療室のことである。 人工呼吸管理が必要であったり、片時も目を離すことができなかったりする重症の患者さんは、ICUでの濃密な治療と管理が必要になる。 多くの病院に成人の集中治療を行うICUがあるが、PICUがある病院は少ない。 小児と大人では治療や管理が大きく異なる。 かかりやすい疾患、侵襲に対する反応、代謝、ケアの方法も、使うデバイスも違う。十分なコミュニケーションがとりにく

          広島にPICUを作る #未来のためにできること

          (第29回)小児がんのお話 その3 JPLT3試験

          今回の論文紹介は、小児がんの中でも数%という肝臓にできる肝芽腫というがんの論文のお話です。第3回。 前回のお話で、僕が連綿と続くJPLTという肝芽腫の全国研究のうち、JPLT3の論文を書くことになったお話をしました。   といってもJPLT3の全データではありません。 前回、 「JPLT3試験では、肝芽腫の子を重症度で大きく3種類に分けようということになりました。 ①    S群 Standard risk群 ②    I群 Intermediate risk群 ③   

          ¥500

          (第29回)小児がんのお話 その3 JPLT3試験

          ¥500

          (第28回)小児がんのお話 その2 肝芽腫とJPLT試験

          前回、(第27回)小児がんのお話 その1 総論 では小児がんに関わる全般的なお話をしました。 いちおうこのnoteって、「自分の書いた論文を紹介する」という形でやっているので(自分の論文紹介の回より、コラムとかの雑談のほうが圧倒的にスキが多いのは悲しいところですが)、総論だけ書いていると、「僕なんかがこんな偉そうなこと語っていいのか…?」と思ってしまいます。 でも、自分の現在進めている研究を紹介していくためには、ある程度前情報を説明しておく必要があるんです…と言い訳。   広

          (第28回)小児がんのお話 その2 肝芽腫とJPLT試験

          (第27回)小児がんのお話 その1 総論

          今回から数回、小児がんのお話をします。 2024年8月に、僕が著者をさせていただいた Successful treatment of young childhood standard-risk hepatoblastoma with cisplatin monotherapy using a central review system. という論文が、Pediatric Blood and Cancerという有名な雑誌に掲載されました。 その内容紹介も兼ねて、小児がんのお話を

          (第27回)小児がんのお話 その1 総論

          コラム9 手術が上手な外科医って? その2

          あまり手術が上手でもない小児外科医がえらそーに 「手術が上手な外科医ってどういうことか?」をテーマに語るコラム 第2回です。 1. 何のために手術がうまいのか? 2. 手術室に入る前から手術は始まっている 3. 手術で使用する技術の要素 4. 手術のトレーニング法 という順で、現在 3. 手術で使用する技術の要素 の途中ですね。 どっかで見たことある、水見式で判別しそうな要素の ④コミュニケーション能力 の解説です。 あ、僕ここ一番得意なので、多分こっち系の能力者です。

          コラム9 手術が上手な外科医って? その2