四聖諦 ⑨
アチャン・チャー
ですからブッダは、「今、ここ」でダンマを観察するようにと説いたのです。ダンマは私たちの心と身体に生じるものですから、どこか他の場所に行って、観察をする必要はないのです。一部の瞑想指導者は、ダンマを学びたいなら、本を読みなさいと言います。ですが、あなたがいくら本を読んでも、そこに真のダンマを見出すことはできないでしょう。仏教に関する本を読むのなら、読んだあとに、自分でもその教えを実践して、確認してみなければなりません。そのようにするのなら、ダンマを理解することができます。本当のダンマというものは、私たちの心と身体に存在します。これが、ヴィパッサナー瞑想の本質です。
自分の心と身体を観察すれば、心に智慧が生じます。心に智慧があれば、自分が体験するどんな出来事の中にも、ダンマを見ることができます。言い換えるなら、あらゆる物事の中に、無常、苦、無我という真理を見出すことができるようになる、ということです。無常とは、あらゆるものは常に変化するということを意味します。そして、常に変化をするものに執着すれば、苦しむことになります。なぜなら、それらは私たちの思った通りには、決して変化しないからです。それにもかかわらず、私たちは、それらを「私」であるとか「私のもの」であると考え、執着するのです。
(続く)
アチャン・チャー『Living Dhamma』より
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .