四聖諦 ⑫
アチャン・チャー
注意深くなければ、ダンマを理解することはできません。指導者の教えを注意深く聴き、よく咀嚼することです。この花はきれいですか? この花の中にある、醜さが見えますか? この花は、何日間その美しさを保つことができるでしょうか? 数日後、この花はどうなるでしょうか? なぜ、花は変化するのでしょうか? 3、4日もすれば、花は枯れ、捨てることになります。花の美しさが失われたから、捨てるのです。私たちは美に執着します。何かを見て、「いいな」と思ったら、その虜になってしまうのです。ブッダは、何か美しいものを見ても、ただ「きれいだな」とだけ確認して、執着しないようにと説きました。日々の生活の中で、何か好ましい体験をしても、それに執着してはいけません。何かを見て、「美しいな」とか「いいな」と思っても、それは永続するものではありません。この世には、確かなものなど何も無いのです。受け入れがたいかもしれませんが、それが真実です。「美しさ」に限らず、あらゆる現象というものは、常に変化をするものです。あらゆるものは、常に変化をするということが、真理なのです。もし、何かを見て美しいと思っても、その美しさが衰えたら、私たちの心の中の「美しい」と感じる感情が消えます。もし、何かを見て「いいものだ」と感じても、状況が変われば、私たちの心の中の「いいものだ」と感じる感情が消えます。また、自分が「いいものだ」と思っているものが、壊されたり、傷つけられたりすると、私たちは苦しみます。ブッダは、それらのものは、一時的にこの世に生じた現象に過ぎないと説きました。花の持つ「美しさ」は一時的に生じ、何日も経たずに消え去っていきます。こうしたことを観察することによって、私たちの智慧は育っていくのです。
(続く)
アチャン・チャー『Living Dhamma』より
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .
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