短編小説「青銅色の鍵と夕暮れ」
これは私が体験した不思議な出来事について話そうと思う。
ある日、私は友人に呼び出された。友人の名は真壁。何の仕事をしているのか分からないが、度々私に骨董品などを見せてくれたりする。私にとっては”得体のしれない物”への入り口となってくれている存在だ。きっと次の記事のネタになるのだろうと内心うきうきとしていた。
赤桐町内にある真壁の事務所に着き、呼び鈴を2回鳴らす。少し間を空けた後、大きめの足音が近づいてくる。
「少し早かったな、入ってくれ」
ドアを開けて真壁がそう言