月に一度の「ギフト」

 温かいハーブティーを飲む、難しい仕事は少し延ばしてゆったりと過ごす、甘くて暗い音楽を聴くetc…。私は月経が訪れると、何か一つ自らに処方します。体と心の声に耳を澄ます大切な時。英語では「period」とも呼ばれる月経は、日々の暮らしに句点を入れて一息つく、自分へのごほうびの日です。
 こんな風に、月経を迎えられるようになったのは、出産後のことです。子育てで布オムツを使い始め、布ナプキンも気軽に使うようになりました。ある時、布ナプキンを洗うためにひたした水が、とてもきれいなことに気づきました。血液そのままの黒ずんだ赤ではなく、明るく澄んだ色。子どもたちが花びらを集めて作る「色水」のようでした。いつもそのようにきれいなわけではないですが、生理用ナプキンに丸めて捨てるだけの「汚物」という悲しいイメージはなくなりました。

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(写真キャプション)今年6月に開いた「母と娘の月経教室」で、参加した女の子たちが描いた感想。初経を迎える前の不安や期待を、一緒に語り合いました。


 未来に命をつなげるため、体は途方もない努力を払っています。胎児の頃に700万個もの卵子のもとを作り、初経後には毎月千個の卵子のもとを目覚めさせ、そのうちの成熟した卵子1個を卵巣から旅立たせる。受精卵を迎えるため、子宮では厚く柔らかなベッドを整える。精子と出会わなければ、卵子の命は一日で尽き、不要になったベッドは月経として流れ出る。一生のうちに、およそ400回もこの営みを繰り返す健気さ…!月の満ち欠け、潮の満ち引きともつながっているといわれる月経は、ヒトの女性に宿った「ギフト(天与の才)」。地球上で、37億年の歴史を紡いできた生命のシステムの一端なのだと思います。

(常陽2014年9月24日付掲載・13回連載中8回目)

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