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短編小説

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風城の短編小説置き場
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短編小説「湯船で見た夢」

 これはわたしが体験した不思議な出来事について話そうと思います。  ある日の夜のこと。  わたしは仕事帰りで、心身共に疲弊していて、おまけに紙で指を怪我をした。  そんな日だった。  自宅までの道のりがいつものように遠く感じた日。  少しの勾配があれば辛いなと愚痴を溢した日。  到着しては家の鍵を探すのに手間取る日。  そんな日だった。  玄関を開ければ、足の踏み場も見えない真っ暗な闇で、上がり框に足の指をぶつけては荷物を落とす日。  手を洗おうと蛇口を捻れば、シンクのコ

短編小説「神社の彼女」

 これは僕が体験した不思議な出来事について話そうと思う。  その日は何もない日で、本当に何もない日だった。  部屋の窓を開ければ、心地よい風が頬を撫で、少し伸ばし過ぎた髪の毛を持ち上げる。横にわけていた前髪が視界を軽く塞ぐ。ストレートヘアが厄介だってよく思う。  無理して昨日買ったペットボトルのコーヒー、口直しのホワイトチョコレート、部屋の隅に何故かある毛布、点きっぱなしのテレビには今日の天気予報が映っていた。 「――今日の天気は快晴です。雲を見ることが無いでしょう。」  

短編小説「青銅色の鍵と夕暮れ」

 これは私が体験した不思議な出来事について話そうと思う。  ある日、私は友人に呼び出された。友人の名は真壁。何の仕事をしているのか分からないが、度々私に骨董品などを見せてくれたりする。私にとっては”得体のしれない物”への入り口となってくれている存在だ。きっと次の記事のネタになるのだろうと内心うきうきとしていた。  赤桐町内にある真壁の事務所に着き、呼び鈴を2回鳴らす。少し間を空けた後、大きめの足音が近づいてくる。 「少し早かったな、入ってくれ」  ドアを開けて真壁がそう言