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私たちはなぜ、この世界に生まれてきたのか? ⑨

アチャン・チャー

 若い頃、独身でいると何かと肩身が狭いものです。ですから、若い人は何とか結婚相手を見つけようと奮闘します。それで、実際に結婚をしたらどうなりますか? 夫婦喧嘩の勃発です! 独りで生活していると寂しさを感じますが、かと言って他人と一緒に生活をすれば、毎日が喧嘩なのです。
 
 子どもが小さい頃、親は
「子どもが大きくなれば、もう少し暮らしも楽になるだろう」
と考えます。そして、成長すれば経済的負担も減るだろうと考えて、3人、5人とどんどん子どもを産むのです。しかし、実際には子どもは成長するにしたがって、その経済的負担はより大きくなっていきます。大小2つの木片があるとしましょう。その内、小さいほうの木片を捨てて、大きいほうの木片を持ったままなら、身軽になったと思いますか? もちろん、そんなことはありませんよね。子どもが小さいうちは、食事を与えておくだけで満足していますから、大してお金はかからないものです。ところが、大きくなると車やらバイクやらを欲しがるようになるのです! でも、皆さんは自分の子どもを溺愛していますから、おねだりされても断れないでしょう? 何とか車を買ってやりたいですが、そんなお金はありません。そこで夫婦喧嘩が勃発です。
「あの子に車を買ってやりましょうよ!」
「そんな金、どこにあるんだ!」
そうして結局、借金をしてまで、子どものために車を買ってやる羽目になるのです。もちろん、そんなにおねだりをしない子どももいるでしょう。ですが、その子の教育費はどうするのですか?
「子どもたちが学校を卒業したら、私たちの生活も楽になるだろう」
学問に終わりはありません! 常に、より高度な学びがあるものです。「終わり」がある学問は、仏教だけです。他のあらゆる学問には、「終わり」はありません。ですから結局、子どもを持つこととは、頭痛の種を抱えることなのです。もし、子どもが4、5人もいる家庭なら、毎日が夫婦喧嘩となるでしょう。

アチャン・チャー『Living Dhamma』より
 
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .


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星 飛雄馬
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