四聖諦 ④
アチャン・チャー
「あらゆる現象は無常である」ということを知らないと、邪見を抱いて生きていくことになります。諸行(あらゆる現象)とは、輪廻の世界のことです。「物事が変わってほしくない」と考えるなら、私たちの人生は苦しみに満ちたものとなります。「この身体は自分自身である」「この身体は私のものである」などと考えるようになると、自分の身体が変化するのを見ることが怖くなります。呼吸を想像してみてください。息を吸ったまま、吐かないでいられますか? 息を吸ったら、必ず吐かなければならないのです。そうしてはじめて、また新たに息を吸うことができるのです。それが自然の法則というものです。この法則に沿って、私たちは生きていきます。これが現象の真の姿ですが、私たちはそのことを理解していないのです。
日々の生活の中で、何かを失ったとしましょう。もし、その失ったものが、自分の「所有物」であると考えるのなら、そのことによって、私たちは思い悩むことになります。「何かが失われることは、自然の法則である」と受け入れられなければ、私たちは苦しむことになります。よく考えてみてください。息を吸ったまま、吐かないでいることなどできるでしょうか? あらゆる現象は、常に変化しなければならないのです。そのことを理解することが、無常というダンマを理解することなのです。常に変化するからこそ、私たちは生きていけるのです。こうした真理が理解できれば、私たちは現象に執着することなく、それを手放すことができるようになるでしょう。
(続く)
アチャン・チャー『Living Dhamma』より
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .