すっぴんで走る勇気:見た目を気にしないメンタルトレーニング
ランニングはシンプルな運動だと思われがちだが、実際には「見た目」という隠れたハードルが存在する。特に、女性ランナーの間でよくあるのが、「すっぴんで走る」という挑戦だ。すっぴんでランニングするのは、ただの運動以上のメンタルトレーニングであり、一種の冒険である。だからこそ、メイクをしたままの自分と、すっぴんの自分とで心の中でバトルが繰り広げられるのだ。
朝、ランニングウェアに着替えて、スニーカーを履いて、いざ玄関のドアを開けるとき、ふと鏡を見てしまう。「今日の私、顔色悪くない?」とか、「眉毛薄くない?」といった心の声が聞こえてくる。それはまるで、「オトコジュクポーズ」を決めようとした瞬間に、仲間から「ちょっと待て、そのポーズ、カッコ悪いぞ!」と言われるような感覚だ。すっぴんランはまさにそんな試練だ。
走り出すと、街中の視線が気になる。すれ違うジョガー、犬を散歩させる人、コンビニの前で煙草を吸っているおじさん、果ては道端の自販機に映る自分のすっぴんさえも敵に思えてくる。自分では「ただのすっぴんランナー」だと思っていても、頭の中ではラジオ体操軍団が現れて、「おいおい、顔面装備はどうした?」とからかってくるのだ。
しかし、すっぴんで走る勇気は、見た目を気にしない心の強さを育む最高のメンタルトレーニングでもある。ランニング中に誰かが自分を見ているかどうかなんて、実際のところ誰も気にしていないのだ。大抵の人は自分のスマホや犬や、せいぜい自分の鼻毛が出ていないかどうかを心配している程度である。ラジオ体操軍団だって、きっと自分の大胸筋をどう見せるかで頭がいっぱいだ。
すっぴんでランニングすることは、「完璧でなければいけない」というプレッシャーから自分を解放するきっかけになる。走りながら汗が流れて、鼻水が垂れても、それでいいのだ。「ランニングは見た目じゃない、走ること自体が目的なんだ」と自分に言い聞かせることで、見た目へのこだわりは徐々に薄れていく。むしろ、そんな自分に拍手を送りたくなるだろう。自分の眉毛の薄さや、ニキビ跡、寝ぐせ頭なんて、ランニングの素晴らしさの前では些細なことだ。
最初は気にするかもしれないが、走り続けるうちに周りの目は気にならなくなる。すっぴんで走るたびに自分の中の「すっぴん戦士」がレベルアップしていくのを感じるだろう。これは、まるでオトコジュクーポーズを完璧に決めるまで何度も練習するようなものだ。そして最終的には、自分のすっぴんがラジオ体操軍団のリーダーにすら見劣りしないぐらい、堂々たるものになるのだ。
すっぴんで走るという行為は、他人に見せるためではなく、自分自身と向き合うための時間だ。それは見た目に囚われない自由を感じる瞬間であり、人生の中で一番素直で誠実な自分に戻れる時間でもある。だからこそ、今日もまた、顔を洗い、メイク道具を置いて、すっぴんで走り出すのだ。さあ、次の角を曲がった先に、君のラジオ体操軍団が待っているかもしれない。そして、彼らに胸を張って言おう。「今日はすっぴん、明日はもっと素敵な自分に会いに行くんだ」と。