四聖諦 ⑬
アチャン・チャー
ですから、私たちは無常を観察するべきなのです。何かを見て「きれいだ」と思っても、「そうではない」と自分に言い聞かせるべきです。反対に、何かを見て「醜いな」と思っても、「そうではない」と自分に言い聞かせる必要があります。常に、物事をそのように見るようにしてください。そうすれば、現象の中に真理を見出し、不確かなものの中に確かなものを見いだすことができるでしょう。
今日、私は「苦」と「苦の原因」と「苦の滅」と「苦を滅するための道」の四つから成る、四聖諦について解説をしました。苦しみを理解したのなら、私たちはそれを手放すべきです。苦しみの原因を知り、それを手放すのです。苦を滅するために、修行に励みなさい。現象の中に、無常、苦、無我を観察すれば、自然と苦しみは消滅していくことでしょう。
苦しみが消滅したとき、私たちに何が起こるのでしょうか? 私たちは、何のために修行をしているのでしょうか? 私たちは、何かを手に入れるためではなく、手放すために修行をしているのです。今日の午後、一人の女性が私に面会をしにやって来て、「自分は苦しんでいる」と訴えました。そこで私は、彼女にどうしたいのかを尋ねました。すると、彼女は「悟りを開きたい」と言いました。私は彼女に、
「悟りを開きたいと思っている限り、おまえさんは悟りを開くことはできない。仏道修行では、何も求めないことが大切なんじゃ」
と答えました。
(続く)
アチャン・チャー『Living Dhamma』より
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .