『激突!』午後ロー!

 本日の午後ローは『激突!』。巨匠スティーブン・スピルバーグ監督の若手時代の作品。すげえ。シンプルな題材をあの手この手でここまで盛り上げる手腕はまじですげえ。同時代に生まれていた他の監督らが気の毒になる。
 あらすじはもう本当にシンプルなんだよ。
 車であちこちを回るセールスマンの男が、道中、大型トレーラーを追い越した。するとそのトレーラーから追い回される羽目に。以上。
 しかし本作のすごいところはさ、運転しているはずのトレーラーの運転手の正体が最後までわからないところなんだよ。原作はリチャード・マシスンの短編なんだけどさ、その運転手の姿がはっきりわからないまま終わるっていうのが本作のすごい変更点で、格好いいところなんだってばさ。
 実際にはトレーラーを使って連続殺人を行っていた犯罪者って設定らしいんだけど、そんなことよりも、でかいトレーラーに追いかけ回される恐怖がとにかく勝つよね。それが、実は悪魔が乗り移った車で、とか地球に接近した彗星の影響で自我を持って、とかなんでもいいけど詳細な設定を説明したところで、デカイ奴に追っかけられるっていうシンプルで根源的な恐怖に対しては蛇足になりかねないよなあ、と思ったり。
 つまりなにが言いたいかって本作以降も自動車が意味もなく人を襲う映画はいくつか出てきたわけさ。一九七七年の『ザ・カー』とか、キングの『地獄のデビルトラック』とか。あとは『ジーパーズ・クリーパーズ』とか。他にも色々あるだろうけれど、やっぱり本作の影響はあるし、越えられない壁になってる感はある。個人的な感想だけど。
 うん。

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